なんというか。タキオンの「実力はあるけど運がない」というキャラクターをそのまま引き継いだような。どこかでこの馬もクリティカルな故障をやらかしてしまうのではないかという不安はあったのですが。まあ、脆弱性という致命的欠点を持つタキオンにしては、非常にタフな競争生活だったと思います。濃度は高かったですよね。
でもそうなると、もう一つG1獲らしてあげたかったし、獲りたかったですよねえ。タキオンの後継筆頭と言うことで、ここで種牡馬入りする可能性が高いように思われますが、ダービー以降負け続けた「取りこぼし」「底が割れた」イメージのまま種牡馬入りは相当厳しいように思われます。
父タキオンもそうだったし、フジキセキもそうですが、魅力は「未知数」の部分ですよね。勝って引退した故に「無事ならどれだけ」というワクワク感が、そのまま子供に引き継がれている。菊花賞を勝って引退したダンスインザダークも同様。SSではないですが、キンカメやクロフネも。良い意味の「タラレバ」今のディープスカイには「底が割れたキンカメ」というイメージ以上が抱きづらいです。特に宝塚の敗戦は致命的だった。それまでは、ウオッカなりダスカなり「相手が悪すぎた」「まだ3歳だから」という悪い意味での「タラレバ」に逃げられたのですが、安田記念の致命的敗戦。それを踏まえての宝塚。絶対勝たなければいけないレースで、負けた。しかも3着に。あれでディープスカイの価値は「タキオン級の名馬」から「普通のSS系の一流競走馬」になってしまったように思えます。
SS3世であるというのも苦しいですよね。母父SSの恩恵には与れないし、種牡馬としての遺伝力の部分でもSS直子より勝るとは思えない。とにかく飽和状態の血統。「変則2冠」だけでは金看板には足りない。何か、未知の魅力か「古馬になっての成長力」「路線を変えての爆発」という付加価値が欲しい。
正直、今引退したら、種牡馬としては相当厳しい気がします。なんとか現役続行のジャッジが下されて、時間は掛かってももう一つタイトルを獲って欲しいものですが…。多分、無理だろうなあ。
やっぱり引退のようで……。四位以外の鞍上で見てみたかったなあ。どんな競馬しただろう。
とりあえずドリームジャーニーには、タフで長い競争生活を期待したい。サクラメガワンダーにも負けた、という事実は消えませんが、ドリジャが秋にウオッカを破り、香港で勝つことで、「ディープスカイが負けても仕方ない相手」というイメージを持てるかもしれない。なにより、ドリジャ自身が「父を越えた」という金看板を持ってスタッドインできる。個人的には、ですが、タキオンのように走る馬をコンスタントに出す種牡馬の子よりも、ステイゴールドのように、時折ヒット・ホームランを飛ばす種牡馬の子の方が、3世としては期待できます。