今が正念場。

 浦和が勝てない。やっているサッカーの質そのものは、相変わらず悪くないし、シュートもしっかり打てている。勝てなくなっている時期はフィニッシュの精度云々もあるが、とにかく(神戸の出戻り坊やに言われた通り)ディフェンスが酷い。ディフェンダーではなく、チームとしてのディフェンス。都築が幾ら頑張っても2点は取られる。3点取れないと勝てないのでは、夏場には今のサッカーでは辛い。開幕時の1−0のサッカーをもう一度、思い出して欲しい。一部後ろの選手がギャーギャ喚いて、尻軽になってしまったが、あの時のサッカーは美しく、安定していた。研究されたという側面もあるが、それ以上に選手が地に足が付いていない。もうじき涼しくなる。そうすれば少しは楽になる。あと数試合が踏ん張りどころだ。

 7連敗。順位も9位まで来た。優勝だのACLだの騒ぐ周囲を無視して、私は今年のレッズは「一桁順位で終わればオッケー」と言っていた。その限界まで来た。

 それでも私はフィンケサッカーを支持します。何度も言うけど、ここ数年の浦和のサッカーは酷かった。結果以外何もない。負けたらゼロ。フィンケのサッカーには可能性を感じるし、面白いと思える瞬間が多い。今は、暑さやチーム状態で、その時間帯が減っているが、それは監督のせいではない。今、仮に監督を変えても、どうにもなるまい。結局は自分たちの責任を感じ切れていない選手の問題だからだ。何となく勝ってきた選手とチームは、負けた時に自力で修正する術を知らない。フィンケフィンケで、どちらかというと、スモールマーケットで「勝ったら褒められる」ような環境でやってきた人。下の方から、育成力でチームを徐々に上げるタイプで、地盤のない高層マンションみたいなチームをいきなり任されて、それでも上手くやっていたが、現状打つ手がないように見える。

 でも、それは監督のせいではない。繰り返すが、選手のメンタリティ。平然と「サッカーを変える」とか言ってしまう幼稚な選手が居て。怪我人が多くて。替わりに出てきた選手にもイマイチガムシャラ感が無く。この状態で、監督の指導力を問うのは良いが、今までさんざんチヤホヤされてきた選手が、急に新しい指導者に100%従うはずが無いという事も考えなくてはいけない。監督のせい「だけ」ではない。監督の責任は、最大でも50%しかない。フィンケに落ち度があるとすれば、こうした負の遺産を抱えたチームを引き受けたことと、それに対しての準備が「結果的に」足りなかった「かも知れない」こと。

 それにしたって、フィンケはとても気の毒。何せ、開幕間もなく、フロントが夜逃げしちゃったんだからね。再建×再建。予想外の荷物を肩に載せられたフィンケ。その上、これだけの怪我人が出ては、まともに運営も出来るはずがない。それでも初夏までは素晴らしいサッカーをしていた。前半が上手く行きすぎてしまったんだろう。フロントも選手もサポーターも「負の遺産」のことを忘れ、優勝候補のままで居るような「錯覚」に陥ってしまった。その反動が今に出ている。7連敗は強烈だが、平均化すれば「まあ、許容範囲だよね」という成績だ。

 フロントは余ってる外人枠、無いしアジア枠で効果的な「起爆剤」を補強をするべきだった。旧体制のことは言っても無駄だが、開幕前に補強を見送ったのがそもそもの失敗。そしてこの夏。チームが苦況にあえぐ中で補強したのが特別指定選手と謎のガーナ人では「将来のために」は良くても、即効性はない。唯一、フロントが前体制と現体制、一貫しているのは、チームの方向性を、今年は「先行投資」と決めていたこと。言い換えれば「世代交代の布石」。そこに、即効性を求めるのは、虫の良い話だ。夏の補強は「今期は捨てた」と言っているのに等しい。

 再建には等しい苦しみがある。サッカーで言えばフロント、選手、監督、サポーター。みんなが等しく苦しむ必要がある。オジェックのツケを払わされたゲルト。なおも増えた負債と闘っているフィンケ。前フロントの失態の尻ぬぐいをしている現フロント。フィンケやフロントは苦しんでいる。では選手とサポーターは? サポーターは一喜一憂して、ストレス解消をすれば済む。失望することはあるけど、本質的に自分の首を絞めることはない(まあ、選手を甘やかしたツケを払うって側面はあるだろうけど)。明日の飯が食えなくなることはない。でも選手は違う。人のせいにしたって、結局自分の首が絞まる。結局は、給与に見合わない仕事しかできない選手は、幾らチーム事情などに「責任転嫁」しても、「その状況下でパフォーマンスを低下させてしまう、いざというときに役に立たない頼りない男」という烙印を押される。

 レッズの高額年俸選手にその危機感を感じられない。自分たちの給与のせいで補強できなかった、なんて気持ちを、何人の選手が持っているだろうか。去年の成績を受け、今オフに年俸の引き下げを断行しなかった旧フロントの責任は重い。今オフは2年分の「仕事」が待っている。このまま行けば、一部の若手を除きほぼ全員、来年は給料大幅ダウンにすべきだろう。それに文句がある選手が出ていって。失地回復を期する選手が残って。彼らを中心に若手が纏まって。レッズのスタートは、そこからな気がする。

 サッカーチームに限らず、スポーツチームには絶対経営上のジレンマが存在する。ベテランの経験はかけがえのない武器になるが、同時に高額の年俸や、増大した(マスコミやファンに支えられた)権力がチームの方向性を損なう癌にもなり得る。

 そうしたベテランを「整理」することも経営には必要。「生涯レッズ」というような言葉も美しいが、海外のクラブにしたって、生え抜きで、チームの顔になり、惜しまれつつ引退するような選手は、ごく稀。ベテランは、ベテランの意地を持ち、同世代の中の「ふるい落とし」に生き残り、かつ、若手の突き上げを交わし続け。その意気込みがないのであれば、もう引退した方が良い。スポーツの世界に年功序列は存在しない。あるのは「今の貢献度」だけな筈。

 フィンケや今のフロントが嫌いな人は、別に良い。ご自由にシュプレヒコールを送ってください。私はそこには加わりません。その代わり、「現体制で頑張っていこう」と思う人たちにも言いたいことがあります。

 浦和レッズの(推定)年俸5000万以上の選手は10人。この中で「何人残るべきか」を、自分の中で決めて、厳しく彼らの「存在意義」を査定しながら、残りの試合を見ていって欲しいと思います。残るべきではないと判断した選手は、今年でチームを去る。残りたいなら、大幅ダウンの年俸を受け入れて貰う。幸い、移籍金はなくなるので、他のチームも取りやすい状況。海外に行ける選手は行けばいいし、そうじゃなくても、国内で受け入れ先は複数ある。「みんな大事なレッズの選手」というのも、愛情としては理解できます。それでも、今のレッズにこれだけの高額年俸選手を抱える必然性はない。私も厳しく、彼らを見ていきます。

 現時点で言うと。まず達也は年俸を一昨年の数字まで落とす。気の毒な面はあるとは言え、8000万貰う選手としては余りに弱すぎる。残した結果も、継続性に欠ける。それで奮起できないならばそれまで。ポンテは残念ながら支配力が裏目に出ている。調子悪い時ですら周囲が依存するため、ボトルネックになりがちだし、数年前のように流れを無理くり変えるエネルギーはなくなった。年俸の問題ではなく、厳しい。直輝や梅崎と心中する方が、まだスッキリする。山田ノブはかけがえのないベテランだが、リーダータイプではなく、7000万の現状維持はあり得ない。半分で良い(5000万以上ではないが、ヒラもMAX同じ数字に)。タカとエジは契約切れたら即刻「二者択一」にすべき。ないし、残りのパフォーマンス次第では、2人ともサヨナラ。そして闘は……もう、自分としては「必要悪」から「存在悪」になってきている。チームの不穏分子。絶対的なピッチ上の支配力は惜しいが、売れる内に、売ってしまっても良い。どのみち、我慢してもとんでもなく「立つ鳥跡を濁す」ことになる予感は、はっきりある。円満に別れられる内が、お互い尊敬の念を失わない引き際かも知れない。

 残り。啓太にはもっとリーダーシップを発揮して貰うことを前提に、現状維持。阿部ちゃんには何の不満もない。一番苦しい、汚れ仕事を延々やらされ続けて。もっと華やかな仕事をさせてやりたい。ホント、スミマセン。今の阿部ちゃんでは、千葉サポに合わせる顔がないよ…。都築も文句ない。モチベーション保って頑張ってください。ツボも故障に気を付けて。彼ら4人を中心に、若手が纏まって、運動量の多いサッカーをやる。もう一段階高い意識で故障に気を付ける。それで、来期の目標は5位以内。補強ポイントは外人CB(もう3年前からずっと切望している…)。サイドは若手で十分まかなえる。再来年でACL圏内。そんな感じじゃなかろうか。

 まあ、ともかく。今の苦境を頑張って脱出して欲しいです。厳しい目にはなりつつも、しっかり応援していきます。

 あと、今からでもアジア枠は有効に使えるわけで。諦めないで、しっかり仕事して、可能性を追求して欲しいなあ。

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