「通好みの」AZ。

 AZ−ブレーメンのUEFAはスコアレスドローでした。他の試合が得点大きく動いたので、地味な印象でしょうが、試合のレベルとしては、このカードが一番ハイレベルだったと言えるでしょう。

 ブレーメンは、ドイツ屈指の強豪であり、代表クラスの多いチーム。ここまでの戦いに何の驚きもありません。驚くべきはAZ。このチームのバリューを考えた時、今の戦いは驚異的としか言い様がない。

 「通好み」というのはAZというチームそのものを指しているのではない。ここ数年、好選手を擁し、「ビッグ3」を完全に食う立場のチームに化けた。「AZ」というチーム・ブランドそのものを指すのであれば「通好み」ではなく、「オランダの好チーム」であり「サッカー好きなら誰でも知ってるチーム」である。「通好み」なのは今年のAZ単体を指す。今年は、その主力がほとんどおらず、エールディビジで「Bクラス」のチームにいた選手や、他のチームで控えとしてくすぶっていた選手を集めた「ジャンクチーム」が、今これだけの戦い(UEFAのみならずリーグ、国内カップも視野に入っている!)をしていることが凄い。

 はっきり言って、今のAZのメンバーを、胸を張って「知ってる」と言えるのは相当のマニア、サッカーおたくに限られる。そのくらいマイナーであり、近年急激に伸びた選手ばかりで構成されたチーム。このチームにおけるビッグネームはファンハールただ一人と言っても良いだろう(無論クラブでの活躍を通じ、国内組を尊ぶファンバステンのメガネに適う選手は増えてきている)。オランダは選手輸出国・リーグである。その中でもビッグ3を除くクラブは「ビッグ3の養殖場」に過ぎず、フィテッセやヴィレムⅡの様なチームが単年、ないし2年くらいの周期で強くなることはあるが、その後は草刈り場となり、定位置に戻っていく。

 それに対し、ここ数年のAZが見せている「継続力」と、「育成力の高さ・速度」は驚異的だ。オランダの常識に沿っても、明らかに水準を大きく超えている。これをファンハールの手腕と見るべきか。バルサ・代表ですっかり「能力限界」を見せたファンハールだが、まだ国内・そして「海外を知らない」素質溢れる選手を魅了するカリスマには溢れているのだろう。勿論戦術眼もドメスティックな舞台に於いては傑出している。

 オランダ人指揮官は今世界中で大きなポジションを得ている。が、ヨル監督を除くとこれ以上の伸び代は感じない(ライカールトも含む)。皆、オランダリーグに戻ると面白い。ヒディンクもオランダに戻るべきだろう。そして、オランダリーグのレベルが急激に上がり、ビッグ3が絡まない試合も楽しみに見ることが出来るだろう。

 まだブレーメンでのアウェイを残しており、AZの命運は現状「3割」といったところ。それでも、私はまだAZが見たい。決勝まで。

 他の試合もざっくり。スパーズは先制しながら残念な逆転負けだが、アウェイゴール1は大きい。セヴィージャとの事実上の決勝戦を制して、欧州舞台のトップステージへ返り咲こう。オサスナは驚いた。というかレバークーゼン、ひでえな。エスパニョールとベンフィカはハイレベルの撃ち合い。ノーガードとも言う。派手で面白いがAZやブレーメンとは懐が違う。やはり決勝はAZ/ブレーメンセヴィージャ/スパーズでしょうな。

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・AZ、大きなステップを刻んだゲーム=UEFA杯
強気のファンハールはキケンだなあ。まあここまでイケイケできたから気持ちは分かるけど、この人常に「口が災い」になって失脚してるからな。学習能力は、無し、と。現実的な観点で、ホームで互角以上の戦いをブレーメンにされたことは「崖っぷち」だと思うんだけどな。やっぱブレーメンは強いよ。
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ダメだなあ、イギリス人って生き物は…orz そんなストレス解消するほど(私生活もサッカーも)状況悪くないだろうに。やっぱスパーズには早めに罰則を与えた方が良いのではないか。今年、優勝出来た場合、来年より大きなトラブルが起きる気がする。

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