うーん残念。

欧州のトップレース、キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスへ挑戦したハーツクライ。痺れるような欧州トップレベルの締まった展開の中、一度は先頭に立つものの、流石のエレクトロキューショニストハリケーンランの2頭にかわされ、力尽きて3着でした。
結果の見方は色々あるだろう(ルメールが強気すぎたとか、あそこでもう一度伸びてくる2頭はやはり凄いとか)。だが、私が感じたのは「やっぱり欧州のA級レースは遠征してぽこっと勝てるほど甘くない」。私にはハーツを交わした2頭が凄まじいというよりはハーツが失速したように見えた。100の力を出し切っては居ないように見えた。95%くらいは力出したと思うが…。

ハーツは昨秋のJC以降急速に本格化し、脚質も一発勝負の末脚から先行して爆発する走りにシフトしたと言っても、かつドバイを勝って欧州トップレベルと互する力を証明してのけたと言っても、初めてのアスコットはそんな簡単にこなせるコースじゃない。遠征競馬で挑むという時点で欧州勢からは5馬身くらいのハンデがある。その上で100のコンディションに調教だけで持っていくのは至難の業。そのことは日本人より遙か上の輸送遠征ノウハウを有する欧州トップホースがJCで見せるパフォーマンスを見ても明らか。入念な準備はしたと言っても渡欧初戦で勝てるほど甘くないということ。それだけ崇高な目標だということ。それだけ「特別な馬」しか勝てないということ。ハーツも日本史上に残る強豪だと思うが、最強ではない。最強でないと勝てない。

そして今日の結果を見て思わざるを得ないのは、現状の能力比較だとディープインパクト凱旋門賞の勝率は理性的には限りなくゼロに近いということ。アスコットはそれでも、エプソムやロンシャンと比べると日本馬が通用する可能性のある競馬場。ロンシャンはもっと厳しい。頭数ももう少し多くなる。直行するシロッコもいるし3歳勢も力を付けてくる。早めの渡欧による向こうでの調教効果(エルコンドルパサーが見せた変化のように)、計算を超越したディープの怪物性に期待したい気はするが(昨年の有馬を踏まえてもハーツとディープでは2枚ディープが上だと思うし)、現実的にはまともに競馬できれば御の字だろう。1戦使えるか、デットーリでも乗れば話は別だが…。

そう考えると、ハーツクライには凱旋門賞を目指して欲しかった。クラブ馬だし、会員の意向で何とかならんものか? 会員にとっては名誉よりディープの居ない秋のG1の方が良いか? 非会員は何とでも言えるけど、責任は取れないからな。仕方なし。

あともう一つ。欧州で2月調教を積み、凱旋門賞を戦うディープが帰国後どんな競馬を見せるかが楽しみです。BC出たら(例えハリケーンランらが出走しても)只もらいだと思うんだけど。

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