世界2大勢力、去る。

 めておさんのエントリの後追い気味ではありますが…。素人海外競馬ファンとしては言及しなければならず。

■米種牡馬・ストームキャットが種牡馬引退
■歴史的名種牡馬・サドラーズウェルズが種牡馬引退netkeiba
 今の「世界3大種牡馬」または「種牡馬種牡馬」って「サドラーズウェルズSadler's Wells」「ストームキャットStorm Cat」「デインヒルDanehill」(ローカル無視+感情込みでSSを入れて4大?)だと思うんですが、全員いなくなっちゃいましたねえ。世界の競馬は完全に新しい時代へ移行しそうです。

 無論、これだけの大種牡馬ですから、その影響が世界中から希薄になるのは30年とか50年とかの後でしょうけど。デインヒルが(そもそもダンジグDanzigが)リダウツチョイスRedoute's ChoiceやデインヒルダンサーDanehill Dancerの「祖」になっているように、孫の世代(時代)になると、血統表の上で権勢を誇る、歴史の1ページに感覚的にはなります。サドラーは今年、産駒を送り出すリフューズトゥベンドRefuse to Bendに個人的には注目していますし、本格的な大物ではハイチャパラルHigh Chaparralやイェーツ Yeatsもいますし、これからデビューする産駒に「最後の大物」が潜んでいる確率も低くありません(言うまでもありませんが、系統を残すような世界的大種牡馬は晩年にポツリと大物を出すことがままありますし)。母父としての絶大な影響力は、更に大きい幅で世界中に影響を及ぼすでしょう。一方の嵐猫はジャイアンツコーズウェイGiant's Causeway以降の活躍馬は牝馬が目立ち、これから大物が出てこない限り、現有戦力で戦うことになりそうですが、こちらも母の父としてはとても大きな影響力を、長きに渡って持ちそうです。

 さて日本ではどうでしょうか? 少々強引ではありますが、名種牡馬の引退に敬意を表して、直子・父父・母父としての「ここまでの成績」と「今後の展望」を主観で纏めてみたいと思います。まずは直子対決。

サドラーズウェルズ本邦産駒成績10傑

  • 01 サージュウェルズ1991牡 17,564.8万
  • 02 ラヴィッスマン1991牡 10,476.7万
  • 03 ダイゴアルタス1994牡 9,770.2万
  • 04 セイカカロブ1995牝 9,568.7万
  • 05 ヒゴノスター1990セ 9,169.2万
  • 06 バンダムゲイン1992牡 8,452.8万
  • 07 ファンタジースズカ1989牝 8,447.0万
  • 08 フサイチカツラ1991牝 8,347.3万
  • 09 スタンピード1992牝 5,010.3万
  • 10 アルカディアスター1993牡 4,442.5万

 知ってはいましたけど、歴史的大種牡馬の代表産駒としては非常にお寒いメンバーですね…。ちなみに11が現役のミレニアムウイングで、この馬が今後どのくらい上に食い込みますか。せめて「サージュウェルズステイヤーズSを勝ったのが日本唯一の重賞勝ち」というのは塗り替えて欲しいなあ。てか、ミレニアムウイングは是非種牡馬になって欲しいですね。それにしても成績を調べていて、山本−カズーラインで討ち死にしたサドラー直子の多さに改めて驚き(サドラー直子5頭所有は日本一。ちなみに2位はフサローさんの4頭)。これだけカズーに無駄銭使わされてるんだから、カジノドライヴの名誉は当然の因果かもなあ、とか思いました。もっと報いなさい、カズー。

ストームキャット本邦産駒成績10傑

  • 01 シーキングザダイヤ2001牡 56,445.9万
  • 02 ゲイリーイグリット1995牝 21,258.6万
  • 03 ツムジカゼ2000牡 14,664.7万
  • 04 スタープログラマー1994牡 9,815.4万
  • 05 ダンツシュアー1992牝 8,956.9万
  • 06 ミスターケビン2002牡 8,197.4万
  • 07 レディブラッサム1996牝 7,427.0万
  • 08 テンザンストーム1994牝 7,319.4万
  • 09 リーピングキャット2000牝 7,190.6万
  • 10 ダストワール1994牡 7,159.2万

 直子勝負の軍配は明らかに嵐猫。登録馬の数はサドラーの方が多いのにこの差ですからね。まあ、それだけ日本の下級条件で稼ぐのに合ってたとも言えますが。サドラーの条件馬なんて、買えるシチュエーションもの凄く限られますもんね。データ見て気付いたのは、以外に芝でも勝ってること。イメージ的に芝1:ダート3くらいかと思ってたんですが、芝41勝:ダート60勝でした。重賞勝ち馬が(目下)唯一頭(シーキングザダイヤの2勝)、と言うのはサドラーと同じ。やっぱ不遇ですなあ。てか、大物の夢見るにはシビアな種牡馬ですなあ。最多所有馬主はエイシンの平井氏と、ヒシの阿部氏で3頭。あー、何か納得。というか、サドラーの上位馬主と対比すると、凄くカラーが明確で面白いです(夢を追うサドラー好き、商売上手な嵐猫好きって感じ。まあ、ヒシの嵐猫産駒は全馬未勝利と泣かず飛ばずなんですけど)。トレーナー部門はカズーと森さんが4頭でトップ、と「全サウスニアンが泣い…もとい、頷いた」って結果にw

 双方合わせて、日本で走った直子のうち、種牡馬として可能性ありそうなのはシーキングザダイヤだけという感じですかねえ。なんかこの馬みたいに、大舞台で惜敗続きの馬って、種牡馬としては大成する可能性あるので、注目です。

次は、父父比較。

・父父サドラーズウェルズ産駒成績10傑

 父父のコーナーは自動集計ソフトを映したわけではなく、主立った種牡馬の産駒を個別に調べていったので、抜けがあるかも知れません(特にマル外)。

 1億以上稼いだ馬が19頭のオペラハウスが牽引車になってますね。大物以外は少し目くらましになってましたが、カーネギーフレンチグローリーあたりと比べても、決して一流の繁殖に恵まれているとは言えない中でこの数字は立派です。11位以下もずらりオペラハウスという状況でした。
 というか、父父サドラーがここまでオペラハウスにおんぶでだっこの状態とは。オペラハウス以外の種牡馬は1億超えが1頭居れば御の字という有様(カーネギーも該当するのは12位のホオキパウェーブのみ)。そのオペラハウス。地味なイメージと、馬主の傾向もあってか、どうも後継種牡馬群が恵まれた環境を得られない気配。サドラー系今後の発展は、メイショウサムソン種牡馬環境に掛かってると言っても過言では無さそうです。いっそ、この秋欧州遠征して、向こうで種牡馬らなんかなあ…。トレードでデインヒル系の馬貰って。無理か。
 というか、クラシックディスタンスのみならず、マイルでもダートでも大物出しているオペラハウスって相当ポテンシャル高いですよね…。実はサドラーの最優秀後継はガリレオGalileoでもモンジューMontjeuでもハイチャパラルでもエルプラドEl Pradoなくこの馬なのかも。欧州に残ってたらサドラー系の下にオペラハウス系を作ってたんじゃないでしょうか。日本人は、この血統枯らすわけにはいかんよな〜。

・父父ストームキャット産駒成績10傑

 父父部門ではサドラーの圧勝、と言うか、正確にはオペラハウスの圧勝。こちらはヘネシーが頑張ってますけど、マル外も相当数が上位に食い込んでいます(サドラーのマル外上位はシングスピールのみ)。その代わり、中位の層は圧倒的に厚く、「一発大物のサドラー2世、アベレージの嵐猫2世」というところですね。
 イメージ通り、短距離、及びダートが圧倒的なシェア。これは今後も変わらないでしょうね。それだけ、ストームキャットという種牡馬の影響力は強いとも言えます。
 今後は、ジャイアンツコーズウェイ産駒がどれだけ頑張るか。サンライズバッカスは、ストームキャット系である以前にヘネシーのイメージ(ややマイナー)が強いでしょうから、序盤で大物を出さないと厳しそうです。

 結局、どちらも日本で独自の父系を築いていく道は険しそう。そうなると、マル外の血統としては結果の伴わないサドラーより、嵐猫の方が発展の可能性はあるかも知れませんね。

 最後に、母父。

・母父サドラーズウェルズ産駒成績10傑

 種牡馬になっている馬も何頭か居ますが、母系という意味では、SSを経由した馬がやはり鍵になりそうですね。

・母父ストームキャット産駒成績10傑

 上位の層の厚さを見ての通り、やはりここでも「代を経ると適性の増すサドラー」「代を経てもキャラの変わらないストームキャット」という傾向。SSとの組み合わせでサドラーの方が成功しているのも、注目すべき点かも知れませんね。今後は相手がSS2世になっていくわけですが、どうなりますでしょうか?

 全体的な印象としては、サドラーは「ごく限られたラインが突出して残るか、全部消えるか」、ストームキャットは「今後もアベレージ級の馬を輩出し続けて、長く影響が残りそう」な感じですかねえ。

 ああ、久々にデータいじくって楽しかったw

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