Wcup06・ドイツ−スウェーデン

ドイツが帰ってきた。この10年間、ドイツは技術基準の評価体系の中で「下手」が故に低迷してきた。ドイツのサッカー自体が「下手さ」をトラウマにし、技術で選手を選んだ結果、本来の勝負強さを失った。

ドイツらしさが帰ってきた。技術ではない、気持ちの強さでプレイをする。強引な攻撃。無理をする選手達。その無理というのは、たとえば日本の、中田のパスのような自分主義ではない。自分が突っかけ、相手ごと潰れる。そこにエアポケットが出来る。そこへ飛び込む。そういう無理。中田の無理は単なるー1だが、ドイツは「相手もー1」になる。その事態に慣れていない相手の方が不利。

相変わらず守備はお粗末。ディフェンダーの選手ランクは32チームでも下から5本の指に数えられる(この大会を通じて、お粗末なラインコントロールを諦める分別を身につけ、いくらか強固になったが)。中盤の選手も、特別凄くない。FWも別格ではない。GKもそこそこ。それでも、振り返ればドイツは、強かった時代からこういうチームで上昇を誇っていた。華は全くない。特に今のチームはない。だからこそ強さの根元に立ち返ることが出来たのかも知れない。ドイツは優勝するかも知れない。この「下手なごり押し」を倒すのは大変だ。

スウェーデンという素晴らしいチームがここで消えたのは残念。ラーションがあのPK決めていれば五分だったろう。それともう少し精度の高いプレイスキッカーがいれば、点が取れただろう。それでも、このドイツは負けて仕方ないというチームだった。優勝するかどうかは分からない。でも今日のドイツに勝てるチームはなかった。あんなの無茶苦茶だ。しかし魅力的。ドイツ美学。人はそれをゲルマン魂と呼ぶが、本物のゲルマン魂は逆境で発揮される。まだまだ。これから逆境のドイツが見たい。

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