NHKマイルC考。

 このレースは、非常に好きなG1だ。というか、府中の芝1600が本当に好きだ。マル外の地盤沈下に合わせて、一時期レースレベルが危うくなり、近年は持ち直したモノの、すっかり「ダービートライアル」になっている。確かに、府中の1600で強い勝ち方をする中距離馬は、ダービーでも間違いなく好走する素質があると言えるけど。

 今年は上位のレベルの高い混戦。皐月賞同様、レースが終わったら勢力図が大きく変わっている、とかあるかも知れない。

 NHKマイル、というか府中の芝1600として考えると、東京新聞杯の時に言っていたことを繰り返すことになる。

■14番目。
■東京新聞杯分析

 簡単に纏めると「サンデー向きレース」と「ノーザンダンサー向きレース」があり、どっちになるかで、連対馬の候補は大きく変わる、ということ。サンデーが全然来ない安田記念、サンデー系天国のヴィクトリアマイル。どっちに流れが近いかで考えても良い。

 過去5年のNHKマイルCをラップで見てみる。最後のカッコは5F通過時計と上がりタイム。

  • 2004年(勝ち馬キングカメハメハ
  • 12.1-10.7-11.1-11.7-12.2-11.6-11.7-11.4(57.8/34.7)
  • 2005年(勝ち馬ラインクラフト
  • 12.5-11.0-12.0-11.9-12.0-11.3-11.3-11.6(59.4/34.2)
  • 2006年(勝ち馬ロジック)
  • 12.1-10.8-11.3-11.5-11.8-11.7-11.5-12.5(57.5/35.7)
  • 2007年(勝ち馬ピンクカメオ
  • 12.1-10.5-11.6-12.0-12.3-11.5-11.7-12.6(58.5/35.8)
  • 2008年(勝ち馬ディープスカイ
  • 12.2-11.0-11.4-12.1-12.5-11.7-11.2-12.1(59.2/35.0)

 近2年は稍重なので、少し時計の比較は難しいが、ロジックが勝った06年をやや特殊な例と見ると、道中が一度緩む流れは、明らかにサンデー向き=ヴィクトリアマイル寄りの流れで、ギリギリの底力が要求されるようなレースになりづらい、ノーザンダンサー系が台頭しづらいレース(安田記念は道中がほぼ全部11秒台で推移して、上がりが12秒台になるので、ダイワメジャーのような特殊なタイプを除き、サンデーが全然来ない)。良馬場なら先行して34秒台前半、後ろからの馬は33秒前半の脚が必要となる。

 かといって、強いサンデーの居ない年(かつ馬場が渋ってパワー寄りになる年)は07年のようにフレンチ・キングヘイローキングヘイローノーザンダンサーの1〜3着でで決まったりもする。

 今年のメンバーで有力馬の中のサンデー系はアイアンルックアドマイヤボス)、アントニオバローズマンハッタンカフェ)、ジョーカプチーノマンハッタンカフェ)くらいで、やや手薄。「サンデー系」と言っても、来るのはタキオンフジキセキで、それ以外のサンデー系は不振。そもそもあまり出てこないこともあるが、過去10年で3着以内に来たサンデー5頭はタキオン2、フジキセキ2、サンデー1。タキオン産駒のバンガロールフジキセキ産駒のツクバホクトオーでは実績不足。その3種牡馬以外のサンデー系は10頭出て掲示板ゼロ。中には人気馬も含まれており、信頼できる数字。府中のマイルの特殊性は、改装後、より明確な偏りを見せている。今年のサンデー系は怪しい。

 アイアンルックは、毎日杯のラップがいかにもこのレースに向きそうだが、急坂を利した差しでもあり、ローテーションから過剰な人気になりそうで、手が出しづらい。父アドマイヤボス以上に、母父ヘクターの人気馬をG1で買う気がせず(ブラックエンブレムを追っかけてた人間の言うこととは思えませんが)。このグループは、思い切って全部消してしまうのも手か。

 ノーザンダンサー系。過去10年で9頭が3着以内に来ている。今年の有力馬ではティアップゴールド(クロフネ)、ワンカラットファルブラヴ)。ワンカラットは2歳戦で実績有り、阪神JFは負け、年明けに勝って臨んだ桜花賞を負け、とピンクカメオに酷似したローテ。気になる存在だが、G1を勝ちきれない藤岡佑。ヒモまでの評価が妥当か。ティアップゴールドは、中山開催になってリンク乏しくなったNZTの連対馬。このローテで馬券に絡む馬は、NZTで人気を裏切ったタイプが多く、5人気2着のこの馬は、いかにも微妙。余裕があるならヒモに加えるくらい。

 さて。サンデーでもノーザンダンサーでもないとなると、どうするか。真っ先に浮かぶのはミスプロ系。過去10年で3頭の勝ち馬を含む7頭が馬券に絡んでいる。人気薄で穴を空けたグラスエイコウオー、ムラマサノメイトー、サマーキャンドルを除く7頭は、芝1600m以上のOPを勝つか、重賞で連対。人気サイドは、これが条件になりそう。今年、この条件を満たすのはフィフスペトルのみ。ただ、人気で馬券に絡んだ馬は全て、年明けてから重賞を勝っていた。能力の高さは疑いようのない馬だが、陣営の迷走もあり、勝ち運からはどんどん遠ざかっている。むしろ距離伸びて人気落ちたら積極的に狙いたいが、マイルでは間違いなく人気になるだろうし、中山で差し損ねて「東京の直線なら」という雰囲気は典型的な危険馬。アイアンルック同様、軸にするか、腹を括って切るか。他のミスプロ系は抽選突破したら穴で特注。

 次にサンデーを除くヘイロー系。このグループの筆頭はタイキシャトル。2頭が馬券に絡んでいて、共通するのは「マイルの重賞を勝っている」こと。今年の有力馬ではレッドスパーダ。マイル重賞勝ちはないが、1800での連対があり、短縮組の強いこのレースではほぼ互角の評価をして良い。しかも府中のマイルを2勝。ローテはテレグノシス、キャリアはシンコウエドワードを思い起こさせる。しかも、馬券に絡んだ2頭はいずれも先行馬で、脚質的にもバッチリ。中間、疲れが出て順調さを欠いた面があったため、最後まで吟味は必要だが、頭から狙える1頭。

 ロベルトは10年でわずか1頭。重賞連勝後、皐月賞で3着だったタニノギムレット。未知の勢力か、傑出馬じゃないと厳しい。11年前に2着だったシンコウエドワードも、無敗で半年の休み明けと、未知の勢力だった。サンカルロマイネルエルフではワンパンチ足りていない気がする。

 上記に挙げた以外の血統馬は、10年で5頭。勝ったテレグノシスシンボリインディには府中のマイル勝ちがあり、他の3頭も重賞3着以内がある。OP勝ちか重賞好走が条件。該当するのはダイワプリベールとブレイクランアウト。ダイワプリベールはヒモで抑えておけばいいが、難儀なのはブレイクランアウト共同通信杯からのぶっつけなんてローテーションは過去居ないため(10週以上の休み明けは0−0−0−9。ただし、故障明けなどで、レースを使えなかった馬ばかりで、予定通りの長休明けはこの馬が初)、データの引っ張りようがない。デビューから一貫して、走るレースでは本命にし続けた馬。1800mではあるが、本番に近いラップの共同通信杯で、これまでの鬱憤を晴らすような差し切りを決めており、脚質的にもこのレースにぴったり。

 そんなわけで、今のところレッドスパーダブレイクランアウトの2頭を最上位に、次点はアイアンルックフィフスペトルだが、人気を考慮して、2頭から穴馬に買い目を広げたいと思っている。馬券は枠順決まってから。

追記訂正:ブレイクランアウトの父スマートストライクミスプロ産駒でした。すみません。ダイワプリベールの父エンパイアメーカーも。TARGETで注目種牡馬だけ色分けしていて、そのせいでミスプロソートに掛かりませんでしたよ…。

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