ルミナスアーク

 終了。お手軽かつ深みは皆無。

 とりあえず、S・PRGをちゃんと好きな人にはお勧めできない。ゲームバランス・操作性は最低クラス。マップデザインこそそこそこ凝っているものの、立体地形なのにマップを回転させられないという、考えられない欠陥がある。また、クォータービューなのにユニットが斜めに重なるとクリックの判定が酷くシビアになり、全然選択できないパネルが多々発生する。第一、近年クォータービューのゲームはアナログ操作と切っても切れない関係にあり、今時十字キーだけでクォータービューのゲームを作るのは暴挙としか言いようがない。無論、ペン入力はもっと酷い。最悪と言っていい。DS史上最悪の操作性、誕生。

 それでもゲームが進められるのは、悲しいかな非常にバランスが悪く、簡単すぎるからである。操作性の酷さも、1度や2度ミスったところで致命的なミスにならない、パワーゲーム過ぎる戦闘バランスに依っている。シミュレーションなのに全く頭を使わず、詰まる場所、詰まらない場所の配置バランスも悪い。なので、操作性とかはある意味どうでも良い。

 ストーリーも盛り上がりに欠け、楽しみどころがない。最初から善人のふりをした悪人がわかりやすすぎ、感情移入させるキャラクターはどこまでも善人。全般的に幼稚。人間関係のドラマ性も乏しい。ほとんどのイベントが単発、かつ伏線が下手すぎる。

 数少ない良いところはキャラクターか。癖のあるデザインながらそれぞれのキャラがしっかり立っているので、愛着が沸きやすく、徹頭徹尾キャラクターの魅力「だけ」が売りのゲームをあらゆる面で支えている。最初から仲間である面々が、後から入ってくるキャラクターに食われ気味なのは、シナリオのせいもあるだろうが、やや残念。それでもキャラクターの質だけ取ればジャンヌ・ダルクとかよりは上。ただ、あくまでデザイン的な話だけで、ユニットレベルの話になると、個性がほとんど無く(誰が考えても分かることだが、仲間のほとんどが「剣士」か「魔女」なので、ユニットの組み合わせによるゲーム要素がまるでないのだ)、深みがまるで感じられない。愛着を拠り所にひたすら作業をさせる、キャラゲーに過ぎない。サモンナイトの悪いところだけデフォルメしたとでも言おうか。

 もう一つ致命的な欠点が音声。所々ボイスが入るのは良いが、クリックとの整合性というか、反応が酷く悪く、長台詞でとっとと薦めたい時にクリックのタイミングが悪いと10秒くらい入力を受け付けなくなったりする。ボイスが鳴るたびに進みがモッサリしてイライラする。結果、声優の質とかそういうレベルに到達する前のレベルの話として、音声が邪魔にしかなっていない。はっきり言って声がマイナス要素に過ぎない。これはやってはいけないミスだと思う。本来、声というのはテキストからユーザーが想像で世界を組み立てていく助けになる物。だが最近のゲームは声がリズムを損ない、想像を妨げる(画一化する)存在悪になっている。いかんですね。

 マーベラスブランドで出しているが、基本的にこれがこのチームのS・RPGデビューであることを考えれば、平均点は付けても良い。ただ、世間に出ている他のS・RPGの最低限クリアしている必要条件を満たしていないところは、作り手として評価のしようがなく、そこに対する反省がないなら、今後このチームのゲームは買えない。次回作以降は、雑誌などで、操作性などシステム面が劇的に改善されたことを確認した上で、購入候補にしたい。

 点数は4点(10点満点)。キャラクターが気に入った人は、あくまでS・RPGではなくキャラゲーとしてだが6点付けても良いと思う。あと冒頭にも書いたがとにかくお手軽なので、移動中(通勤時間)とかにちまちまやるには良いかも。まあつまり、携帯アプリゲーム並みってことです。

 次は世界樹の迷宮…と言いたいが、非常に面白いらしいので、今の忙しさでは手を出すのが怖い。暫く細々とサカつくやって、修羅場抜けたらワイルドアームズと並行で世界樹始めます。

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