回顧本史上一番読ませた。

 

敗因と

敗因と

 最近のカネコタツヒトはひたすら小姑気質ばかりが鼻について、文才が曇りに曇ってしまったと非常に寂しかったのだが、この本は他2名の力もすっかり借りつつではあるものの、非常に面白かった。ワールドカップや、大きなタイトルの度にこの手の本は出てくるが、どれもカネコタツヒトの乾坤一擲たる「断層」には叶わなかったわけで。氏自らも「その低劣なパロディ」を出すのに終始して早10年。やっと「自分超え」に成功したのかな、と、カネコタツヒトのファン(元)としては嬉しく思う。

 ダイジェストから独立し、孤高のライターたらんとしていた10年前のカネコタツヒトを、ライターグループの顔役としての今のカネコタツヒトが超えたとでも言おうか。物を書く能力は、物を「書かせる」能力と決して切り離せない。素晴らしい作品は、鮮烈な書き手と、その人の武器を引きたてんとする「書かせ手」によって誕生する。書かせ手の存在によって、才能ある書き手の「自己満足」がエンタテイメントに昇華される。人の援護を受けない孤高の書き手は単発で優れた作品を出せても、「作品群」を生み出すことは出来ない。すべからく物作りというものはそう出来ている。今後、カネコタツヒトが、カネコタツヒトたらんとする書き手に自分を乗り移らせていくと非常に面白い。

 実際、ジーコジャパンの記憶を留めるためにも非常に面白い本なので、サッカーファンは一読されますことをお奨めいたします。特にアンチカネコ人種は読むべし。

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