馳星周のサッカー番組。

流石馳さん(今、日本で一番面白いサッカー「観戦者」。決して解説者や評論家ではない観察者の切り口)。切り口が面白い。どこまで制作に口出してるかわかんないけど、仮に他の人がプランニングした番組だったとしても、良いセンス。今後も定期的にやっていただきたい。

カネコさんは、まあ、結構好きなんだけど説教クサイんだよなあ。発言にヘンなてらいというか、狙いがありすぎて…周囲のサッカー好き(みんなサッカーに一家言持ってるフリーク)が口を揃えて「いけすかねえ」「口だけで何もしねえ」というのも共感。セルジオに影響されすぎて、居場所わかんなくなっちゃってるんだな、この人。気の毒。ただ言っていることは全部正論で冷静。ただ、正論を、気づいてない人に気づかせるのは方法があるはずで、カネコさんのそれは愚策だと思う。もう少し偉ぶるのをやめて日本の質の低い観戦者の教育に本腰を入れて欲しい人である。

俺の中での金子達仁はインタビュアーでスポーツノンフィクション作家だけど、評論家ではないんだよな。評論はつまらない。残念ながら他の分野ほどのセンスがない。下手。だからいけ好かないと言われる。カネコさんの、日本代表に関して触れた文章は軒並みつまらない。出世作の「断層」もつまらない。もったいない。上手く使える人間が周りにいないんだろうな。今、週刊誌に戻ったら、と思うけど…無理だよね。

話を戻すと。日本のサッカーが文化になるには、大人が世間の目を気にせずサッカー論をぶつけ合う空気が必要よね。日本じゃまだ、「何このスポーツオタクのオッサン達」って目だもんね。それは野球というオタク(カルト)スポーツが文化になってるため。国民性に合ってるからそうなるわけで、日本人が脱野球→サッカー文化の担い手になるには時間が掛かるし、別にその必要はないよな、と思いました。

ひとまずサッカーを市民文化にする必要はないにしても、サッカー好きの人間にもう少し文化の担い手になって貰う必要はある。代表にブーイング出来ない国民はダメだ。前、代表のサポのリーダー(諸悪の根元)が「代表チームへのブーイングをやめよう」的なことを試合開始前に訴えているのを聴いて、俺は「もう一生代表選は見にいかねえ」と思った(2002年に見ちゃったので、誓いではないらしい…)。こいつらのせいで、サポーターの成長はストップするな、と。案の定、あれから約8年? サポーターのクオリティは下がりこそすれ、上がってない。本当に馬鹿なことをいう奴らが居て、それを鵜呑みにする人が大勢いるということ! 嘆かわしい。まあ、俺はそんな連中と乖離したくて、日本代表を応援しないことにしてるのですが。良いサッカーする時は応援するけどね。普段は「観察」してるだけ。

浦和のやり方が良いとは言わないけどね。まだまだクラブもサポーターも全然甘いけど、他より「マシ」だろう。何度も言うけど愛情だけじゃチーム・選手は育たない。「俺たちが金を出してやる、支えてやる、環境も整えてやるから仕事をしろ!」と要求することは大事。出来るようにした(しようとしている)浦和のフロントは偉い。まだまだ全然物足りないけど、確実に他のクラブより2・3歩先に進んでいる優越感はある。新潟や鹿島のサポーターは確かに暖かいし熱心。けどチームには何のプレッシャーも与えてないのは明らか。単に「依存」されてしまっている都合のいい存在。もったいない。

周囲の顔色を窺って、声を揃えてする応援がどれだけ大きくても、選手の甘えにはなってもプレッシャーにはならない。それよりも、個人個人がその時の感想をそのまま態度に表して、それがたまたま数千・数万という集合体になった時の方が100倍は効果がある。つまり、日本式の応援はやるだけ無駄なんだな。だから俺は浦和の試合見に行っても応援団の音頭には参加しないし、応援歌もメインテーマ以外は覚えてない(むしろ浦和サポの応援ですら観戦の妨げに感じていらつくことの方が多い)。それで良いんじゃないの? 試合の流れもわかんないのに歌覚えてどうするんだろう? 歌えたら偉いの? 勉強の順番が違う。応援ってのはバラバラで良い、それよりせっかくスタジアムに行ったんだから、生で見たスポーツから得るインスピレーションや感動・怒りを率直に、自分らしい表現で出す方法を学んだ方が余程良い。日本のやり方は論外だが、欧州の真似もダメ。自分のやり方が一番正解なんだ。

俺は今でも思うのは、古い話だが、代表選手に卵をぶつけたは本物のサポーターだと言うこと。その手段に批判が集まるのは理解できなくもないが、あそこで選手を非難するのは「正しい」応援だ。実際にあの時の代表はグズグズだったから。まあより正しい標的なら、無能な監督の自宅に石でも投げるべきだったろうけど。

ラモスがテレビで中田と城を非難したのも正しい。問題はアレを見て鵜呑みにする、理解度の低い視聴者と、それを非難する、更に理解度の低い世間なわけで。あのラモスの発言が許されないのは軍国並の酷い思想弾圧だよ。

話を纏めると、番組は素晴らしかったし、趣旨も大賛同なんだけど、バルサは日本のサッカー文化のテキストとしては上にありすぎて、余り役に立たないんじゃないかな? こないだ始まったバスケの日本プロリーグのファンがNBAの真似しても片腹痛いでしょ。参考にすべきはもっとローカルな、街とおらがチームというミクロな、ワンセットな関係。まあそれをやるにはこの番組がレギュラーになって、数回の視聴率、反響で打ちきりにならない保証が必要だろうけど。確か川淵の構想はそういうモノだったと思うけど。あのオッサンも全然そう言うことをサポーターにわかりやすく伝えようとしないんだよな。サボるな。アンタの役割はスポークスマンじゃなく伝道師だ。毎週ドイツでも渡り歩いて町々のチームを紹介して回れ。それをしないなら「キャプテン」なんて馬鹿な称号捨てて、隠居しろ。

まあブチにはたいした期待してないからいいや。何かできると期待してる馳さんとこの番組スタッフは、今後もっとマイナーな方向へ導きの手をファンに差しのべて欲しい。俺も見たい。杉山さん的視点で…って杉山さんと馳さんで番組やればいいんじゃん? 見てえ〜。PPVでも見る価値アリ。nakataTVなんぞよりずっとね。

そうそう、常々俺が惜しいと感じてるのは、杉山さんのような人がJリーグにいないこと。解説のレベルが低すぎる。サッカー理論のレベルじゃなく、観戦者としてのレベルがね。それは俺みたいなサッカー未経験者より余程詳しい。けど、それを伝える能力が低すぎる。勿論テレビ局の作りも悪いし、映像の取り方も悪いし、アナウンサーは酷すぎる(倉敷さんだけレベルがつきぬけてて、あとは及第点の人が何人かという感じ?)。

ひとつ反省したのは、俺もサテライトの試合とか見ないとな、と言うこと。レッズの将来の担い手として少々手抜きしてる自覚はある。レッズチャンネル、PPVにならんかな?

とりあえず、W杯前後まででも良いから、月イチくらいで続けてください。投書してみよっと。

当ブログの一口馬主関連記事の一部はキャロットクラブさまより許可をいただき転載しております。記事の再引用、転載はご遠慮願います。