Wcup06・メヒコ−アルゼンチン

この両チームらしい、好試合。相手の隙を窺い、急所を突き合い、騙し合い、裏をかき合うサッカーの醍醐味の詰まった一戦。人によってはこういうゲームを「せせこましい」と感じるのだろうが(ブラジルやイングランドのファンは特に)、サッカーは単純なスポーツではない故に、こういうメンタルゲームこそに私は面白さを感じる。良い試合だった。ブラジルやイングランドのように、その場任せ、個人技+フィーリングの行き当たりばったりサッカーではなく、絡み合う有機性と戦略性がピッチのあちこちに描き出される素晴らしいゲームだった。

アルゼンチンが普通じゃなかったのはメヒコの巧さ故だろう。アルゼンチンのやりたいことは明白に分かっていたし、それに必要なリケルメへ繋ぐ人間とリケルメからのターゲットを締め付けていた。要はそこなのだ。リケルメの驚異は周囲の選手によって生み出される。単独ならば放置してもさほど驚異はない。リケルメはバスケでいえば良質の3ポインターのようなモノ。PGのパス(カンビアッソ・ソリンからの流し)とポストマンの戻し(クレスポの落とし)が無ければその驚異は薄らぐ。流石メヒコ。

それに対し、前線の位置調整で相手に「ずれ」を生じさせたアルゼンチンも流石。絶好調のサビオラを信頼し、メヒコの網をほぐす役割を与えた。それは十二分に達せられたが、やはりリケルメの「重厚感」がネックになっている感は否めなかった。サビオラがいくら動いてもそこを利用しない。ソリンの上がりを補助もしない。ただ定位置をたゆたう王様。21世紀の先進性漂うアルゼンチンにおいて、リケルメの周りだけ80〜90の香りが漂う。きっとペケルマンは最後まで彼を信頼し続けるだろうが、どうも…。アイマールが入ったのは本当に嬉しかったが、あれがリケルメとの交代だったら…。あと右のスカローニ。あそこにもう少し上の選手がいれば。間違いなく優勝出来るチームだが。

勝ったアルゼンチンを悪く言うのは変かも知れないが、私はこのチームに圧倒的な優勝を望んでいるので、明白な欠点が見えるのは本当に残念なのだ。イタリアも然り…ブラジルに飲まれる前に改善すると良いが。その前にドイツか…。

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