きりた史ベスト10RPG・4位

 恐らく、コンシューマ史上もっとも完成された「王道RPG」であろうこのゲーム。

グランディア

グランディア

 1〜3位は、個人的思い入れや好みがかなり影響している。4位のこのゲームは文句の付け所のない完璧な作品(キャラ良し、音楽良し、ストーリー良し、ゲームバランス良し)。このゲームがミリオン行ってない辺り、やっぱりサターンの限界がなあ……。

 ドラクエのような勇者譚とは違う、ヒーローに憧れる少年ジャスティンが、一歩ずつ進んで、それになるタイプのストーリーの大傑作。成長して行くに連れ、世界が広がっていく様、主人公に増えていく責任などが完璧なスケールで描写されている。終始、ワクワク感を失わないストーリーの見せ方はもう感服するしかない。特に序盤の「世界の壁を越える」シーンは「冒険に憧れる少年が日常の壁を越える」心理描写と完璧にシンクロしており(それを「テンション上がって浮かれる子供っぽさでオブラートにくるんでいるのもお見事)、余程心の汚れた大人でも、童心に返ること請け合い。私も返りました。

 役(敵も含め)の配置も見事で、序盤から後半に至るまで、人物が実に効果的に増え・減り・関わっていく。最終的には、世界の美しさも相まって、「みんな好きだ」と思えてくる。大好きな冒険小説に出てくるキャラクターが、敵役でも結局好きなように。草薙さんのデザインしたキャラは、実に活き活きとしており、それがドット絵で完璧に再現されている。ここでいう完璧は、現代的な「絵画のような綺麗さ」とは対極の「感情豊かなドット絵」のそれであり、ポリゴンを見ても生身の人間に見える(実在するようなリアリティを感じる)ことは絶対あり得ないが、グランディアのキャラはドットアニメーションしているだけなのに、全てのストーリーが映像化されて蘇るくらいしっかりしている。

 3D化されたマップも、今では結構完成された世界もあるが(ドラクエ8とかも良かった)、当時は、「ポリゴンを使いたいだけの大人がやっつけで作った箱庭世界」的なモノを脱せておらず、ポリゴン=邪魔な存在だったが、グランディアの世界は全てが巨大な世界地図のように繋がっている。繋がりを感じることが出来る。だから、広がっていく世界のリアリティを常に感じられるし、それがわくわく感に直結している。当時、これを作ったスタッフは本当にスゴイ。

 戦闘も戦略性と繰り返し繰り返しプレイするモノとしての負担になら無さを良いバランスでクリアしている。トライエースのゲームなども、その点をかなり高いレベルでクリアしていると思うが、11年前に出たグランディアを超えるところまでは言っていない。他社は言うまでもない。複雑にしているだけで、一度二度は面白くても、何百回何千回とやる立場になり切れていない。とにかくグランディアの戦闘は最後まで邪魔にならない。凄いことである。

 岩垂氏の音楽は最高の一言。ファンタジーとしての非現実と、主人公達が生活する空間、その外に広がる世界が美しい音楽で表現されている。街の曲は賑やかで何処かほっとするし、フィールドの曲は何処までも行けそうな爽快感に溢れ、ダンジョンや世界の果ての曲は「この先に何があるんだろう」という緊張感とわくわく感(くどいくらい「わくわく」と書いているが、これはゲームに限らずエンタテイメント最大の原動力であり、如何に受け手をワクワクさせるかがエンタテイメント足り得るかと言っても良いこと。グランディアはくどいくらい「わくわく」と書いても褪せないエンタテイメントなのである)。純粋なゲーム音楽としては、個人的には史上最高に推したい。オープニングはインストゥルメンタルとしては、初めてドラクエをやった時以来の鳥肌が立った。

 今ひとつ特筆すべきは、声優も含め、音の演出も高度に行われていること。ファンに売るためだけの、声優ありきの配役ではない、キャラクターの情感を深めるための声優。メジャーな人が使われているのは結果論。その証拠に、声が邪魔になることは一切無い。私は「RPGに声優は不要」論者なので、それが如何に凄いことかと。逆に言うと声優ファンには不満なのかも知れないけど。それは知ったことではないしw 効果音も凄くナチュラル。これも難しいこと。効果音というのは、生音を入れればいいというものではなく記号化されたデフォルメの音が必要で、結果、ある程度わざとらしくなるのは仕方ないのだが、グランディアはそうなっていない。

 続編は極めて残念な出来だったが、それが逆に、再現性のない名作としてのグランディアの価値を高めているのも皮肉だ。それはそれで良いと思う。あの時代、あのタイミングで出会ったからこそ、心に残る作品というのはある。グランディアは売り上げの数字以上に、多くの人の心に「ゲームって良いな」「冒険って良いな」という気持ちを植え付けたのではないだろうか。FF6が原点回帰だとしたら、グランディアは私にとって「理想型」。万事に於いて欠点の存在しない、二度と出会わないかも知れない、最高のゲームだ。

 これだけ絶賛する以外他ないゲームが4位なのは、上位3つが、ゲームとしての面白さ以上に「きりたの好みのタイプ」であるからで、主観を極力排除していくと、グランディアが史上ナンバーワンと言っても良いのではないだろうか。このゲームを、小学生・中学生の時にやっていたら、いかに豊かなポジティブな影響を受けただろうかと思う。

 このゲームをやらずして「RPG好き」を名乗ってる人は勿体ない。PS版で良いから、今からでもやりましょう。間違っても続編をやらないようにw

グランディア オリジナルサウンドトラックス

グランディア オリジナルサウンドトラックス

Vent?グランディア・アレンジ・ヴァージョン

Vent?グランディア・アレンジ・ヴァージョン

 CDも素晴らしい。いまだに月イチくらい聴く。仕事の原動力になっている。
 

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