使命感として。

 このゲームの話をしておこう。

 iPhoneAndroid用アプリゲーム「パズルダービー」。netkeibaの広告などを見て気になった方のために、ゲーム好きでパズドラーで競馬好き、色々あってこの1年で50本以上のアプリゲーをプレーしている者の責任として軽くレビューしておきます。


 端的に言うと、パズドラを爽快なほどにパクった競馬ゲームです。まあ、あとで触れますけどパズドラの良いところを見事に改悪してもいるので、到底お薦めできるゲームではありません。それでも、パズドラに興味があって(プレーして無くて)競馬好きな人だったら、まあアリかも知れませんね。

 パズドラのモンスターを馬に置き換えて、5頭でチーム(デッキ)を組みます。それぞれの馬には属性(赤・青・緑と黄・茶)とタイプ(スピード・スタミナ・勝負根性)があり、その他にレベルとパラメータ、スキルがあります。属性はじゃんけんのような強弱関係、タイプは必殺技に影響するとざっくり覚えればOK。スピードは攻撃力、スタミナは体力(HP)、勝負根性は回復力。スキルは必殺技で、ターン経過で使用するものと常時発動するモノがあります(常時発動はリーダーのスキルだけ反映)。

 パズドラーなら鼻で笑いそうなゲーム画面です。おおよそ1レースが1〜4コーナーとあり、その段階で上記のようにライバル馬が出てくるので、それを競り落として次のコーナーへ進んでいくというイメージで見ればOK。ラストはそのステージのボス(強い馬)が直線で出てきて、それにも勝てばゴール=クリアとなります。

 画面には5属性のドロップとハートのドロップがあり、3つ繋げるとその色の馬が相手に攻撃します(ゲームの概念としてはスピードアップ)。相手のスタミナを0にすれば勝ちです(ゲームの概念としては競り落とした)。パズドラ同様、4秒間ドロップを動かせるので、沢山コンボを繋げて強力な攻撃を繰り出していきます。ハートを消すとスタミナが回復します。

 相手の上に数字がありますが、これはドロップを動かす=1ターン経過で、数字が減り、0になると攻撃してきます。こちらのスタミナが0になると負けです。

 ステージクリアすると、競走馬が手に入ります。これらが手持ちより強力であったり、好きな馬であればデッキに組み込めばいいですし、そうじゃなければ手持ちの馬に食わせて(ゲーム概念としてはトレーニングの併せ馬相手)、レベルを上げます。


 レベルを上げるとパラメータが向上します。上限レベルに達すると進化が可能に。

 進化すると、今までよりパラメータの上限が高くなり、スキルも強力になります。基本は、レース→トレーニング→進化の繰り返しですね。

 ゲームには色んなシチュエーション(例えば有馬記念でオグリと戦ったり、ディープの3冠をなぞったり)で勝ち進んでいくストーリーモードと、時期限定のイベントがあり、限定イベントは実際のレーススケジュールとリンクしていくようですね。今ならスプリンターズS凱旋門賞に挑戦できます。イベントは難易度少し高めですが、クリアすれば見返りは大きい。


 ダウンロードから上記のプレーまでは完全に無料。レースに挑戦するには出走PTというのが必要で、これは勝っても負けても減りますが、一定時間で回復します。課金要素はこの手のアプリの定石「レアガチャ」です。レアガチャはステージ完全クリアで貰える「金の蹄鉄」を5個集めると1回プレーできて、絶対にレア(星3つ以上)が当たります。通常、ストーリーで手に入る馬は星1か2なので、即戦力間違いなし。これをどんどん引きたい場合に、課金して蹄鉄を買うことも出来るんですね。



 とまあ、ぱっと見面白そうかも知れませんが、対比パズドラ的な「劣化」について。まずは1画面のドロップ数/サイズ。ドロップを小さく/多くしたメリットを感じませんね。見づらいしせわしない。単純にコンボを組みづらく、一方でラッキーコンボが増えてパズルゲームとしてのバランスを崩壊させています。パズドラのバランスは腕とラッキーをこれぞベスト、と言うタイミングで整えた奇跡の=計算し尽くされたドロップ数なわけで、だからこそ流行ったのです。そこまで腕に依存しなくて良いんだよ、ってのなら、そもそもパズルにする必要ないし、既存作品をパクるなら綺麗にパクれ、と。半端な創意工夫ほど邪魔なモノは無し。それ以上に致命的なのが、指で隠れるサイズにデザインされていること。コンボを組む際に、指の隙間からドロップが見えるかどうかは非常に大事。パズドラは一般的なスマホ画面でストレス無く操作できるサイズを保っています。このゲームが、タブレット端末でのプレーを前提にしているなら分からなくも無いですが(いや、アホですけどねそれ)、スマホ画面であの大きさオッケーだと思っているなら、なおのことアホです。パズドラは一般的なスタイルとして「左手で端末を持って右手人差し指で操作」ですが、電車内などでは、手の大きな男性なら「左手で持ちつつ左親指で操作」も可能。でもこのゲーム、左親指は壊滅的にアウト、右手でも邪魔。何考えてるんだろう…。


 第2に画面。見ての通り非常にしょぼい。そのくせにパズドラより圧倒的にメモリを圧迫します。活字の置き方やインターフェイスのデザインはブラウザゲーの中の下くらいのレベルですね。スマホアプリはインターフェイスと活字の置き方が非常に大事。どっちもぜんぜん気を遣った気配が無いなあ。


 第3にゲーム性。パズドラはRPGとしての面白さとキャラのバリエーションがベースにありますが、競馬を題材にしたことでRPGとしてはピンボケになり、馬の強弱もなんだかピンと来ませんし、個性なんてあってないような物です。

 そもそもパズドラ的にチームを組んでレースに臨む、と言うのが競馬を題材にする上では非常に微妙ですよね。何故徒党を組んで競馬に臨むのか意味不明。競馬らしさを全然表現できていない、馬という記号を上辺で塗りつけただけのハリボテシステムですね。お金持ってる人が「今パズドラ流行ってるから」と(半年とか1年前に)言ってろくすっぽ頭を使わずに作らせた(作った)感じがひしひし。1年前に出していればちょっと流行ったかも知れませんが、そこは安易な後追いの悲しさ。アプリ業界やブラウザゲーの業界はそれこそ10年20年前のコンシューマ業界PC業界に似てて、安易に儲かると参入しやすいんでしょうね。もうびっくりするくらいセンスのないゲームがごまんと転がってます(大手のゲームにも大量にある。パクリとか、データのっけ替えただけのゴミみたいな収集ゲーとか)。無料だからこの程度でいいや、と考えがちですが、無料だからこそつまんなかったらすぐに投げちゃうんですよね。ましてや課金するまでのめり込ませるには相当なアイデアとセンス、根性が必要。このゲームにはそのどれも感じないなー。


 例えばこのゲームがデッキ制ではなく純粋に1頭の馬を育てる対人(しかも多数)パズルゲームとしてオンラインになったり、ゲーセンにあったりしたらちょっとは流行るかも知れません。それでも育成系のゲーム(ゲーセン、アプリで言えばダービーオーナーズクラブ)に勝る部分は、こと競馬ゲームとしては悲しいほど皆無。まあ、どうにもならない感じです。


 と、結構クソミソに言ってしまいましたが、あくまで「パズドラの劣化版」「競馬風RPG」として見た際に相当しょぼいよねーというだけで、パスドラをプレーして無くて、競馬ゲームを気軽にやりたいな、って人には案外面白く感じられるかも知れません。ここ2日ほどちょこちょこいじって、これは奥がないなと見切った上での記事なわけですが、ひょっとしたら今後化けるかも知れない(まあ、私のキャリアに懸けてそれはないと断言したいところですが)。その際には素直に謝って讃えようと思います。その為にももうちょっとプレーしてみます。この記事見てなお興味持ってしまった方は、何か聴きたいことがあればお答えしますよー。

 最後に、私のフレンドIDを記載しておきます。「3311-9186-9635」です。先ほど5頭でチーム、と言いましたが、その他にフレンドを1人選んで6頭でレースに臨むんですね。気が向いたらどうぞ登録してやってください。いつ辞めちゃうか分かりませんが。

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