きりた史ベスト10RPG・7位

 間持たせエントリ企画。7位。仕事も落ち着いたので、間を持たせる必要もありませんが、忘れない内にシリーズ終わらせるべく、エントリしていきます。

ラジアータ ストーリーズ

ラジアータ ストーリーズ

 比較的新しいゲーム。とにかくこれは「24時間リアルタイムで全キャラが動いている」というのがスゴイ。そのほとんどが仲間に出来るんだけど、みんな朝と夜の顔があったり、内緒の行動をしていたり。ほとんどストーカーと化すプレイがだんだん気持ちよくなってくるw 仲間を集める楽しさ、という意味では幻想水滸伝的な部分もあるけど、クオリティは比較にならない。

 個々のキャラクターは物語と目的をしっかり持っていて、仲間にする=そのキャラのイベントに絡むという攻略性がやりがいに直結したシステムバランスは素晴らしい。

 ラジアータのように、甘ちゃんの自己中視野狭いガキが主人公が世界を救うストーリーだと、ご都合主義の英雄物語で、他は皆その従者的になりがちなモノだけど、いや実際にラジアータもそうなんだけど、このゲームのキャラクターはほとんどみんな「生活」がしっかり基盤にあって、そこに根付く利害関係を引きずるので、嘘くささが少ない。脇役に深みがあるので、従者に成り下がっても存在が記号化しない。重厚な世界観ではなく、深みのあるキャラクター群で、世界に厚みを持たせている、という意味では、史上最高の実験作であり、成功作ではないだろうか。同じガキ主人公でもワイルドアームズの男性主人公のように不快感を感じるレベルの「ドリーマー」ではないし(4は本当に酷かった…)、全然耐えられた。

 勿論トライエースだけにデザイン(キャラ/モンスター/世界いずれも)も音楽も良い。グランドキャニオンのようなマップの音楽とか、たまらなく好き。いつも聴く街の音楽も好きです。日常のBGMが心地よいゲームって良いですよね。岩垂さん(他にLUNAR・グランディアなど)のサウンドは最高に心地良い。

 戦闘のシステムも、スターオーシャンシリーズで培ってきたリアルタイムパーティバトルの完成形という感じ。それぞれが勝手に行動してるようで、連携を常に意識させられたり。似たようなシステムにテイルズとかもあるけど、ラジアータはピカイチ。もう少し戦闘に緊張感があると、個人的には良いけど、そうするとめんどくさいと感じるユーザーの比率が無視できない数字になるだろうから、こんなモンだろう。

 ひとつ残念なのは声と演技があまりゲームに深みを与えるモノではないこと。少し学芸会テイスト&クオリティ。こういう「残念な作品」を見るたびに、「RPGに声はいるか?」と疑問に思う。演者が上手いかどうかではなく、声があることで、「読み物」としての部分がユーザーの手を放れ過ぎちゃうんですよね。ステージが完全に分業で「SLG」→「ADV」みたいなモノは、声はあっても良いと思う。RPGには必要ないだろう。この辺は好き嫌いもあるんでしょうが。私はRPGには声は要らないな〜。

 今ひとつ、というかこっちが一番の問題ですが、中盤までの「仲間をストーキングして実態を調査する」部分が面白すぎて、後半のストーリー展開や、そこへの繋がり(転がり)がやや強引で稚拙なんですよね〜。「え、あ、もう遊んでないで進めないとダメ?」と、なんか上から怒られた感じを受ける。なので、本来シナリオライターが書きたかった・見せたかったであろう根幹部分が邪魔にすら感じるんですよ。ただその辺はとにかく「実験作」であるが故のやむを得ない部分と私は捉えていますし、諦めてもいるのですけど、中盤の「大事な選択」と、その後転がっていく世界の運命みたいなモノをもっと上手く描くことは出来たと思うし、そうすればこのゲームは歴史的名作にもなり得たと思うので。残念です。トライエースにその技術があることは、他のタイトルで分かっていますし。

 それでも、前半部分だけで(後半に足を引っ張られても)ラジアータは「スゴイゲーム」だし、私のキャリアでベスト10に入れる価値のあるゲームだと思います。

 是非続編を見てみたいですが、実験作の続編は難しいですよね…。ユーザーから寄せられた意見に寄りすぎると絶対ダメになるし、かといってポリシーを幾らしっかり持っても、今のゲーム業界(特に非携帯ハード)にはそんな遊び心がない。批判を「好き嫌いの範疇」と割り切って、無視せず、媚びず、自分の面白い続編を作る、という作業は本当に難しい。不可能と言っても良い。最近の続編、シリーズはほとんど「1作目の2次創作」みたいになる(ペルソナシリーズが媚びの極限として顕著な例)し、それがまた受ける。私はうんざりする。けど世間が評価してるので、それが正解としてどんどんマネされる。ああ、残念。

 まあ、トライエースは定期的に刺激を与えてくれるようなゲームを出してくれるメーカーでさえあってくれれば、それで十分です。

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