FF外伝 光の4戦士

 クリア。以下ネタバレ有り。

 良く言えば、最近の肥大化した押しつけ型大作FFに倦怠感を感じたスクエニの意欲作であり、近代FFに辟易としたユーザーへのサービス。悪く言えば、ゲーム作りの本質を失った(ないし最初から知らない)方々の作った「古き良きゲーム」の「上辺だけの真似」。金を持っているベテランゲーマー層を狙った悪質な名義商売。ぱっと感じる暖かい雰囲気やノスタルジックな画面は好感が持てるが、実体は世界樹セブンスドラゴンのような「古そうだけど新しいゲーム」と比べると、そのセンスの差が歴然。まさに上辺の記号だけで作ったハリボテのノスタルジーという感じ。

 序盤から中盤の、パーティーがばらけて、交互に話が進むあたりは非常に楽しい。手探り感があるし、ゲームバランスも良いし、緊張感は損なわれないし、何より「全員集まってからの展開」に大いに期待が持てる。

 しかし、全員揃った途端、極めて大ざっぱなパワーゲームになり、ただレベルを上げて、雑魚を瞬殺し、ボスをタコ殴りにするだけの大味かつ爽快感も緊張感もないゲームに成り下がる。でも、レベルを挙げないと、雑魚にすら一方的にやられる。酷いバランス。そのまま、何の盛り上がりもなく終了。最悪。

 持てるアイテムの15個という制約は、いわゆる「倉庫」機能がパーティーに付随しない上に、装備品や魔法も含まれるので、非常にタイト。タイトというか、試行錯誤の余地に乏しく、単に窮屈なだけ。AP制度も自動回復&溜めてもマックス5と言うことで、戦略性はなにも生み出さない。クラス毎のアビリティも使い勝手は悪く、特定クラス以外は意味がない。クラス対応装備みたいなのも誰でも装備できる。やり込み要素もとってつけたような半端さで、本編以上にバランスが悪い。戦闘のバランスも悪く、オートは使い勝手悪く、ただひたすら享楽性のない作業を繰り返す感じ。総合して、プロの作るモノとは言い難い。個々のパーツ作ってるのはプロでも、多分、まともな人間が総合管理をしていないんだろうなあ、と言うのが分かるレベル。一個一個の要素が、全てゲームを楽しませる役を果たしていない。はっきり、駄作です。

 とにかく前半15時間くらいは、かなり面白いゲームだっただけに、後半の駄作っぷりが余計目に付く。今のユーザーはこんなモノ遊んでくれないだろうし、我々古いユーザーもこのレベルの作品に金を払ったことを後悔してしまう。私ですら「定価で買った」上、「買ったゲームは絶対にクリアする」というマイルールがなければ止めてた。後半は本当につまらなかった。何度も繰り返したくなるほど、つまらなかった。本当に…。

 どんないきさつと意図でこれを出したのかは良く分からないが、この程度のモノに外伝とは言え「FF」という名前を付けてしまうこと自体、スクエニ、と言うか、スクウェアという会社の、ゲームクリエイター集団としての限界を感じさせる。結局、アホほど金掛けなきゃ、売り物にならないのだなあ、と。吉田さんのイメージボードが素晴らしいだけに、余計哀愁を感じる。次、吉田さんの絵を見た時は、多分期待感より警戒心を抱いてしまうだろう。誰も得しない商売。必要悪じゃなく、存在悪だね。

 得点は3点(10点満点)。なんだかんだで見てくれに騙されて買ってしまったわけだし、そうした部分での自戒と(騙すスキルに)敬意をこめて。中身は1点でもあげすぎです。これより面白いゲームは、DSだけでも100本は下らないので、評価の確定した良作にお金を回しましょう。万一、ワゴンで新品980円とかで売ってたら「どんなもんよ」と試すくらいは、良いと思いますよ。私は中古に回してこの1本を誰かに安く買わせるのも腹立たしいので、死蔵するか、捨てます。ホント、久々にゲームやってこんな嫌な気分になった。速攻、口直しが必要だ。

 というわけで、口直しにはルーンファクトリー3でもやろうかと思います。このシリーズは少々の難点も抱えつつも、1・2とかなり遊べた。そして両方やった知り合いが、3が一番面白いと言ってます。どんなもんかなー。

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