良い本。

騎手・藤田伸二 20年の「男道」 (別冊宝島 1684 カルチャー&スポーツ)

騎手・藤田伸二 20年の「男道」 (別冊宝島 1684 カルチャー&スポーツ)

 藤田騎手の本も随分出たんで、「また焼き直し的な内容かな」と思いつつ買ってみましたが、これ、なかなか面白いです。

 メジャー記事としては武豊騎手の藤田評や、四位騎手との初の同期対談。「へぇ。初めて?」と意外でしたが、そう言えば田原騎手を交えての対談は何度もありましたけど(読むだけ不愉快になるものが多かった)、2人は初めてのようで。内容も他者をDISるだけの幼稚なものではなく、思い出を交えつつ、お互いの評価を出し合うなかなか真面目なもの。これは一見の価値ありです。

 マイナー記事としては藤田騎手の誕生日に開かれたヤンチャグループの酔いどれ対談。ブログ読んでる人は見たであろう、岩田騎手と和田騎手が微妙なコスプレしてたあの飲み会です。ぶっちゃけ話ばっかりで、程度は決して高くないけど非常に楽しい。それ以上に面白いのが、参加ジョッキーが直筆で書いた「藤田について」アンケート。いや、内容も面白いんですけどね。それ以上に岩田騎手の直筆に吹き出しました。なんかもう、「***騎手」シリーズで書かれていた岩田像そのまま。面白すぎる。それに負けていない(ちょっと漢字を書ける岩田って感じの)和田、思い出のないコバテツ、ちゃんとしてるせいで浮いてる高田潤。面白い! 競馬ファンならこのアンケートだけで飯3杯食えますよ。ほんと。

 藤田騎手って「男らしい!」「義理人情!」「チンピラ!」みたいな側面がフォーカスされますけど、私のイメージは(騎乗も人間も)良くも悪くも「結構残念なキャラ」ってものなんですよ。粗忽者というか。競馬でも生活でも変なミスいっぱいするし、「どっからでも掛かって来いや!」ってスタンスながら、脇が異常に甘い。このレベルのジョッキーにしては騎乗の幅が凄く狭いし、それでも彼じゃなきゃ勝てないって馬・レースも数多いし。突っ込み甲斐のあるアニキ。そんな感じ。この本はそうした「残念な部分」が良く出ているように思えます。ファンの方はよりファンに、嫌いな人も「藤田、良いな」と思える本。自伝よりよっぽど本人の人柄を良く伝えていると思いますな。

 まあ、900円と安い本ですし、間違いなく元は取れる内容だと保証します。てか、多分今までのジョッキー本で一番面白いです(娯楽方面で)。是非皆さんもお買い求めください〜。

当ブログの一口馬主関連記事の一部はキャロットクラブさまより許可をいただき転載しております。記事の再引用、転載はご遠慮願います。