ブレイブリーデフォルト

ブレイブリーデフォルト - 3DS

ブレイブリーデフォルト - 3DS

 ちょっと前にクリアしていたのですが、すっかり放置していました。半続編が出る前に一応さっくりと。


 一言で言えば良作。FF系列としては9以来の当たりだろうし、単純にRPGとして見た時も難易度の高いテーマを無難にこなしつつ、ゲームとしてのおもしろさはしっかり追求されている。

 前作?にあたる「光の3戦士」がモノホンの駄作だったので、同じ匂いがして敬遠し続けていたのを後悔しました。今作はまるで違います。キャラ単体としての魅力も、作品通じてのキャラの見せ方も申し分なし。FFシリーズをドラクエと分ける最大のポイントはやっぱりキャラクター(ストーリー)ですよね。ドラクエは、5のような超例外を除けば、基本的にキャラクターは感情移入できないか、しない方がマシな感じ。付随してストーリーもシンプル(言い換えればチープでお約束主義)その分RPGとしての単純完成度が抜群に高い。対してFFは基本的に、RPGとしての完成度の中にキャラクター性と物語性を濃密に絡ませているので、キャラ・ストーリーの魅力が無いととたんに駄作になる。そこに依存しすぎてRPGであることを放棄した面もありますが、今作は間違いなく良質の「良い頃の」FFです。しかも単なる懐古趣味の名作では無く、新作として十分に成立しています。

 ネタバレ的な部分に気づいた時は流石に「お!」となりました。こういう仕掛けを、システムぐるみで盛り込んでくるのは、流石だなあと思いますね。

 ループモノの作りに関しては、まあ、無難かなと言う感じ。ベースの設定は魅力的なのですが、繰り返す世界と、そこの変化(主人公側、世界双方)、やや振り幅に乏しく、プレイヤーの意思でベクトル付けをしていかないと惰性の作業になりかねない作り。この辺はFFというよりロマサガ的な思い切りを感じますが、今のユーザー向けにはもう少しドラマチックに物語を動かしても良かったんじゃないかな。仕掛けそのものの善し悪しと言うより、このゲームのパッケージとのバランスを考えた時、特にそう思います。(以下ネタバレ反転)リングアベルというキャラクターとDの手帳、ラスボスであるエアリーのギミックなど、非常に面白いだけに、なおさら。身内に敵が居る、正義の味方のつもりが知らずに世界の崩壊に荷担していた、というシチュエーションは大変に美味しい。そこの葛藤や絶望を、それまでのゲームの空気感を考えると、意外なほどあっさりと消化してしまった感じがしました。その辺り、脳内で保管すれば良いのでしょうが、FFってその辺を過剰なくらい押しつけてくるゲームでもあるじゃないですか。なんからしくないなあと感じました。1周目で異常に淡泊に切り捨てられる敵方に、2周目以降でもう少し見せ場があるのかと思いきや、せいぜいほんのり救いがある程度。主人公側に複雑なギミックが乗っているので、雑音になりすぎないように配慮した部分もあったでしょうが、敵も非常に魅力的なだけに、やや惜しくもあります。(反転終了)その辺、今度出る半続編でもう少し掘り下げられる、というか誘導含めスムーズになっていると良いんですけどね。

 ゲーム面では、ブレイブとデフォルトというシステムが、最初は面白いんですが、すぐにRPGとしての緊張感とバランスを壊す雑な要素になってしまうのがやや残念。もう少し発動に制限がかかったり、反動があったりすると面白かったと思うのですが。駆け引きの要素も、あるようで無いような。なら普通にギミック取っ払ってRPGとしての良いバランスで提示してくれた方が面白かった気がしますね。この辺も半続編でどう変化するか見物です。

 まあともあれ、もうすぐ完全版? の位置づけの「フォーザシークウェル」出ますし、そちらを待ってから着手するべきタイミングでしょうね。それも踏まえて、今作の点数的には7.5にしておきます。過去の名作FFや良質なストーリーモノ、ループモノを経験していなければ、もっと衝撃的なゲームでしょうし、9や9.5付けてもおかしくないです。若いユーザーさんほど絶賛して、一方でベテランゲーマーにも満足できる作品ではあるのでしょう。つまり良いゲームなことは間違いないです。

 次はその半続編と、パズドラZあたりで。最近アプリゲームが良質なので、ややゲーム専用機を離れつつあるのですが、アプリは所詮暇つぶしの域を出ないので、是非ゲームやさんの意地を感じられるタイトルに出会いたいモノです。

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