日本語は簡単なほど賢い。

 何かブログ界隈って難しい言葉や言い回し、場合によっては漢字を使うことを良しとする風潮があるような気がします。それって暴走族的であり、理論武装で飯を食う教授や評論家人種のようでもあり、なんだかめんどくさいなあと思います。
 私は仕事柄、物書きの書いた文章をちょこちょこ検閲します。彼ら(書き手)はプロのライターで、私は文章で飯を食ってるわけではない、いわばセミプロ。もしくはアマチュア。それでも、10年以上文章畑の界隈で飯食ってると、プロじゃないなりにある程度の評価基準ってのは出来てくるんですよね。彼らプロの文章を、プロじゃない私がジャッジする部分、しなければいけない部分、その為に基準となる「良い文章のイメージ」ってのがあったりします。

 「読みやすい文章」ってのは、余計な漢字の少ない文章。基本、漢字はひらがなが並んで読み苦しくなる場合を除いて、常用漢字と熟語、慣用句以外使わない方が良い。極端な話、漢字にした方が読みやすい部分と、ひらがなだと誤読されてしまう部分以外、全部ひらがなが良い。そこから逸脱した表現・表記ってのは、なんらかの注意を喚起するためにだけ用いられる。つまり、もったいぶった言い回しや、変な倒置、変な繰り返し(韻を踏む言い回し)、万能ではない横文字や外来語を使うのはとっときの着目点・話題の主眼に限った方が、読後の印象がすっとする。

 文章を検閲する際に私が行うことは、漢字表記の統一(例えば:「〜すること」の「こと」は漢字を使うか、使わないかを統一したり)、段落の中で主語がぶれてしまってないかであったり、より簡単な単語に置き換えても通用するセンテンスを無理に小難しくしていないかであったり。特に最後のは「読み物」を作る上では大事。

 難しい表現=レベルの高い文章というのは一番やってはいけない(そしてアマ〜プロの狭間にいる書き手が一番溺れる)勘違いで、レベルの高い文章というのは構成や、その内容の説得力によってのみ評価されるべきで、逆にそこで評価する際に、無駄に凝った表現ってのは邪魔だったりマイナスになったりするもの。一番レベルの高い文章ってのは、結局のところ、一番親しみやすい文章のことだと思うのですよね。無論、日本語力ってのはそれ以前の問題としてありますが。日本語力がしっかりしていれば、単語や言い回し、構成がシンプルなほど、文章は面白いです。えーと、面白いって言い方は違うかもな。「書き手と読み手の、その文章に対する評価のギャップが生まれにくい」ってところですかね。

 繰り返すようですが、私自身は文章で飯を食ってる人間じゃありませんし、ブログで文章を書く際も、仕事でのそれほど気を付けて書いてません。なので、上で書いたことを100%自分で実践してない部分もあるのですが、それでも「無駄に難しい漢字は使わない」「漢字表記は統一する」「無駄な横文字は極力使わない」ということには割と気を付けている、と思います。ブログをやってる以上、少しでも読んで欲しいですし、その反応も少しでも欲しいですし。その邪魔になるものは入れていきたくないんですよね。

 「だったらもっと誤字減らせよ」ってご指摘は、まあ、大変ごもっともなのですがw 言い訳すると、息抜きの部分も大きいブログであんまり真剣に校正をしてからアップしたくないんですよね。勿論脳内で校正はしてますけど、もう少し「垂れ流し」たいという欲求もありまして。えー。いや、もうちょっと気を付けます。

 まあとにかく、ブログをやるようになり、そして人のブログを読むようになり、皆さん(たぶん)本職の書き手じゃないのに随分文章上手いよなあ、と日々感心します。それでも、不要に難しい言い回しをしてるせいで、せっかくの面白い文章が主眼がぼやけたり、単に読みづらかったりと、勿体ないなあ、と感じることが多いです。逆に言うと、ハイレベルなブロガーとプロの書き手の差って、そこだけだと感じますね。「自分の意見を多くの人に読ませたい」と思うのであれば、意識して損はないと思いますよ。それはとても大変なことですが。相当自分の文章に自信がないと、シンプルにはしづらいものです。

 あー、あと自分はどうも改行が下手なのでもっと上手にはなりたいな。改行と句点を上手に使えない(文章のブロックが無駄に長い)ってのも、レベルの高くない文章の特徴ですよね。長い文章ってのは頭の中で整理できてない証明に過ぎず、かっこわるいです。「()を使わない方が良い」ってのは、ブログでは余り当てはまらないルール付けなような。必要ないカッコは、そりゃ要らないですけどね。使わない=読みやすいってのは、全然無いです。少なくとも私の場合。

 余談ですが、「難しい表現に溺れる」「自分の文章に酔う」傾向は男性に顕著な気がしますね。女性ブロガーの文章は、大体男性のそれより読みやすいです。プロになると、そうでもないんですけどね(プロになると、女性の方が自分の文章に酔う傾向が強いように感じる)。それは多分、男性のブロガーは実社会でブログのテーマやエントリ内容について人と話すことがほとんど無く、女性のブロガーは比較的ブログの内容と、日常の会話のギャップが少ないからなのではないかと想像します。女性ブロガーの書く文章は日常会話のトライアンドエラーで培われた洗練された無駄の無さを感じます(無駄がないからこそ、遊びの言い回しなどが多くて、文章が華やぐ)。その辺は素直にうらやましいなと思います。単に性別で括ることではなく、日常生活の意識一つ環境一つの問題ですからね。私にもそういった向上の機会はもっとあるはずだよなあ、と。

 更に余談ですが、最近のノベル作家の方々ってのは、日本語のベース力を付ける前に独自の言い回しなどの「手癖」の部分ばっかり凝ってて、全く読みづらいですね。これはそんな文章を通してしまっている編集者の問題が大きいと思いますが、イラストと同じ流れが文章にも来てるな、と感じます。絵描きも可愛い女の子単体しか描けない人間が山ほど居て、普通に飯を食えている。分母が広がるのは産業としては良いことでしょうけど、求道者精神の足りないクリエイター業種は、虚業と言われても仕方ないよなあ、と思う次第です。

 文章のことを扱ってるエントリがこんな冗長でスミマセン(オチ)。

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