ワイルドアームズXF

 クリア。トータルとしては面白かった。ただバランスは酷い。

 以下ネタバレあり。
 序盤はとにかく、頭を使ってもどうにもならず、決められたクラスの技能を使って解く詰め将棋的な展開。爽快感も達成感も皆無。中盤以降は逆にクラスチェンジによって得たスキルを駆使すると基本一方的に殴って終わり。緊張感も達成感も皆無。特定スキル(アクセラレイトやディレイアタック)を封印することで、そこそこ楽しめるが、一度醒めた興は回復しがたいもの。結局、ストーリーを見ることを目的に、何とか最後までやったという感じ。

 まあ、通常RPGとしてのワイルドアームズをやってても感じたことだが、この人達はゲームバランスという点に関してセンス低いね。ワイルドアームズシリーズは(悪ノリの2や駄作としか言いようのない4以外…好きな人ゴメンね)バランス以外の面は大変優れているので、常々勿体ないと思ってたが、通常RPG以上にバランスセンスを要求されるS・RPGになり、案の定欠点が寄り浮き彫りになっただけでした。結論から言うと、作るべきじゃなかったんじゃないかなあ。私はS・RPGが相当好きなので「我慢して」最後までプレイしたけど、普通のユーザーは途中で止めちゃうよ。そして「買って損した」と思うよ。更にそして、その「損した」感はワイルドアームズシリーズへの評価になるよ。勿体ない。

 シリーズの武器の一つと言えるBGMもモノ足りず。起動時の音楽はちょっと良いが、あとは普通に曲としてもワイルドアームズシリーズの曲としても個性というか方向性に欠ける印象。ちょっと記憶に残りづらいかなー。あくまで曲の善し悪しではなく「ワイルドアームズであるか否か」で考えるとイマイチと言ってしまいたくなりますね。全般、綺麗ですよ。綺麗なんだけど、綺麗さはゲームミュージック、特にRPGの劇伴には必要なのかな。もっと個性、と言うか「節」がほしいですね。「ぶし」。古代節であり、イトケン節であり。なるけ節もその最たるモノ。まあ、結局私はワールドアームズが好きというかなるけさんが好きなところもあるので。なるけさんならなんでもオッケーってわけじゃなく、やっぱワイルドアームズが一番好きなんですけどね。エンドロールのキャストに「口笛」があったのにはちょっと感動しました。

 ストーリー面はなかなか良い。(以下ネタバレ反転)2人のプリンセス、そして、本物と偽物が、実は昔に入れ替わっていた(? ストーリー上明言されていないけど、あの剣をアレクシアが使えて、銃をクラリッサが使えるってのはそういうことだよね?)という設定も、サブキャラ含め(デブオバサンはイランw)設定・物語性・因縁なども悪くない。あれだけ因縁深いルバートやヴァイスハイトの死に様は超駆け足感があるが、実は「美味しい悪役ほどポイ捨て」というのはワイルドアームズの伝統だしね。特に34歳素敵。三十路でママキャラじゃない萌えキャラ(一般的にはどうかしらんが)というものを初めて見た。カワエエよ34歳。レヴィンのうっとうしさは、これまたシリーズ伝統の「煮え切らない思春期全開バカ」の系譜だし。まあーとにかく最後の駆け足感(その癖にラストバトル後はすっげー長いし。電池切れそうでハラハラしたよw)、悪役の消化の物足りなさが残念だけど、ワイルドアームズのワールドアームズたる所以はS・RPGに形を変えてもちゃんと息吹を感じさせる出来になっておりました。満足(反転終わり)。

 ムービーではなく止め絵中心の演出も、現代っ子感覚から言うと「しょぼい」になるだろうが、個人的にはPSPの画面でムービーダラダラ見せられるよりずっと良い。ムービーと違ってキャラデザ崩れないしねw ムービーが止め絵より上位の演出なんてのは、想像力に欠けた人間の努力放棄の言い訳だよ。金使えば良いという安易な発想に根付いている。説明不足によるミスリードを恐れ、隅々説明するクリエイターのエゴ。誤解されたくないと言う恐怖心は、同時にユーザーの想像力を見くびり、否定することにも繋がるってことを、作り手は厳しく自戒しないと、やがてユーザーに裏切られることになる。ムービー/止め絵、どちらも効果的に使ってこそ。無駄に垂れ流すなら、結局何もないのが一番「物語を心に焼き付ける」には効果的だったりするわけで。ワイルドアームズのスタッフが分かっててやってるのかどうかは疑問だけどw 良い演出だなあ、と素直に思いました。

 採点は6点。バランスの悪さで−3、なるけ恋しや−1。

 次は、「マナケミア」をやってみようかと思いつつ、暮れ以降にやりたいソフトが満載なので、暫くエネルギー溜めようかな、とも。

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