(レッドウィザード)良い時計。

 レッドウィザードは今日も坂路で元気。ぼく馬計時では馬也で4F51.8〜3F37.8〜1F13.3。デビューまでまだ数週ある段階の、国枝厩舎の新馬としては合格点の動きと言っていいでしょう。

 ほぼ同時期に入厩して、今日も一緒に坂路入っていたのがダノンシュナップス。時計もほぼ一緒。ダノンベルベールの弟で、取引額は7千万。エリートホースですね。国枝厩舎の場合、馬主の序列(カースト)を余りにしなくて良い、というのが最大の魅力とも言えるでしょう。有力馬は数多いので、順番待ちのストレスは無縁ではありませんが、それでも、「不条理な待ち」は、経験上、少ない厩舎です。

 あとは、とにかくタフネスがこの厩舎での扱いの優劣を決める。馬也で坂路49秒台を出すフォルタレーザのような馬な「別格」としても(心肺機能がディープ並というので話題にもなった馬だし)、デビュー前の時期に馬也で51.8は、十分、調教師の中に「いいね」という手応えは残せたのではないでしょうか。シャイニングヒルは引退まで52秒を一度も割れなかったので、まずは安心です。

 ともあれ、ウィザードもダノンも、無事デビューまでこぎ着けられるよう、頑張ってください。上手く使い分けできると良いですね。

坂路下の輪乗り場でダク10分後、坂路にて併せ馬で追い切る。
 美浦坂路 51.8−37.8−25.5−13.3 強め
国枝調教師「最後はやや一杯だったけど、時計的には悪くなかったと思うよ。もう少し鋭さが出てくると良いけど、先週いっぱいはゆっくり乗って疲れを取っていたからね。今週から徐々にペースを上げていけばもうひと変わりしてくれると思います。稽古の感じから、あまり短い距離というよりはマイルくらいで力を出せそうな感じだね」
担当助手「ひと追いごとに良くなっている感じは受けますよ。ただ、稽古の感じから、使ってから良くなるタイプかもしれません。素直でおとなしい馬なので気性面の問題はないし、全体にしっかりしてくれば、走ってくると思います」

 ここからレースまでの調教で、どれだけ上がってくるかですね。タイプ的には初戦から勝負だと思うんだけどなー。

 そういえば。フォルタの話ついでに。

 ブックマークでちょっと触れた話題について。私としては過去のフォルタのエントリで言いたいことは言っているので、それを再リンクしておきます。とにかく、競馬という産業があり、どのような深度・形であれ、全否定せずに関わっている人間全てにその責任はあり、ことさら一口どうこういう話ではないです。道義や責任に客観的な線引きは不要ですし、各人、競馬という卓抜したロマンを含む娯楽を捨てがたい悦楽として甘受してる以上、罪の意識のようなモノは何処かで棚に上げて、でも忘れずに楽しいことに向き合う意識を保つという作業は不可欠ですし、誰もが無意識にやっていることではあります。競馬が何故楽しいか。それはサラブレッドが生き物、それもいびつで不安定な生き物だからに他ならず、速く走る、という優勝劣敗のルールの中に命を散らす生き物だからに違いありません。だから強い馬、タフな馬はあんなに素晴らしく感じる。皆、心の中で雄大さと隣り合わせの儚さに惹かれて、この娯楽に浸っているのです。100円の馬券と100万の一口馬主に、その貴賤は存在しません。同時に、責任の軽重も存在しないと思います。

 更に言えば、こうしたテーマに、定期的に向き合う作業を必要とするのは、むしろ一口をやらない、POGもやらない、馬券を買うだけの人の方ではないでしょうか。我々は一口という趣味を通して、世間一般にあっては名馬と呼ばれない、記事にもならない馬のデビューから引退までを数多く、深く長く見る機会に恵まれています。一口をやらない人より、余程「競走馬とは」というテーマに触れてきている。結果、一口をやらない人より、余程深く考えている。その上で、そうした葛藤は表に出さず、新しい出会いと夢に浮かれて「みせる」こともある。競馬ファンに於いて、我々一口者ほど馬の生死、成功しなかった馬の行く末を思い知らされる立場は無いと思います。それが分かっていない一口プレイヤーなんて、果たして居るでしょうか? 居ないと思いますね。だからこれだけ盛り上がってるんですよね。競馬も、一口も、年齢制限のある大人の娯楽です。そうした「事実」を理解できずにただただ無邪気にはしゃいでいる人間は「ほとんど」居ないと思いますよ。中には採算しか見てない、リアルに投資対象としてのみ馬を見てる人もいるでしょう。しかし「ただ馬券を買ってる人」の中にこそ、むしろそうした人種は多いのではないでしょうか。

 クラブ側の道義を問うのも難しいですよね。ドリームパスポート級は面倒見ます。じゃあ未勝利馬は? 結局、何処かに線引きは必要で、そこを牧場側・馬産側に任せるという裁量も納得できます。全一口クラブが協力して「一口愛馬の功労牧場」みたいなのを作り、それに賛同する出資者から会費とは別にファンドを募り、運営したとしても、結局は全ての馬がそこに入れるわけではないし、更に言えば個人の馬は何処かへ消えていくわけで。そこまでケアするために例えば馬券の控除率を上げて(ファンド付き馬券をPATのみでも別売りして)そうした施設をJRAが運営するにしても、年間数千頭発生する「引退馬」に対し無限に受け皿を用意することは不可能。愛情と、(金銭的余裕から来る)道楽と、自己満足(欺瞞)と。どういったバランスで投影されるのか。結局、そこに線引きが発生するのであれば、最初からやらないのも同じことです。

 まあともあれ、悔いを残さないよう、日々の競馬を楽しんで、出資馬の居る生活を楽しんで行くのが、我々に出来る精一杯なわけで。こうしたテーマと向き合うことも無意味とは言いませんけど、それより、「競馬って楽しいよね!」とテンションを上げていく方が、ずっと有意義だと思う次第です。あれから2年半。私の中でフォルタは「笑いと思い出」になりました。夢はまだまだ続いています。シャイニングヒルはバトンを落としてしまいましたがw レッドウィザードは頑張って欲しい。応援するぞ!

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