ロブロイ発ペルーサ着。カズーとノリちゃんの「再出発」。

 今週末の青葉賞ヴィクトワールピサの対抗馬として期待度の高い馬が揃ったかなり楽しみなレース。その中でも一番注目されるのがペルーサ藤沢和雄厩舎、鞍上横山典弘、父ゼンノロブロイ。因縁を感じますよね。

 周知の通り、ゼンノロブロイはダービー2着馬。その時まではノリちゃんの騎乗だったが、そのレースを最後にコンビは解消。厩舎の馬に乗ることもほぼ無くなった。ノリちゃんの態度が原因とも、カズー特有の気まぐれとも言われている「事件」ですが、その後、岡部さんが引退し、外人ジョッキーともどうも嵌ったり嵌らなかったり。キー坊は上手くなったけどスケール感がない。そんな流れもあって、徐々に「復縁」を果たした両者ですが、関東中心に競馬を見ている私から刷ると、「このコンビは上手くいっていない」という印象がずっとあります。

 感情的な部分ではないと思います。カズーは、多分自分で言った言葉を忘れてけろっと出来るタイプだし、ノリちゃんも腹を括れば引きずらない人柄。表向きは普通の調教師と騎手でしょう。ですが、カズー馬にノリちゃんが乗ると、どうも「ぱっとしない」のですよね。ノリちゃん独特の、勝負師っぽいオーラがないというか。なんか「乗せてもらってる」感が邪魔をしているのか、闊達さのない騎乗で、いまいちな結果が多かったように思います。

 ノリちゃんがカズー馬の鞍上に「復帰」したのは05年の夏。それから先週までのこのコンビの成績は235戦42勝2着34回3着27回。勝率17.9%/連対率32.3%/複勝率43.8%。悪い数字ではないです。同期間のカズーの成績は16.5%/29.8%/39.7%。ノリちゃんは15.9%/28.6%/38.9%。どちらも自身の平均より上回っています。

 しかし重賞に限ると24戦して2勝2着3回3着4回。うち15頭が3人気以内ということを考えると、微妙な成績です。2勝はフライングアップルスプリングSレッドスパーダ東京新聞杯。G1では8回乗って2着2回(ゼンノロブロイ天皇賞秋とレッドスパーダのNHKマイルC)。

 さて話を戻します。今週、ペルーサ青葉賞に挑むこのコンビ。ペルーサの馬主は山本英俊氏。フライングアップルの馬主にして、東京HRの実質的オーナーです。そうです、コンビ復縁後、この2人が結果を出してきた馬は、ゼンノロブロイを除けばすべて「山本さん絡み」の馬なのですね。その山本さんのゼンノロブロイ産駒でダービーへ向かう。夢の舞台は、このコンビの真の「復縁」の舞台となるのでしょうか。そのためには、ここを勝って無敗で「ヴィクトワールピサの対抗馬」として挑みたいところ。一説によれば、カズーがノリちゃんに「クビ宣告」をしたのは、ロブロイがダービーに出走する前の週だったという話。順調にダービーに向かうとしたら、この2人はどんな会話を交わすのでしょうか。

 ロブロイという馬を通して関係性を見ても、面白いです。ダービー後、コンビ解消したわけですが、その後も「同じレース」に出ることは多かった(まあ、ノリほどの騎手がG1にコンスタントに出ることは当然ですが)。デザーモに乗り変わったロブロイの秋初戦、ロブロイは圧勝し、ノリちゃんはリンカーンで4着。続く菊花賞リンカーンが先着も、アンカツザッツザプレンティに届かず2着。ペリエを鞍上に迎えたロブロイは4着。暮れの有馬記念。ロブロイの背には大先生。シンボリクリスエス圧勝の3着だった同馬から1/2馬身後ろに、ツルマルボーイとコンビを組んだノリちゃん。日経賞を挟んで、春天に挑んだロブロイの背にはオリヴァー。しかしロブロイが2着でゴールした時、7馬身先でゴールし、ガッツポーズをしていたのはイングランディーレ鞍上のノリ。彼にとって、ブラックホークと制した安田記念以来、G1・34連敗(中央のみ)を続けた後の格別の勝利だった。その間、2着10回。その後、ロブロイは鞍上を勝春・岡部さんと変えるも勝ちきれず。迎えた秋、ペリエとの再コンビで、秋3冠を制覇したロブロイ。以後は勝てませんでしたが、「サンデー系の大物」として堂々の種牡馬入り。一方のノリちゃんは、イングランディーレからまた中央G1を勝てない日々。去年、ロジユニヴァースでダービーを勝つまで82連敗。対するカズー。ロブロイの「秋3冠」以後は、厩舎スタッフが調教師になったりなども重なり、ダンスインザムードヴィクトリアマイルを制したものの、すっかり「大レースに勝てない調教師」になってしまった。2001〜05年の5年間で、脅威の重賞出走337回(34勝)を誇った大トレーナーは、以後、先週までで110回しか重賞に出ていない(7勝)。勝利数こそ大きく落ち込んではいないが、平場で数を稼ぐリーディングトレーナーと言われ。天下のカズーとしても、現状に満足が行くはずもない。

 ペルーサには様々なものが託されている。カズーの「復権」。ノリちゃんの「勢い」と「失った日々への挑戦」、それに山本さんの「夢」。今週末もですが、今後どんな競争生活を過ごして行くのか、とても楽しみです。

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