優駿牝馬

 ウオッカがダービーを制し、ダイワスカーレットが回避したあの年から。オークスというレースの価値は決定的に下がったように思う。少なくとも、私の中では。

 3歳馬にとっての2400の持つ意味は、牡馬と牝馬では大きく異なる。牝馬の最強馬決定戦は桜花賞オークスは、卓抜した桜花賞馬より、長距離に適性のある馬が勝つケースが多く、オークス馬=世代最強馬という図式が描きづらい。それでも、府中という競馬場と、そこで行われる根幹距離の競馬に特別な思い入れのある私は、オークス馬には、世代最強馬について欲しいという幻想が強くある。距離が持たなくても、牡馬に勝てる自信があっても、世代最強を自負する牝馬には、オークスの舞台にいて欲しい。桜花賞1・2着馬の居ないオークスは、オークスじゃない。

 今年は、世代最強馬が順当にオークスを獲りに来る。2000がベストの馬というイメージもあるが、2400までは守備範囲だろうし、外差しに徹した競馬振りは、単なる「差し脚」というものではなく、邪魔されないための進路取り。「女ディープ」の異名はブエナビスタに相応しい。まずは、ここを勝つことがその名を維持する最低条件。その先にあるものは、ディープ超えではなく、近代最強牝馬ダイワスカーレット超え」の道だろう。ウオッカは、ライバルの引退によってその道からハシゴを外されてしまった。ブエナには、欧州へ行く前に(無論、3歳牝馬で挑戦する斤量面のメリットは大きいだろうが)ウオッカに1600〜2000で勝負を挑んで欲しい。それが今年の秋天だと、嬉しい。ウオッカの強さを知り尽くした「敵手」アンカツが、府中の2000で悠々先頭に立つウオッカに対し、ブエナビスタをどのように導くか。はっきり言って、凱旋門賞「なんか」よりずっとわくわくする。

 対するはレッドディザイア桜花賞の末脚も素晴らしかったが、エルフィンSの馬群を縫う差し足は鳥肌もの。キャリアやローテーションの差はあるが、この馬にもウオッカ並みの可能性を感じる。ブエナに勝る点は、2400の適性だろう。陣営も、1600であれだけの競馬が出来れば、と、逆転の可能性を高く感じているはず。劣る点は鞍上か。しかし、本命に乗らない時の四位洋文は「楽しい」騎手だ。ミスや、投げる騎乗も多いが、勝つ時は田原の香りを感じさせてくれる。田原なら、このオークスは勝つのではないか。そんな気がする。是非、素晴らしい騎乗を見せて欲しい。

 この2頭の1・2着固定でほぼ問題ないと見る。相手は、クイーンC上位のディアジーナ・ダノンベルベール。ディアジーナは人気になりそうで、上位2頭との組み合わせは全く面白くない。抑え。藤原勢では一番素質高いと思っているワイドサファイアに、一番の鞍上が。他の2頭がこの馬に先着するイメージは湧かず、無論、揃って2強に先着するイメージも? この厩舎からはワイドのみで(オークス男のジェルミナルはちと怖いけど、人気落ちなさそうだしなあ)。

 一応、上記3頭は「ひょっとしたら2強に割り込むかも?」というイメージで、2着からも買い(ブエナの陣営の過信と、レッドの鞍上への僅かな不安で、2強のいずれか飛ぶパターンも少々)、あとは3着。本当に2強が力を出せば、3着はかえって色気のない馬が良かろうし、人気薄の名手や、府中実績のある馬、人気にならないステイヤータイプを。ヴィーヴァヴォドカとツーデイズノーチス、デリキッドピース、サクラローズマリー。あとは、来週のG1で穴狙いしたい鞍上のチェックでダイアナバローズ。これに、当日、2桁人気の馬で気配良さそうな馬は足しておきたい。

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