サッカー。元日本代表の小倉隆史選手が遂に引退。
もうね、彼と前園が何事もなく大成していれば、日本のサッカーの位置づけは今頃違ったんじゃないかな、と。特にオグは。本当に「破格」のFWでした。
高校選手権。四中工で初めて見た時のインパクトは忘れられない。90年W杯以降、海外に被れ、日本のサッカー選手の「しょっぱさ」を痛感していた時期に出現した「別格」。彼に、もう少しまともなプロ指導者が与えられれば(当時の名古屋は本当に最悪の環境だった)。もう少し、星の巡りが良ければ。日本代表の15年は「得点力不足」と無縁だったのでは無かろうか。本当に残念。
今でも忘れられぬフランス戦のゴール。後にも先にも。日本がトップレベルの国と試合をして、「うわ、一発はめられた」という空気感は何度も接してきていても(ハッサンの西沢、東欧遠征の久保…)相手を「凍り付かせた」肌感覚を味わったのは、あれが最初で最後。「誰だ、あいつは?」「なんで日本人がこんなプレイするんだ?」あの空気感。
我々観戦者も、ウブだったのかも知れない。過度に美化しているかも知れない。だが、あの瞬間を越えるインパクトを、日本代表というチームから受けたことは未だ無い。あの瞬間を越える可能性を、ポテンシャルを、日本に感じたことはない。日本代表の「暗黒時代」はJ開幕と共に終演し、「灰色の時代」はオグの離脱で始まり、今に至る。いくら中盤が黄金の輝きを放っても、前線に掛かった鈍色の厚い雲が晴れる気配はない。あれは、間違いなく世界を知る日本のサッカーファンに「夜明け」を感じさせた瞬間だった。
我々は、胸中に「ベストのオグ」を幻想として抱きながら、これからの日本人FWを見ていく。絶好調時の西沢と久保が、二人足してオグに届くか、というイメージ。壁は高い。
ともあれ、お疲れさん。ゆっくり休んで、後進の育成に乗り出してくだされ。