きりた史ベスト10RPG・3位

 仕事が落ち着いたので、宿題になっていたベスト10を再開。古く(HP時代)から私を知ってる人にはバレバレでしょうが。

 このゲームも10年前の作品となりました。発売された当時は本当にセンセーショナルでした。

 RPGでありながら、主人公は「勇者の導き手」。勿論、自らも戦うけど、メインは「エインフェリア」と呼ばれる、遂げられない思いを抱え死んだ人間達。彼らの描き出す群像劇としての側面が、このゲームを際だったモノにしています。天界の争いや、ヴァルキリー個人のストーリーも、バックグラウンドに極めてクオリティの高い人々が織りなす世界があるから深みが増す。未だかつて、当時までに置いても、それ以降でも、このレベルに達しているゲームを私はプレイしたことがありません。それ以後、スターオーシャン3やラジアータストーリーズを出しているトライエースも、自身を超えられずにいるように思えます。その典型がVP2であり、「並の良くできたゲーム(ただしRPGとしては軽く合格点)」だった2に少し失望を覚えつつも、「まあ、あんなゲームがそう何本も作れてたまるか」との思いも強く持ちました。ラジアータを、群像劇として実験作として絶賛しましたが、やはりRPGとしてのトータルの到達点ではVP1の足元にも及びません。

 ストーリー、ビジュアル、サウンド、バトル。音声の使い方も素晴らしい。とにかく全てがハイレベル。それでもやはりこうして懐古する際に伝えるべき点はそのシナリオの素晴らしさ。それでいて「ゲーム」「RPG]の本質を見失わないバランス感覚。その2点の卓抜した仕事が、10年(正確には9年)の歳月を経て、私の中で色あせない記憶として焼き付いています。

 上位の作品に共通して言えるのは、「ハッピーエンドだけを描いた作品ではない」と言うこと。これは、私のエンタテイメント観の根幹に繋がる部分で、しょっちゅう言っていることでもありますが、ハッピーエンドを書くことは、アンハッピーエンドを書くことに比べれば遙かに楽な作業です。ハッピーエンドは何より、制作者の自己満足の殻の中で終わることが多い。それに共感できるか否か。共感させるには、日本人のヒットする記号を一杯埋め込めばいい。所謂「泣き」ゲーと呼ばれるモノはほとんどがその記号遊び。私は全然響かない(いや、読んだ瞬間は感動しますよ。私、感動しいなので。でも、すぐ忘れます)。不幸を描くにはとてつもない気力と、才能を要する(パニックモノは別だろうけど)。だからこそ胸を打つ不幸話は忘れがたい記憶になる。そして「絶望」を描くのはそれに倍する。VPの素晴らしさも「絶望=死に様」を次々に描くことにあります。活き活きとしたキャラクター描写でしっかり感情移入させたあと、そのキャラの最期を見せる。北欧神話の概念に基づいているとは言え、これをコンシューマゲームでやったことは凄い。その点においてはVPは間違いなく、私の、史上最高傑作です。

 今後、1・2位のゲームについても語るわけですが、VPは私が20代で触れたゲーム。1・2位は10代・30代で触れたゲームです。最高レベルの名作は10年に1本。実際、そんなものかも知れません。40代の私はゲームをやっているかどうか分かりませんし、何より感性はどんどん衰えていくでしょう(こと、新しいモノの良さを受け入れる部分に於いて)。それまで新しい刺激を受け続けられ、ユーザーで居られるようなゲーム業界であって欲しいモノです。てか、そうじゃないと色んな意味で困るw 年に1本で良いから、3年後5年後に語りたくなるようなゲームに出会いたいものです。

 キャラクターでは特にレザードとジェラード、アリューゼが好きです。まあほとんど嫌いなキャラクター居ませんが。みんな魅力的。凄い。

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