終着点は恐らく3−4−3

■浦和、新たな武器を求めてスポーツナビ

 おそらくエンゲルス監督は、現在負傷中のロブソン・ポンテが復帰するまでは闘莉王を攻撃的なポジションで起用するだろう。ポンテ不在の今、チームの攻撃をオーガナイズし、活性化できるのは闘莉王しかいないという判断だ。そしてポンテが帰還すれば、闘莉王は本来のリベロへ戻る。マエストロ(指揮者)は2人もいらない。そもそも、昨今の浦和を支える堅守は闘莉王を中心に実践したものだ。おそらく本人も、現況の立場は応急処置的なものであると認識しているはずである。

 闘莉王の攻撃的ポジションへのコンバートが、革命的な事件であるように一部では語られているが、多くのレッズサポはこれが「一時的な処置」であることを知っている。何故守備のリスクを犯してでも闘莉王を攻撃で使うか。それは、今の浦和が「王無き将棋」であるから。

 王とは言うまでもなくロブソン・ポンテ。一昨年までは「時折スーパーなプレイをするけど雑な動きやファウルも多い、まあまあ有能な助っ人外人」だったが、昨年中盤からは見違えるようなプレイ。前線と中盤の乖離したレッズの接着剤的役割をただ一人で果たし続け、「レッズのダイナミズムは全てポンテ経由で生まれる」と言っていい存在。余りに杜撰なギド→オジェック時代の戦術でまがりなりにも結果が残せたのは、個の力、極論するとポンテという個の力だ。ポンテはレッズ史上最強の助っ人外人になった(低く見積もってもギド・エメルソンと並ぶベスト3だろう)。

 そのポンテを欠き、あっという間に張り子の虎と化したオジェック体制。それを継いだゲルト体制。卓抜したマインド・ゲームにより表面上の問題「選手のモチベーションと、戦術的開放感」は打開できたが、根本的な問題「王の不在」は解決していない。小野、長谷部という「飛車・角」が居なくなった穴は梅崎や細貝で埋まる。だが、王の代わりは居ない。

 だから、今ゲルトは「金」である闘莉王を王の位置で使ってる。それは、金が王の動きに一番近いからであって、「闘莉王の攻撃力を活かす」というのはあくまで副産物でしかない。

 それでも、金は金なので、将棋の駒宜しく斜め後ろはケアできない。そこを啓太がケアする。すると、本来、啓太のケアによってJ最強の地位を保っていた守備は、自力での相手攻撃陣攻略を余儀なくされ、低くない確率で破綻する。

 闘莉王の前線起用は、ポンテ復帰を持って終わりを迎えるだろう。それまで、多いに我々の目を楽しませてくれる彼に敬意を払いつつ、残りそう長くない「時間」を、王を待ちわびつつ楽しみたい。ポンテ復帰後、3−4−3(3−4−2−1)でレッズは完成する。前からエジミウソン(高原)−ポンテ(梅崎)・達也(永井)−相馬(三都主)・啓太(細貝)・阿部(堀之内)・平川(山田)−坪井(堤)・闘莉王(近藤)・堀之内(阿部)−都築(山岸)。J史上類を見ない完璧なダブル・チーム。外人CBを獲得し、エスクデロなどが絡んでくれば更に面白くなる。夢を見られるだけ、今のレッズは幸せだ。サポーターで良かった。完成されていないチームを応援することほど楽しいことはない。例え、それが永遠に完成されなくても。

 ちなみに私は将棋全然詳しくないので、例えが適切でなくても許してくださいw

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