今日のEURO

 イタリアは大方の予想通り、ピルロが居ないことでまともな攻撃の組み立てが出来なくなるため、イタリアらしいどっしりと構えた守備からのカウンターをベースに試合に入ってきた。対するスペインは流石の技術でボールを回すが、チャビとイニエスタにボールが収まるとみんな安心してさぼってしまい、シルヴァの個人技とヴィジャの裏取り以外にゴールの香りが全くしない。イタリアの方にゴールの予感は漂うが、今大会のトニは完全にブレーキ(勿論、トニが悪いと言うより、チーム環境なのだが)。結局スコアレスドローのまま後半へ。

 後半に入り、アラゴネスの采配。この人は対して冒険しない、冒険する時は常に的外れな印象があったのだが、イニエスタとチャビを見切って、カソルラとセスクを投入。バルサの2人は素晴らしい選手だが、やはりスペインらしい選手であり、リスクを犯すことに積極的ではない。彼らではイタリアの壁を崩せないだろうと感じていた矢先なので、驚いた。スウェーデン戦で上手く行ったとは言え、イタリア相手にこの交代が出来るタマではないと思っていたので、驚いた。充分な時間を残してセスクらを投入したことで、スペインにもイタリアを崩せる可能性が出た。セスクは自陣でプレスを掛けたあと、最前線へダッシュを繰り返せるエネルギーがある。リスクを冒せる2人が入ったことでチームに血が通い出した。しかしフランスを下したことで、完全に「イタリアの監督」になったドナドニのチームは上がり掛けたスペインの体温を下げることに終始。カンナバーロを欠き完璧じゃない守備もブッフォンが悠々繕う。前半のような90分が終わって、延長へ。

 延長に入っても、ごく局地的な一瞬を除いて、イタリアの文脈で進む試合。そのままPKへ。スペインが勝利した。結果的に、守りのメンタリティを強固にしたイタリアに対して勝利を得るにはこれしかなかった感じ。スペインが良く120分耐えたと言った方が良い内容と結果。ロシアとの戦いは相当に楽しみ。今度は前へ行くチーム相手。スペインの守備力とメンタルが試される。イタリアはイタリアらしさを最後まで貫いたが、やはり攻撃のタレント不足。ピルロの不在で崩しらしき崩しがなかったし、不調のトニに依存せざるを得ないFWが響いた。これで若手主体のチームへ変わるだろうが、監督も含め、今後の方向性は欧州サッカーに大きな影響を及ぼすだけに、注目。

 しかし、この試合は金田さんのイタリア観が聞きたくてTBSで見てたわけですが、この人の解説は打てば響く。アナウンサーが下らない推測を語るとぴしゃっと訂正するし、良いプレーでは脊髄反射的に感嘆の呻きをあげるし。「もっとこうしたらいいのになあ」と思っていると、すぐにそれを言及するし。名選手に対しおこがましいが、サッカー観がとても近いので、気持ちいい。もっと酔っぱらって解説するとなお良いのにw

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