地方競馬:自己補足。

 昨日のエントリにちょっと補足。何も「全部の地方競馬が無くなってくれればせいせいするんじゃ」と言いたいわけではなく、「何の経営努力も、集客のための独自采配も行えない競馬場は消えていくしかないんじゃない」と言いたいわけです。存続の道は単独で黒字経営を出来るようになるか、地域に必要とされる産業になるかの2択でしかなく、後者の観点に於いて競馬は「賭博である」という色眼鏡が外されない以上、ゼロからのスタートではなくマイナス発進を余儀なくされるわけで。一般企業の社長以上の才覚が経営者には求められるでしょう。当然、そこで働く人たちにもね。

 現に今まで他の地方競馬が潰れていく中で、「同業者の廃業」というショック療法から何も学び取っていないから今日があるわけで。同じ理屈で岩手が潰れても、無理に存続させても、その先にいる「対岸の火事」の方々は何も学ばないと思うのですよねえ。私より高い見識、地方競馬への愛情をもって警鐘を鳴らしている方々には幾ばくかの敬意を感じつつも、「腐った蜜柑の皮だけを取り繕っても内面の腐敗を深刻にするだけじゃね?」という疑問を持ってしまうわけです。経営者が企業意識を持って改革を進めないと、今の「流れを止める」ための行動は全部逆効果に成りかねない。ここ数年で危機感を持てなかったくらい鈍感な人種が、今世論が騒いだくらいでホンイキの危機感を持って行動できますかねえ? 案外「適当に会議やってお茶濁してれば署名とか起きてばんえいみたいにどっかからお金が落ちてくるかも」くらいにしか考えてないかも知れないですよ。

 アメリカには名の知れない競馬場がごまんとありますが、それぞれが超小規模ながら地域のパイにあった競馬場として存在を許されているわけで。私は岩手に大井に対抗しうる規模の競馬場が存在しうるとも、するべきとも思えない。とにかく規模を小さくすること。身の程を知ること。そこがスタートラインでしょう。つまり志はさておきオーロパークなんて「バベルの塔」を立てた時点で今日は訪れるべくして訪れた結果と言えます。やっぱ盛岡は遠いよ。歴史だ、規模だと言われても私のような東京在住の中央偏重競馬ファンにとっては名古屋・笠松より遙か下の存在にしか思えませんし。このギャップこそが地方競馬のセンスの無さであり、岩手の問題であり、全部包括する形で、所詮は国の役人のオモチャ、天下り先に過ぎないと言う現状なわけですよねえ。

 ネットで見識の深い競馬ファンがいくら危機を叫んだって、大多数の一般競馬ファンには全く馬耳東風なわけで。岩手競馬が「壊れる」ことで、競馬産業そのものへの一般ファンの不審のきっかけになればとは思いますが、そこはまた難しい問題ですね。競馬ファンは比較的理論武装が上手な人種が多いのですが、何も知らない人にかみ砕いて伝える能力は(私も含めて)無いのでね。その「マニア」と「ファン」のギャップも他の競技にはない、競馬独自の問題なのかも知れません。今の競馬産業に必要なのは優秀なプレゼンター、プロモーターの類だろうと思い知らされます。大変だ。

 このブログは幸いというか、競馬にそんなに興味・感心がない方も多く見ていただいていますので、一度、以下の、私が思う「一番競馬マニア以外にも理解できるように纏まっている」記事をリンクしておきます。

■Shining Bladeさん
大井の乱
社団法人JBCってナニモノ?
岩手県議会 300億円の競馬組合に対する融資案を否決
岩手競馬 組合への融資案を本議会でも否決
岩手競馬・雑感
岩手競馬存続の可能性

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