予定調和の敗戦から得たモノ

アメリカに負けた。アメリカはリアリティのチーム。華やかさはないが、現実性に基づいた強さで、状況によって崩れることはない。その相手と、ホームで戦えば、負けるのは必然。それはいい。要は、そこから何を得たか。

まず。前半の1トップ2シャドー。これは日本のメンバーを考えると愚策中の愚策。復帰して体幹に安定度を欠く久保と小野の性質、完成度を考えると100%あり得ないシステム。その前半で、あの怠惰な両サイドで、アメリカに完全に試合をコントロールされるのは必然。何のテストだったのか? 意味不明。そもそも、「敵の隙間を見つけだす能力」の小野と「味方の隙間を調整する」能力の小笠原、この二人に飛び出しを求める仕事をさせるなんて正気じゃない。どっちも、前にターゲットが2カ所以上あって、初めて輝きを増す選手。それならば、トップ下置かずにウイング2枚の方が良い。もっとも、日本にはウイング概念が存在しないのですが。

後半は良くなった。2トップになったことでサイドの役割がはっきりし、「弱所」がカモフラージュされた(改善はされていない、あくまで誤魔化し)。小野が中盤に下がったことでボールの意図が明確化された。1点は紛れ要素だが(また右の奴は死ぬほど凡ミス繰り返した後にああいうプレイ一発で誤魔化す運を持っている。腹立たしい)、アメリカに「委ねた」試合展開でなくなったことで、様々な「意図」が見えた。

小野と本山を替えるさらなる愚策(完全に逆だろう。本山こそ2シャドーの一角で使わなかったら、何のために存在するのかという選手だろう)で泥試合になったが、中盤の良さが出て、知性を感じるボールの動きがかいま見えた後半には、まずまず満足。

阿部と長谷部はやっぱ良い。阿部ちゃんは自分から戦う意志を周りに伝染させられる力とバランス能力がある(今のヤット、福西、稲本よ全てにおいて上だろう)。長谷部にはリズムを変えるセンスと緻密さ・物怖じしない大胆さがある(パスセンスは中田や小笠原より全然上。何と言っても空気が読める)。二人に共通するのは「活性剤」としての要素。バイタリティとセンス、知能。両者とも、周囲の信頼をもっと勝ち取れば、2006以降の主軸になる選手。是非本大会を「経験」させてやりたい。佐藤はあの流れでは「らしさ」発揮しづらく、気の毒。本人も言う通り、チャンスはあとちょっと。どうかな?

とにかくね、「とことん軽い」あのDFちゃん達がどうにかなればね(ハイボールに強いって言っても、「本物の」FWには通用しないしね)。ぬるすぎるよセンターバック。更に深刻な、全く貢献できてない両サイドの守備。アメリカみたいなチームと戦う上でまず考えるべきは「最悪でも1失点」。2点取れたのは僥倖だが、本質的には1−0で勝つしかない相手。そんな基本的なことが分かっていないのだろうか? 約束事無しか。アマチュアか。

それにしてもあのボール、転がってると歪んで見えて気持ち悪いね。

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