たまには

 最近一口とPOGの投稿しかしてないのでたまには本の話を。といっても漫画関係ですが。

サンドウィッチマンの週刊ラジオジャンプ (単行本)

サンドウィッチマンの週刊ラジオジャンプ (単行本)

 サンドウィッチマンとジャンプ作家さんのラジオ対談を集めた本。漫画家のラジオ出演とか、対談とかインタビューは多いんですけど、サンドってのが良いよなって本です。年代的にジャンプの超黄金期体感してるし、その上の世代の話も聞いてるし、自分と違って作品の質が落ちだしてからのジャンプもちゃんと読んでるし。勿論本人達の目線も面白いし。色々噛み合ってる感じ。

 1人1人のボリュームは少ないんですけど、その分縦軸横軸で作家さんを比較できる面白さがあります。読んでて感じたのは、やっぱ週刊作家さんはそんな先の話まで考えて書いてない人が多いなってこと。勿論中にはちゃんと考えていてポーズで言ってる人もいるだろうけど、あの媒体と毎週の作業の中で、新しい物取り入れて変化していかないと面白い連載は出来ないと思います。ちょっとジャンルは違うけど、経験上言えるのは、最後まできっちり固めて物作りする人より、自分が書きたい場面だけ決めてて、そこへ向けての組み立てや、そこを受けての結末を後から考えていくタイプの人の方が良い物を作る。少なくとも、緻密さや設定を自慢げにひけらかす人間で面白い物作る人と会ったことはないです。そういうのはプロどうこうじゃ無くて中二病ですよね。そういうのを喜ぶのも中二病。大概そういう作家は途中で抜き差しならない矛盾に陥って逃げるか、迷惑顧みずリセットする。それが許されるのは本当に一握りの天才だけです。いかに匂わせずにそういう物を秘めるかがプロで、匂わせたら台無しって気がします。ダサい。そこは好き嫌いもありますけど。私は嫌い。そうじゃない作家さんが多かったのは、良いラインナップだなと感じました。

 中でも一番面白かったのは桂正和さん回。この人は、作品それぞれと言うより作家性が好きなんですよね。映像で見た時もそうだったんだけど、女の子の輪郭に対する拘りが異常。その上、この本では女性を書くのが苦手、という話をしていたり、有名大物編集者とのバトルの話もあったり(大半の作家さんが編集への怒りを大なり小なりぶちまけてますけどw)、良い内容でした。他では、サンドの熱量が明らかに高いゆでたまご両先生は勿論ですが、にわのまことさんと高橋陽一さん、高橋よしひろさん、森田まさのりさんも面白かったなあ。それと名前は挙げませんが、漫画見てなんか嫌いだなあと思ってた人はやっぱりこの本読んでも、鼻について、嫌いな感じがしましたw 作品は人の顔だなあ。

 あと、原作者の人も結構出ているのが楽しかった。しかもちゃんと漫画家という目線で喋ってる感じで。作家さんの語る漫画と、漫画家の語る漫画ってやっぱ違いますよね。

 とまあ、とても面白い本でしたが、個人的にはサンデー(小学館)作家さんでこういうのが読みたいですね。ジャンプってやっぱり一部を除いてジャンプっぽい漫画、っていうラインのどこかになっちゃうんで、話も少し似通った部分が。サンデーの作家さん達はいろんな個性と業が集まった感じで、こういう取り上げ方をしたら面白そうです。

 ついでに最近良かった漫画の話も。

 タイトルで伊勢新九郎かなと思ったら本当にそうだったよねなやつ。ゆうきまさみで歴史ってだけで俺得ですが、これは題材も良いな。室町の香り残りつつ、戦国の足音も近づく時代。その中心から様々な渦中へ飛び込み、戦国武将の先鞭を付けた人、北条早雲の若かりし頃から始まるお話。応仁の乱とか、なんかこう、派手なんだけど地味というか、調理が難しい感じはするんですが、さっぱりした絵柄とゆうき節で上手く娯楽作品に落とし込んでるなって感じです。

 ゆうきまさみって人は表に出ない感情をコマで表現する天才だと思うんですけど、この作品もそこの強みが最大限に活かされている。先が楽しみで仕方ありません。ところどころわざと使っている横文字も面白い。漫画だから、リアル志向である必要は無く、どこを見せたいかってことですよね。素晴らしいです。

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