社会人のレジュメ。

私は普段、ちっこい会社ではありますが企業の役員などをやっております。まあ、はばったい言い方をすると人を使う・査定する立場にいるわけですが。

最近思うのが、自己評価と企業評価のギャップってやつです。社会に出る人間、特に物を作る仕事をしてる連中なんてのは、大なり小なり自信家なわけですが。で、仕事してると、大小の約束事というのが存在するわけです。例えば、大きな事だと納期が●月なので、そこへ向けて逆算してスケジュール組もうとか、小さいことだと、明日の10時に必要な物があるのでそれを作りましょう、とか。

一般的な感覚で言うと、大きな約束事の方が評価に影響すると思いません? でも雇用者からすると、小さな約束の方が査定印象には影響するんですよね。

大きな約束・スケジュールというのは企業の浮沈に関わることが多いので、責任を強く持ちますし、何か問題が起きた場合は心底反省したり、教訓を得たりするモノです。けど、小さな約束ってのは結構なあなあで流される部分もあり、あまり実践できなかったことの「痛み」は体感せずに済むんです。大抵の場合、上司なり同僚なりのフォローでダメージが発生せずに済みますし。

でも、だからこそ、大きな約束を守る、ということは企業の中の自分が問われ、それが推考できない原因には企業の構造の問題もあるわけですが、小さな約束というのは自己管理能力と、自己分析能力が問われるんです。私個人で言うと、大きな約束を達成できなかった人にはもう一度頑張れ、といいますが、小さな約束を守れない人間は、黙ってその人間の評価を1点減点します。それが積み重なると「ああコイツには大きな仕事は絶対任せられない」とか「仕事は渡すけど、失敗した時の対処を事前に考えておこう」となるのです。

それは何故かというと、そうやって日々の小さな約束事、ルール付けから自分の評価が定まり、周囲の信頼が変化し、自分の待遇に繋がっていくという認識に乏しいからですね。短期スパンのスケジュールが守れないってのは、自分を客観視する能力に乏しい、想像力に欠けるということで、大きな約束を守れない人間よりも「使えない」となるわけです。逆説的ですが、今日明日の自分を想像できない人間に半年規模の仕事を任せることは不可能というわけです。自分が見えていない、というのは社会人としては致命的な欠陥です。

時4月。丁度、新卒で社会人になった人や、新しい環境に身を置く人の多い季節。そこで一つアドバイス。例えば「3ヶ月で10件契約を纏める」みたいな約束は、例えば遂行できなくても何とか取り返しが利きます(ただし途中報告などちゃんとすること。じゃないと只の無能ちゃんなので)。逆に「明日10時に書類を届けます」とか「明後日までにこの資料を纏めます」という約束は決して破ってはいけません。逆に、周りよりその点を意識して、短期スパンの約束をしっかり果たしていけば、必ず同期より出世できます。そのためには、自分がその時間で何が出来るかという能力の分析+何らかの事故、割り込みがあっても取り返す余力が自分にあるかという分析。その能力が出世の鍵です。

とにかく、社会人に最も重要なスキルは「自分を客観的に見て、分析する能力」と、「トラブルが起きた場合を想定して、そのための余幅を常に持っておく」こと。この2点。技術やなんかなんてのは、その次です。10の仕事をする能力がある人間が「俺は10だ」と評価していて、8の人間が「6だ」と評価してるとする。会社として使えるのは後者なのです。自分のポテンシャルを実力と思ってる人間は、絶対失敗しますし、周りに迷惑を掛けます。前者が必ず陥るのは「俺はこんなに出来るのに周りが分かってくれない」「俺の能力が生かせる環境じゃない」「***の事故がなければ…」という自己憐憫。企業にとっては、一番迷惑なタイプの人間です。後者はそうじゃありません。とかく、MAX値で評価されがちな所はありますが、その点しっかり自覚して、自己分析しましょう。

まあ、出世したかったら腕を磨く前にまず自分を知れ、ということですね。で、安請け合いをしない。した約束は100%守る。全く当たり前のことですけどね。案外、というか大半の人間はこれが出来ないので、出来るだけでも一生楽に食っていけます。ガンバレ。

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