人馬に感謝。

5/8  引退
脚元の状態が芳しくないことから経過を観察していましたが、あまり良くない状況のため追い切りを控えることにしました。「週末に大きめを乗り、今週追い切って競馬という考えを持っていたのですが、球節まわりがモヤモヤしていてあまりいい状態ではありませんでした。体が大きいし、脚元の格好からも負担がかかりやすい馬で、ここ最近は特にうまく付き合っていかないといけないという状況で、今回も可能な限り競馬へ向かっていけるように調整をしていたんです。しかし、予想以上に芳しくなかったことから今週の追い切りは取りやめて念のためレントゲンを撮りました。骨に異常はなかったものの、診断の結果、左前脚に繋靭帯炎を患っているとのことでした。これからオープンで戦っていこうとすると生半可な仕上げで向かっていくわけにはいかないところもあります。しっかり仕上げをやろうとすればするだけリスクも増えてしまう悩ましい状況でもありますが、場所が場所なだけに万が一の事故にもなり得るもののため、何かある前に判断してあげるべきなのではないかと思いました。デビューが遅くなりましたし、最初のころはどこまで頑張ってくれるかと心配と期待と両方の気持ちを持ちながら接してきました。なかなか使い込めず休み休みの使い方だったことは非常に申し訳ない気持ちもありましたが、ご理解をいただいていたおかげで、8歳まで頑張ってくれました。しかも、前走は驚きといっても過言でないくらいの勝利をあげてくれオープン馬にまでなってくれましたからね。本当によく頑張ってくれました。最後がこのような形になってしまったことを大変申し訳なく思いますが、皆様にも、ビンテージにも感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました」(上原師)前走は多くの人をあっと驚かせる走りっぷりで見事オープン入りを果たしてくれましたが、ここまで常に脚元に抱えた爆弾との付き合いでした。天栄でも厩舎でも苦労しながら接してくださっていて何とか頑張っていければと考えていましたが、これ以上酷使するのは得策ではないと判断いたしました。繋靭帯部分の損傷がひどい場合、命にもかかわってくることもあるため、ここまで頑張ってくれたビンテージにそこまでを求めるのは良くないと考え、上原博之調教師と協議を行った結果、今週の出走を取りやめ、ここで現役を引退して競走馬登録を抹消することになりました。なお、本馬に出資されています会員の方へは追って書面をもちましてご案内いたします。


 ついさっき、お知り合い馬の引退の報を受け、お疲れ様コメントをしてきたところだったので、驚きました。でも、出資者としたら、デビューする前から今日まで、いつこの漢字2文字を見るか、という不安を抱えた生活だったのでは無いかと思います。ある種の覚悟はずっとありました。


 3歳の2月にデビューして、前走までで26戦。おおよそ5年の現役生活、と考えると年5走ちょっとと非常に少ないレース数ですが、この馬のコンディションを思えば、良くも8歳になるまで現役を続けさせてくれたものだ、と厩舎には心からの感謝を覚えます。

 何度も言いますが、キャロットには(いや、キャロットに限らずですが)素質は豊かでもどこか痛いところ悪いところ弱いところを抱えた馬が多くいます。そうした馬をいかに適切に対処して、根気強くコンディションを上げて競馬に持って行くか。この馬は上原厩舎じゃなかったら、かなりの高確率で未勝利で終わるか、1つ2つ勝ちつつ早々に致命的な故障をして引退していたことでしょう。そんな馬をごまんと見てきましたし、一口でも何度も何頭も苦い経験をしました。不安のある馬への誠実な対応、上原厩舎はその分野において、私が知る限り日本一です。ここで無理なら仕方ない。そう思えるだけの手当てをしてくれたことに、改めて感謝します。

 準OPで長い試行錯誤が続き、その間ネットでは、出資者ですら見捨てたようなコメントをしている人がいた馬。私も、他の馬、他の厩舎にそう思ったり言ったことは何度もありますので、責めることは出来ませんが、この馬と厩舎に関しては、陣営はもう無理とさじを投げるまではいつもう一花があってもおかしくないと願い続けていましたし、馬だけを見て人を見ない連中を必ず見返してくれるはずだ、と信じ続けていました。前走の勝利は、8歳まで頑張ってきた厩舎と出資者への、馬からのご褒美ですよね。私の一口哲学である「走るのは馬でも走らせるのは人」。それをこんなに体現した馬がいたでしょうか。あ、いや、悪い意味ではいっぱいいましたけどw 良い意味ではこの馬が白眉です。


 天栄もこの馬にはホントに良くしてくれた。時勢も変わり、牧場(外厩)と厩舎の関係性、というのはある意味、馬の成績の3〜4割くらいを占める重要な要素になっていると感じることがあります。というより、牧場と意思の疎通が取れなかったり、言いなりになっていたりする厩舎がどんどん劣化していくって言った方が良いですね。上原厩舎と天栄の連携は最高でした。牧場にも感謝します。


 勿論、馬も本当に頑張った。前走も勿論驚きましたし、嬉しかったですが、1年ぶりのぶっつけで勝った八ヶ岳特別は泣きそうになりました。5勝の内3つが特別戦。何ともありがたい限り。願わくば本賞金ベースでファストロックを抜いて欲しかったけど(あと500万。付加賞込みだと既に超えてます)。過去所有できた古馬OPの中でも最も対照的な2頭。ビンテージが白眉ならロックは馬謖だね。雨の東京新聞杯は俺たちの街亭だよ。


 さておき。ビンテージチャートとの時間はこれで終わりですが、上原厩舎との縁はまだまだ続きます。ミラクルルージュ、レイズアスピリット、そしてエリオットベイにもビンテージとの経験が活かされていくはずです。楽しみです。


 クラブの集まりとかにはあんまり興味がないけど、いずれどこかで上原先生には、自分の口で「ありがとうございました」と告げに行きたいなあー。



 ビンテージチャート、お疲れ様ー。

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