キンカメvsネオユニ第2ラウンド。

 キングカメハメハ。2004年日本ダービー馬。2008年に2歳がデビュー。本年が2年目の種牡馬

 ネオユニヴァース。2003年日本ダービー馬。2008年に2歳がデビュー。本年が2年目の種牡馬

 同じ社台ファームに繋用されて、 昨年、同期種牡馬デビューした2頭のダービー馬。現3歳世代は両2歳G1を完勝したキンカメが「爆発」しています。一方のネオユニはやや地味な印象も。実際はどうなのでしょう? TARGETでデータを引っ張ってみました。

■現3歳世代成績比較

  • キングカメハメハ 獲得賞金51760万/1走あたり196万/1頭あたり575万 
  • ネオユニヴァース 獲得賞金30095万/1走あたり133万/1頭あたり354万

 と、ご覧の通り、ここまでキンカメが「圧倒」しています。賞金は両G1馬に引っ張られている部分もありますが、勝率でも馬券の回収値でもキンカメがずっと上。特に複勝率は凄いですね。現3歳のキンカメは3回に1回馬券に絡んでるわけで、単に目立つだけじゃなく、馬券的にも美味しい状態。今や猫も杓子もキンカメという雰囲気ですが、ここで去年の世代を思い出してみましょう。

 2歳戦が始まるやいなや、フィフスペトルが牽引してキングカメハメハが好スタート。「大成功」と騒がれ、一方のネオユニヴァースは、ロジユニヴァースなどが気を吐いたものの、人気を裏切る馬が多く「失敗」と言われていました。

 それが秋〜暮れになると様相が一変。キンカメはフィフスに続く大物が出現せず、エースもゴタゴタがあって勝ちきれず。一方のネオユニヴァースロジユニヴァースアンライバルドを中心に続々大物が出現。その傾向は年が明けて更に加速し、ネオユニ産駒はクラシックを席巻。「大成功」と言われ、一方のキンカメは「早熟」「失敗」と言われ出しました。

 まあ、何が言いたいかというと、キンカメの勢いは素晴らしいですが、そうは言っても今年のネオユニが駄目なわけではない、むしろ結論はこれからと言うことです。2008年末の段階で、キンカメは25勝、一方のネオユニは22勝。ネオユニは、去年も今年と同じくらいの「立ち上がり」だったんですな。そんな去年の3歳(現4歳)のここまでの成績を、同様に見てみます。

■現4歳世代成績比較(はダービー/2歳末まで)

  • キングカメハメハ 153頭デビュー/1123戦
  • ダービーまで(141頭デビュー/652戦)
  • 2歳年末まで(86頭デビュー/232戦)
  • ネオユニヴァース 133頭デビュー/880戦
  • ダービーまで(118頭デビュー/539戦)
  • 2歳年末まで(84頭デビュー/211戦)
  • キングカメハメハ 1123戦114勝2着119回3着105回
  • ダービーまで(652戦64勝2着81回3着60回)
  • 2歳年末まで(232戦25勝2着32回3着19回)
  • ネオユニヴァース 880戦67勝2着86回3着67回
  • ダービーまで(539戦44勝2着53回3着43回)
  • 2歳年末まで(211戦22勝2着25回3着14回)
  • キングカメハメハ 勝率10.2%/連対率20.7%/複勝率30.1%
  • ダービーまで(勝率09.8%/連対率22.2%/複勝率31.4%)
  • 2歳年末まで(勝率10.8%/連対率24.6%/複勝率32.8%)
  • ネオユニヴァース 勝率07.6%/連対率17.4%/複勝率25.0%
  • ダービーまで(勝率09.1%/連対率18.7%/複勝率27.3%)
  • 2歳年末まで(勝率10.4%/連対率22.3%/複勝率28.9%)
  • キングカメハメハ 獲得賞金164741万/1走あたり146万/1頭あたり1077万 
  • ダービーまで(獲得賞金89890万/1走あたり137万/1頭あたり638万)
  • 2歳年末まで(獲得賞金37890万/1走あたり163万/1頭あたり441万)
  • ネオユニヴァース 獲得賞金137165万/1走あたり154万/1頭あたり1031万
  • ダービーまで(獲得賞金98425万/1走あたり181万/1頭あたり834万)
  • 2歳年末まで(獲得賞金31090万/1走あたり146万/1頭あたり370万)
  • キングカメハメハ 単回収値082円/複回収値084円
  • ダービーまで(単回収値064円/複回収値087円)
  • 2歳年末まで(単回収値049円/複回収値077円)
  • ネオユニヴァース 単回収値051円/複回収値082円
  • ダービーまで(単回収値052円/複回収値096円)
  • 2歳年末まで(単回収値068円/複回収値065円)
  • キングカメハメハ 芝63勝・勝率09.4%/ダート51勝・勝率11.4%
  • ダービーまで(芝37勝・勝率08.7%/ダート27勝・勝率12.0%)
  • 2歳年末まで(芝19勝・勝率10.4%/ダート06勝・勝率12.0%)
  • ネオユニヴァース 芝43勝・勝率07.9%/ダート24勝・勝率07.2%
  • ダービーまで(芝33勝・勝率09.1%/ダート11勝・勝率06.3%)
  • 2歳年末まで(芝17勝・勝率09.8%/ダート05勝・勝率13.5%)
  • キングカメハメハ 牝馬34勝・勝率08.5%/1人気42勝2着28回・勝率30.9%
  • ダービーまで(牝馬13勝・勝率05.8%/1人気28勝2着21回・勝率33.7%)
  • 2歳年末まで(牝馬05勝・勝率06.4%/1人気11勝2着07回・勝率36.7%)
  • ネオユニヴァース 牝馬21勝・勝率05.1%/1人気25勝2着29回・勝率25.8%
  • ダービーまで(牝馬11勝・勝率04.5%/1人気15勝2着15回・勝率25.4%)
  • 2歳年末まで(牝馬09勝・勝率09.0%/1人気05勝2着06回・勝率25.0%)

 という感じ。何か見づらくなっちゃいましたね…。ともかく、ネオユニに関しては、今年の3歳と去年の3歳、現時点での数字に大差ないことが窺えると思います。単にキンカメが良すぎるのです。

 ただ、私は今後ネオユニが昨年同様に数字面で追いついてくると思います(その昨年も、全面的にネオユニ>キンカメじゃないことは上記の表の通り)。ここまでのキンカメのリードは、勿論OPクラスの馬がレベル高いこともありますが、やっぱり、厩舎関係者・牧場関係者の心理が大きく働いていると思います。すなわち、キンカメは昨年、夏>秋冬>3歳と失速した「イメージ」。なので、今年も有力キンカメは早めにデビューさせている。対するネオユニは昨年、夏<秋冬<3歳と加速した「イメージ」。なので、今年の有力ネオユニはじっくりデビューさせている。そんな所じゃないでしょうか。それが正しいとすると、その中で昨年並みの数字を残しているネオユニは、今後、昨年以上になる可能性を秘めています。一方のキンカメは?

 違いはキンカメのダートに表れているかも? 3歳キンカメは、ここまでにダートで9勝。一方3歳世代は6勝。その全てが未勝利。基本的に、「芝でデビューさせた馬がダートで勝ち上がる」というパターン。今年のキンカメは、ダートの新馬を勝った馬が2頭。2戦2勝のソリタリーキングや、ダートで2勝しているサンライズクォリアなど、上の条件でも3つ勝っています。ネオユニの数字は大差ないですね。こうしたところも、キンカメを「適材適所」でデビューさせて、勝ち上がらせていると言う裏付けになるのではないでしょうか。

 そんな「両雄」が今後、どんな戦いを見せていくかとても楽しみなわけですが、週末にはルーラーシップゴールスキーが若駒Sで激突予定。現3歳のOPクラス(OP馬はキンカメ7頭・ネオユニ2頭)では、キングカメハメハが17戦3勝(東スポ杯2歳S・ローズキングダム阪神JFアパパネ/朝日杯FS・ローズキングダム)。ネオユニヴァースが12戦3勝(いちょうS/トーセンファントム・京都2歳S/ヴィクトワールピサ・ラジオNIKKEI杯/ヴィクトワールピサ)。直接対決は、新潟2歳S(キンカメ・コスモセンサー13着/ネオユニ・オーロラナイト16着)、東スポ杯(キンカメ・ローズキングダム1着/ネオユニ・トーセンファントム2着)、阪神JF(キンカメ・アパパネ1着サリエル15着/ネオユニ・タガノガルーダ9着)、朝日杯FS(キンカメ・ローズキングダム1着/ネオユニ・トーセンファントム14着)、ラジオNIKKEI杯(キンカメ・アドマイヤテンクウ5着/ネオユニ・ヴィクトワールピサ1着)と、キンカメ優位。個人的には、2000mを超えればネオユニ>キンカメと思いますし、同じ理由でヴィクトワールピサローズキングダムと見ています。ゴールスキー・インペリアルマーチは是非クラシックに乗って欲しいですし、乗ってくればかなり有力な気がします。

 あと、POG視点に固執しなければ、キンカメが決して「早熟」じゃないことも、数字に表れつつあります(勿論、最低限初年度世代が5歳になるくらいまで見ないとジャッジ出来ない部分ですが)。1頭あたりの賞金ではダービー後、キンカメがネオユニを再逆転していますし、距離で見ても、2200m以上はキンカメが7勝でネオユニが2勝。ネオユニの良積は1600〜2000に集中しており、キンカメの方が「上下に」守備範囲が広い感じ。数字の様相と、私個人の感覚論を混ぜて言うと、キンカメは「早くから走った馬がやや伸び悩む一方、ゆっくりデビュー/勝ち上がった馬はその後堅実に走ってくる・上の条件に挑戦していた馬が、自己条件に戻ったり条件を変えて巻き返す/立て直しが利く」感じ。ネオユニは「王道デビュー馬が表街道にしっかり乗っていく一方、早めに動いた馬や軌道に乗り遅れた馬は苦戦傾向・上がり馬はそんなに出てこない・崩れた馬は条件を変えても間を空けても巻き返しが難しい」感じ。3歳の傾向を見た上でも、私的には「堅実度ならキンカメ、一発大物ならネオユニ」という認識です。3年後には、案外ネオユニが早熟とか言われているかも知れませんよ。また、来年の今頃調べなおしてみたいですね。

 ネオユニって、牝馬がイマイチな印象もありましたが、現3歳世代はそんなに遜色ないですね。大物がまだ出ていませんので、今後に期待しましょう。

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