(アルシラート)ラスト更新。

 この馬の歴史はまさに森厩舎凋落の歴史と言えますね。かつての際だったレース選抜(空き巣狙い)能力もすっかり翳り(今、この部門では矢作厩舎が白眉でしょう)、ぽつぽつと活躍馬が出るものの、厩舎のオペレーション能力という意味ではもはやB級以下。今後、どんなことがあっても出資はしない厩舎の一つになりました。

 さてアルシラート。セールでの動きを見て惚れ込み、出資。新馬を福永で快勝すると、2戦目に選んだG2デイリー杯でも勝ったオースミダイドウから0.6差。続く福島2歳Sでは勝ち馬と同タイム2着。ええ思えばこれがこの馬のピークでした。

 年明けてOPを連敗すると阪神の自己条件れんげ賞を吉田稔騎手で快勝。続くOPでも32秒台の上がりを記録するなど、夏以降に楽しみを膨らませて休養に。

 ここから苦難の始まり。復帰戦を8着するとその後11着→4着→11着→13着。僅差には来るものの前を差しきる爆発力はない。夏を経て500万に戻るとダートに矛先を変えて初戦、佐藤哲の好騎乗で平場を勝ち、再び1000万に。その後2戦、クラスの壁を感じる競馬を経て横山典を鞍上に迎えた秋の京都で勝利。このレースは完全に騎手の力で勝った競馬で、思えばここで分不相応な準OPに上がったことで決定的に歯車が狂ったと言えるかも知れません。

 その後は除外を見越したレースに出て、狙ったレースには出られないというまったくちぐはぐなオペレーションと、ふらふらしたレース選びで、吉田豊で前粘りした春風S以外はほぼ見所のない競馬。格上挑戦した函館SSで0.7差など、可能性も見せたが、この頃には馬がもう壊れかけていた。セン馬になったりもしつつ、まともに調教も出来ず、競馬が嫌いになったんだろうな、と思える日常。この辺で私は退会したわけですので、その後には触れませんが、まあ、厳しかったですね。

 まともに坂路にも行けない07年夏からの1年間が全てだったでしょう。あるいはその前に(結果として)無駄なOPを使ったことが痛かったでしょう。その状態で坂のある阪神中山を使ったり。他の厩舎だったらもっと良い競争生活になったかも知れませんが、募集段階で森厩舎と言うことが一押しの材料になっていたことも事実。総合すると良い勉強になりました。この馬と、メテオグローリーやファストロック(あるいはウインルミエール)が、馬券を買っているだけでは見えない一流「と言われる」厩舎のマイナス面を勉強させてくれました。結果的に5000万稼いでくれましたし、4つ勝ってくれましたし、出資したのは良かったと今でも思っています。本当に、後は、もう少し馬にとって幸せな競争生活になってくれれば、せめて晩節を汚さずに引退していれば、と思わずにはいられませんけどね。厩舎もクラブもそういった正常なジャッジを望む相手ではないというのは言わずもがななわけで。

 まあ本当に、最後まで面倒を見てくださった出資者の皆様には頭が下がります。半端物がこんなエントリ起こしてゴメンナサイ。これからもお互い、一口、楽しみましょう。

当ブログの一口馬主関連記事の一部はキャロットクラブさまより許可をいただき転載しております。記事の再引用、転載はご遠慮願います。