再ファンドを見つめる2011。

 過去こんなエントリをしてました。もう4年前ですな。僅かな時間のようですが、競馬を取り巻く環境は年々変化しています。一口界で一番大きいのは、補償が無くなることですね。今までは補償を放棄することで再ファンドを受け入れる体勢でしたが、これからは変わります。「どうせなら再ファンドに応じておくか」と思ってしまいますが、実際問題馬への愛着以上の部分で再ファンドにどれほどのメリットがあるのか。ちょっと継続的にその辺を検討していきたいと思っています。なにせ勝ち上がりギリギリの馬が3頭居ますからね(つまりこのエントリは3頭勝ち上がりの願掛けであり、「調べたけど無駄になっちゃったよ」というオチを大団円として想定しているわけです。無駄にならなかったらそれはそれで有意義だしね!)。

 まずは、4年前と今の最大の変化「再ファンドの大物が続々登場」について。4年前の記事を見てみると、クラブ馬の再ファンド最高賞金馬は7333万のレオニダス。この4年で皆様も「あ、この馬ね!」という再ファンドの大物が出ています。

サマーウインド(ヒダカBU・栗東:庄野厩舎・父タイキシャトル
 クラブのみならず現役再ファンド王。昨年のJBCスプリント(G1)を含む重賞3勝、中央7勝。賞金は23251万(転出中の地方成績除く)。立派なモノですねえ。1575万で募集。まさに「応じて良かった再ファンド!」です。転出前の中央成績は2戦0勝も芝で2着(ダートは未出走)。ダートを走っていない馬の再ファンドは見極め難しいですが、地方2戦はともに圧勝(1.7秒、2.7秒)。まあ、破格の強さです。このくらい地方で圧倒的なら、応じるのは迷いませんよね。

ミリオンディスク(社台RH・栗東:荒川厩舎・父アフリート)
 お知り合いの出資馬でもあるミリオンディスク。重賞2勝を含む中央6勝。なんと言っても重賞3着以内10回という圧倒的な堅実さが魅力。牢名主的な馬が長く居座る短距離ダート界。交流出走の壁は何とも高く、この馬もOP・G3とJRAで勝っているからこそ出走できる身になりました。サマーウインドにも言えることですが、ダート短距離馬は寿命が長い反面、美味しい条件の交流重賞に出るのは相当運に恵まれるか、一流の実績を残してないと厳しいので、1000万、準OPで御の字、という価格じゃない馬はそのレベルにあるのかどうかは大きな鍵になります。そうしてコツコツ重賞で実績を重ねて稼いだ額は22984万。募集価格は2600万でした。転出前は新馬1戦のみ。芝のマイルで5着。地方は2戦2勝で、これもサマーウインド同様圧勝(0.8秒、1.0秒)。サマーと同様、中央に戻っていきなり勝ち負けを続けるような馬は、最低限このくらい地方でやれないとってところです。それで思い出すのはこの馬ですよね。

ゴルトブリッツ(キャロット・栗東:吉田厩舎・父スペシャルウィーク
 次代のダートエースとも目される4歳馬。クラブ再ファンド馬賞金順では4位なのですが、伸び代を考慮して先に紹介しました。地方から戻って8ヶ月で既に重賞2勝を含む5勝で10709万。募集価格は6000万と今回のメンバーでは一番割高でしたが、これは元所属厩舎の割り増しもありますし、それでも無事であれば数年後には恐らく、クラブ再ファンド馬の賞金王として紹介することになるでしょう。中央ではカズーの元で芝を使われ6戦未勝利(2着1回3着2回)。これも地方の2戦は2圧勝(1.0秒、1.1秒)。再ファンドを挟んでの転厩がズバっと嵌った良い例ですね。これも再ファンド一つの「成功パターン」かもしれません。適正を見極めるのは下手な調教師の元でくすぶっていた馬が、地方に行って待遇が変わる。恐らく調教師の人気的には、元の厩舎戻ってもみんな応じたでしょうが、この馬に関してはカズーだったら芽が出なかったと断言できます。再ファンドの馬が、地方で圧倒的な強さを見せたと言っても良い待遇を受けるには、超一流、一流厩舎は避けた方が良いとは言えます。上記3頭が中央に戻った年の各調教師のリーディング順位は142位、69位、52位。この辺は一つ踏まえて良い事実でしょう。最後にこの馬。

アーバニティ(社台RH・美:古賀慎厩舎・父マンハッタンカフェ
 今回紹介する中では唯一(今のところ)芝で開花した再ファンド馬。オーシャンS(G3)勝ちを含む5勝で18338万。募集価格は3600万。転出前は2戦0勝。地方では4戦して全て勝利。最後のレースこそ0.1秒差でしたが、他3戦は1秒前後の差を付けており、ダートでも格の違いを見せていました。復帰緒戦こそダートを使って3着でしたが、芝に矛先を換えるといきなり連勝。9ヶ月後にはG3を勝って高松宮記念の惑星になるなどスピード出世でした。唯一の芝馬で唯一の(戻った先が)関東馬。ちょっと例外的な馬ですね。スティンガーの弟で芝種牡馬であるマンカフェの子ということで、それが地方ダートで1秒差付けられたのだから、単純に能力上位と見ることは出来ると思いますが。

 4年前は1頭もいなかった1億越えのクラブ再ファンド馬が4頭も誕生しました。今、未勝利の素質馬を抱えている人には良い状況ですね。

 さて、再ファンドを行っているクラブは他にもいっぱいありますが、ここで名前が出たのは3クラブのみ。獲得賞金5000万以上まで下がっても(計7頭が達成)、これにレオニダス、ジャッキーテーストのサンデーRが加わるのみ。「再ファンドさっぱりクラブ」というのも明らかにありそうです。次回はクラブ別の再ファンド成績なんかを可能な範囲で調べてみたいと思います。

 スーパー未勝利が終わる時期まで、定期的にエントリしていきますので「こんなデータ調べて欲しいな」というリクエストがあれば是非〜。

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