騎手・藤田伸二 20年の「男道」 (別冊宝島 1684 カルチャー&スポーツ)
- 作者: 藤田伸二
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2010/03/23
- メディア: 大型本
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藤田騎手の本も随分出たんで、「また焼き直し的な内容かな」と思いつつ買ってみましたが、これ、なかなか面白いです。
メジャー記事としては武豊騎手の藤田評や、四位騎手との初の同期対談。「へぇ。初めて?」と意外でしたが、そう言えば田原騎手を交えての対談は何度もありましたけど(読むだけ不愉快になるものが多かった)、2人は初めてのようで。内容も他者をDISるだけの幼稚なものではなく、思い出を交えつつ、お互いの評価を出し合うなかなか真面目なもの。これは一見の価値ありです。
マイナー記事としては藤田騎手の誕生日に開かれたヤンチャグループの酔いどれ対談。ブログ読んでる人は見たであろう、岩田騎手と和田騎手が微妙なコスプレしてたあの飲み会です。ぶっちゃけ話ばっかりで、程度は決して高くないけど非常に楽しい。それ以上に面白いのが、参加ジョッキーが直筆で書いた「藤田について」アンケート。いや、内容も面白いんですけどね。それ以上に岩田騎手の直筆に吹き出しました。なんかもう、「***騎手」シリーズで書かれていた岩田像そのまま。面白すぎる。それに負けていない(ちょっと漢字を書ける岩田って感じの)和田、思い出のないコバテツ、ちゃんとしてるせいで浮いてる高田潤。面白い! 競馬ファンならこのアンケートだけで飯3杯食えますよ。ほんと。
藤田騎手って「男らしい!」「義理人情!」「チンピラ!」みたいな側面がフォーカスされますけど、私のイメージは(騎乗も人間も)良くも悪くも「結構残念なキャラ」ってものなんですよ。粗忽者というか。競馬でも生活でも変なミスいっぱいするし、「どっからでも掛かって来いや!」ってスタンスながら、脇が異常に甘い。このレベルのジョッキーにしては騎乗の幅が凄く狭いし、それでも彼じゃなきゃ勝てないって馬・レースも数多いし。突っ込み甲斐のあるアニキ。そんな感じ。この本はそうした「残念な部分」が良く出ているように思えます。ファンの方はよりファンに、嫌いな人も「藤田、良いな」と思える本。自伝よりよっぽど本人の人柄を良く伝えていると思いますな。
まあ、900円と安い本ですし、間違いなく元は取れる内容だと保証します。てか、多分今までのジョッキー本で一番面白いです(娯楽方面で)。是非皆さんもお買い求めください〜。