驚嘆。

オシムジャパン初陣のベースメンバーが発表されました。注意すべきは、今回の13人がチームの中核なのではなく、中長期に渡り代表の椅子を争う権利をオシムが認めたメンバーであると言うこと。

(印は以前の予見で自分の付けた代表必要度)
GK:◎川口能活(磐田)30y・92cap/−山岸範宏(浦和)28y・nocap DF:▲三都主アレサンドロ(浦和)29y・75cap/○坪井慶介(浦和)26y・35cap/○田中マルクス闘莉王(浦和)25y・nocap/○駒野友一(広島)25y・9cap MF▲田中隼磨(横浜)24y・nocap/◎今野泰幸(F東京)23y・3cap/◎ 小林大悟(大宮)23y・nocap/◎長谷部誠(浦和)22y・3cap FW○我那覇和樹(川崎)25y・nocap/◎佐藤寿人(広島)24y・6cap/◎田中達也23y・2cap
まずメンバーを見て非常に納得する部分が大きく、嬉しい。別に自分の目を誇るわけではなく(誇るまでもない話。Jをちゃんと見ている人間ならば余程のサッカー音痴じゃない限り当然辿り着く回答である)、サッカーが好きな人間にとって納得のいく選考であるということだ。特にセンターラインに◎○評価した選手が並んでいることは好ましい。なぜなら、これらの選手は「闘争心があり」「勝ちに執着でき」「伸び代のある」選手だからだ。経験が絶対的な武器になるGKを除き26歳以下で固めている人選も納得。つまり次のワールドカップを30以下で迎える選手。目先の利益を追求するのでなければ、当然の帰結だ。ファイタータイプ、スタミナに優れた選手、動きの質を求めることの出来る選手が多いのも特徴。

まさにそこが、オシムのポリシーなのであろう。90分戦える、勝利に執着できるメンタル。それをスキルや完成度より重視したからこそのこのメンバー。そしてまさにそれこそが私が日本代表という名を冠するチームに唯一絶対求めるもの。初めてその点が納得できる、こんな嬉しいことはない。

加えて、オシムらしいサプライズも(と言っても上記に照らして再度見つめ直すと納得のいく人選なのだが)。代表の選考で自分の予想を上回られたのは過去ファルカンだけだった(あれは上じゃなく斜めにだったけどね)。山岸は浦和サポの私ですら予想外の人選。ここにもオシムの強烈なメッセージが込められている。浦和で言えば、ほぼ互角の能力を有する山岸と都築。特徴は安定感、バランスの山岸と爆発力、身体能力の都築。GKに必要なもの、というか控えGKに必要なものは前者だということだ。それはそうだろう。山岸の出番があるとしたら、川口が怪我をするか、退場になるか。いずれにせよスクランブル発進を余儀なくなされることは必至。その点において今27歳以下の日本人GKで一番優れているという見方なのであろう(年齢を気にしなければ山岸タイプの上位選手に土肥がいる)。やはり同世代、ないし年上の選手では川口にプレッシャーをかけ続けることは難しい。

アレに関してはオシムの言葉を借りれば「古い井戸の枯れていない水」のひとすくいか。ドイツ杯で見せた戦うメンタリティ。その点において中田が去った今日本最高の選手はアレと川口であろう。そう考えれば納得の選考だし、若手にとってはがむしゃらにアレを追い越さない限りチャンスはないというメッセージでもある。オシムの申し子村井、浦和の相馬などにその現実が突きつけられたと言えるだろう。アレ以上にサッカーと真摯に向き合う。これは日本人には大変厳しい課題だ。願わくばアレが年齢的限界を見せる前に実力で奪い取るシーンを見たい。それが相馬だと嬉しい。

田中隼は大胆にサイドをえぐれる思いきりのある選手であり、スタミナとダイナミズム、闘争本能を高いレベルで兼ね備えている。言うならばIQと運動の質が20倍高くて運動量は同じな加地みたいなもの。まあ、素質という意味で雲泥の差であり、比較するのは隼磨に失礼だけど。駒野との持ち味の違いも興味深い。

この後、ガンバ、ジェフの選手を中心に数名が追加され、スタメンを決めることになるだろうが、これから選ばれる選手、選ばれなかった選手共にオシムが代表に求めるものがこのメンバーには込められていること、そのメッセージを受け取り、体現できるかどうかに(招集されるかどうかが)掛かっていると言える。面白い。

私が◎を付けたが選ばれなかった選手達。鹿島の岩政大樹、千葉の阿部勇樹佐藤勇人巻誠一郎羽生直剛の4人はA3が終われば確実に合流してくるだろう。逆に松田直樹にとっては厳しい現実が突きつけられた。29歳の彼にとってこの選考に入らなかったことはワールドカップへの道がほぼ消えたことに等しい。もう一段(パフォーマンスの)ギアを上げる力があるだろうか。是非もう一度代表で輝いて欲しい選手だが。中村北斗に◎付けたのは単純なミスです。彼は五輪経由で2008年以降100%選ばれるでしょう(でも五輪なんてどうでも良いイベントよりフル代表優先なのは当然だと思うが。まあ全ては2008年以後の体制固まってからかな)。

そして何よりも、選手以上にオシムの手腕に期待するのは、1にマスコミの教育。2にサポーターの教育。3に協会の教育。この日本サッカー進展の枷となっている「三悪」を質向上させることが出来ればオシムは日本サッカー界の神になる。そこまでする義理はないのは重々承知で、少しだけ「オシムなら」と期待している。

最後に、レッズサポとしては6名の選出は嬉しくもあり、困りもする。今年のリーグ戦どうなるんだろう? でもオシムの薫陶を受けてクラブでどのように彼らがプレイするかは、近年にない楽しみで、感謝。残念なのは鈴木啓太。絶対選ばれるべき選手だが。しかし今野と比した際、その選択はつまり「マケレレガットゥーゾどっち?」ということになる。両方使えないとなったらマケレレという判断は納得がいく。チャンスは今後間違いなくあるはず。まずはクラブでのパフォーマンスを開幕からの最高レベルに戻して欲しい。今野は近年足元に爆弾を抱えだしているし、代わりの選考となれば彼しかおるまい。それにしてもジェフ組の控えに甘んじる可能性はある。奮起せよ〜。

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