死ぬほど退屈

 代表戦。ここ数年で一番見ているのが苦痛だった。勿論、今EUROを見ているせいで寝不足と言うこともあるし。レベルの差は言うまでもないが、だからといって「ヨーロッパのサッカーと比べると日本は……」なんて事は言わないけど。NBA見たあとに高校バスケを同じ目で見たら見るに耐えないに決まっている。高校バスケにはその楽しさと見方があり、その「日本代表の見方」をした上で、最低に近い試合だった。
 「日本人は技術がある」「アジアでは突出した技術」というが、それはあくまで温室育ちの技術。コンディションが悪い際に発揮される技術というのはメンタルに負うところが多い。技術10、メンタル5の選手が居たとする。彼はパーフェクトなコンディション・環境で10の力を出すが、環境が悪いと5がマックスになる。日本はそういうチーム。大半の日本人選手はそういう選手。「アジアで突出」しているとは言い難い。バーレーンの方が、勝つためのサッカーとしてはずっと洗練されている。

 なんだかんだで(EUROと)一番レベルの差があるのは選手ではなく、放送局でしょう。カメラマンディレクター、スイッチャーと言った方々も含めた、放送のソフト面。それこそ突出したハードがありながら、役に立たない。良い例があの「スーパースロー」。多分、野球中継とかの速度感覚しか持ってないんだろう。サッカーという、スピードの緩急のある競技に画像が付いて行けていない。PKのような、予定されたハイライトは取れても、流れの中ですぐに見たいリプレイというのが全然出てこない。何のための技術か。無論、カット割りみたいな「脚本に基づいた映像演出」は欧州の放送よりずっとレベルが高い。その辺は日本人の真骨頂だろう。だが、サッカーをテレビで観戦するにはそれで充分ではない。欧州のサッカー中継はリプレイが早く、的確だ。むしろ、日本のようなスタイルなら、1カメ固定でずっと引きの映像を見せられた方がサッカー観戦としては楽しめる。勿論、慈英や松木、香取と言った代表のサッカーに寄生する「茶番の申し子」も含め。アナウンサーもド下手。実況者が綴るのは希望や心情ではなく事実とリズムであるべきだ。日本のアナウンサーは決定的にサッカーのリズム感がない。音痴とも言える。「初心者向けの放送」と言うが、初心者にこそ最高のモノを提示しなければ、何を持って満足するか分からなくなってしまうだろう。「代表の試合がつまらない」のは監督・選手だけのせいではないと強く感じる試合だった。

 勿論岡田も相変わらず酷い。例えば前半ミスを連発していた安田はどんな指示を受けてピッチに立っていたのか。ハーフタイムにどんなことを言われたのか。彼は失敗にめげずヤンチャに突っかけるのだけが取り得なのに、後半の入りはすっかり萎縮してボールを持つたびに子犬のように遠藤を捜していた。明らかにコンディションの悪い俊輔に何を望んでいたのか。その俊輔の周りにいる選手に、どんな動きを望んでいたのか。本田や佐藤寿をどんな意図で使ったのか。何も見えない。ビジョンが全く伝わってこない。だから、見ていて感情移入が全く出来ない。あんな事故のようなゴールで勝っても、それまでの見るに耐えない89分のあとでは全く喜べない。気分的には加茂時代に近い。日本サッカーは黄金紀を予感させるオシム時代から一転、暗黒期に入った。ブチは最終予選への続投を明言している。日本サッカーの夜明けは2010年の夏以降ということだろう。残念だが、今が旬の選手はサッカー協会の犠牲になるのだろう。

 サッカーの神がアジアにも居て、ちゃんと日本の試合を見ていたら、是非最終予選で脱落させて欲しい。このチームが本戦に行っても、なんのインパクトも感動も生まないだろう。戦えるチームに枠は与えた方が良い。

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