エー、再ファンドの季節たけなわとなって参りましたがw 以前予告した「再ファンドの出世馬」についてエントリしてみようかと。
ここでの条件は「クラブ馬であること」「権利を完全売却したわけではなく、クラブ馬として再ファンドされていること」を条件とします。勿論、地方交流競争で勝ち上がった(中央で初勝利を挙げていない)馬も除外してあります(オフィサーなどが入ってくるので)。
その前に、「地方出戻り」を利用して中央で活躍する大物から。シンボリエスケープはデビュー遅れて、地方からスタートだったので、ここでは除きます(クラブ馬の場合は、同条件馬も含む)。
▼アグネスラズベリ(牝6・栗東/西浦厩舎・父エアジハード)
この馬は、まあ有名ですよね。現役の地方出戻り馬では最多獲得賞金(プリサイスマシーンは地方デビューなので除外)。2億1072万を稼いで、先日の函館SS(G3)勝ちを含む7勝。勝ち鞍は全て芝(12/14)です。
中央デビューは2歳10月で2着と、前途洋々も、長期休養を挟み、既に未勝利の無くなった3歳暮れの500万で復帰戦を迎え、15着惨敗。園田へ行き、0.3秒差ながら1戦で勝利。中央復帰は夏の北海道(芝12)で2着。2戦目の芝15を勝ち上がり。次走は5着だったものの、そこから2着1回を含め6戦5勝。現在の活躍に至ります。「中央では2歳デビュー/2着だった/1戦のみ」「地方は初戦突破」「復帰初戦を連対」「復帰2戦目で勝利」などの特徴を挙げておきます。
▼シーキングザベスト(牡6・栗東/森厩舎・父Seeking the Gold)
これも有名でしょうか。1億8270万を稼いで、武蔵野S(G3)を含む8勝。勝ち鞍は全てダートです。
3歳4月に中央デビュー、2戦して16着と15着という散々たる成績も、門別での1戦(勝利)を挟んで、中央復帰戦を1秒差の圧勝。その後2着2回を挟んで4連勝。現在の活躍に至ります。「中央では芝を走っていた」「地方は初戦突破&0.9差の圧勝」「復帰初戦も1秒差の圧勝」「2戦目も連対」などの特徴を挙げておきます。
▼ツムジカゼ(牡7・栗東/松田国厩舎・父Storm Cat)
1億4453万を稼いで、重賞勝ちはないものの、6勝を挙げて、シリウスS(G3)で2着。勝ち鞍は全てダートです。
2歳8月の札幌芝12でデビュー(サクラプレジデントが勝った新馬)。そこを13着したあと、長期休養でそのまま地方・高崎へ。初戦3着→2着→2着と来て、4戦目で勝ち上がり。中央復帰は新潟ダート12をいきなり完勝。2戦目も東京で完勝。その後、連勝はしないものの、クラス慣れすると着実に勝ち上がりを見せました。「中央では2歳デビュー/1戦のみ」「中央復帰初戦を勝利」「2戦目も勝利」などの特徴を挙げておきます。
▼ハギノトリオンフォ(牡5・栗東/松元省厩舎・父フォーティナイナー)
7186万を稼いで、4勝。勝ち鞍は全てダート。
この馬を挙げたのは、上記3頭が「地方経由のエリート」なのに対し、ちょっと毛色の違う馬だからです。地方行き前の成績から違う。3歳3月の新馬でデビューするも10着。その後、7戦使うも2着1回が最高で、地方へ。園田のレースを0.9差、1.1差で圧勝。中央へ復帰。初戦を1.1差の5着と落とすと、次のレースも負けるものの、3戦目を勝ち上がり、その後は掲示板に乗り続け、勝ちを積み上げつつ7千万を稼いでいます。7千万と言えば、余程の馬以外ペイする金額。一口プレイヤーにとっては、こういう馬の方が励みになるのではないでしょうか。「地方行き前に2着がある」「地方の競馬はいずれも圧勝」などの特徴を挙げておきます。
他にもカオリノーブル、ブライアンズレターなどが地方経由で1億稼いでいます。まあ、クラブ馬以外に広げると、分母が多いだけに成功例も多いですね。
では、そろそろ本題のクラブ馬を。ちなみに全部手動集計なので、抜け・間違いがあったらご指摘ください。8歳世代までを見ています。
1)レオニダス(サンデーR・牡7・美浦/小島太厩舎・父サンデーサイレンス)
募集価格7,000万でサンデーレーシング。中央ではデビューできず、水沢でデビュー。初戦を2着とすると2戦目・3戦目を勝利して、中央へ。中央初戦は岡部騎手を背に3.9差の9着と惨敗。3戦目で3着と可能性を示すと、9戦目の東京で漸く中央初勝利。その後は成績安定して、芝・ダート問わず短距離を5勝。最終的には7333万を稼ぎました。
募集価格が高額だったため、「成功」とは言い切れない部分もありますが、再ファンド馬最高賞金は誇るべき成果。中央復帰後の成績を見るに、エリートらしい成績でもなく、上記で挙げた「成功パターンの特徴」も全然踏んでいません。初競馬だった初戦を除けば地方もあっさり2戦2勝で突破しているというくらいでしょうか。
2)ゴッドヘイロー(ヒダカBY・牡7・栗東/柴田見厩舎・父ジョリーズヘイロー)
募集価格1,890万でヒダカBY。3歳3月の新馬でデビュー(4着)。次走も3着と素質を示すが、その後は掲示板に乗れず5戦で中央抹消。園田へ行き、初戦3着のあと2戦目を1.7差の圧勝。取り消しを挟んだ次走も勝利。2着1回を経て中央復帰。掲示板には載るものの9戦未勝利で迎えた10戦目、名古屋でダート1000mを勝利するとそこから3連勝。大和特別(1000万)を勝利し、今年の栗東Sでも2着に入った。勝ち鞍は全てダートで、4勝。獲得賞金6694万。
こちらは募集金額を考えると大成功。レオニダス同様、勝ち上がりに相当苦労したことからも、再ファンド(クラブ馬)は結果の早さ=成果では無さそうな気配です。
上で挙げた非クラブ馬を見ても、再ファンドの大物はダートと短距離に集中していますね。父馬のラインナップを見ても、SSを別にするとダート・短距離種牡馬ばかりです。
3)シルクヒーロー(シルク・牡5・美浦/西塚厩舎・父アジュディケーティング)
募集価格2,000万でシルク。中央デビューは3歳7月の新潟。そのレース、次走(いずれも芝)を17・15着と大惨敗。3戦目ダート替わりでいきなり3着。次走も2着するがここでタイプアップ。園田へ。競争中止となったレースを挟み、いずれも完勝で3戦3勝と完璧な成績で中央復帰。中央でも初戦・2戦目とダートで連勝。1000万に上がっても2・1着。準OP昇格後は苦戦しているが、福島の安達太良Sで2着するなど、勝ち上がり可能なポテンシャルは示している。勝ち鞍は全てダートで4勝。獲得賞金5943万。
やはり、再ファンド馬にとっての一つの壁は準OPと言えます。ダート競馬って、1000万までは結構素質で突破できるのですが、準OPは展開面+器用さが必要となってきます。逆に言うと、準OP突破できればOPでもそこそこ通用すると思うのですよね。ともあれ、この馬は若いし、これから再ファンド最高賞金を塗り替える可能性を持っているように思います。募集価格も安いし、大成功ですね。
4)ジャッキーテースト(サンデーR・牝6・美浦/堀厩舎・父カーネギー)
募集価格1,400万でサンデーR。数好くな牝馬の再ファンド成功馬です。デビューは3歳9月の札幌。そこを3着して、2戦目を5着で中央抹消。門別のレースを1.5差で圧勝すると中央復帰。初戦僅差の6着のあと、2→3→6と来て5戦目夏の新潟芝2000を勝ち上がり。続くレースも勝つと、秋の東京までに4勝。日計新春杯に出走するなど、大きな夢も見せつつ4勝で引退。獲得賞金5918万。
この馬は、芝中距離馬で、再ファンド馬にしては異例。牝馬ということもあり、本当に特異な存在です。東京で何度かレースを見ましたが、確実に追い込んでくる良い馬でした。募集価格の安さも含め、希有な存在と言えます。堀厩舎の信頼度を高めた一頭と見ています。
5)アイリッシュホーク(セゾンRH・牡6・美浦/松山厩舎・父サンデーサイレンス)
募集価格5,800万でセゾンRH(当時JOY)。デビューは2歳秋の東京で芝マイルを3着。良血馬の片鱗を見せたが、その後安定するものの勝ち上がりには至らず、7戦2着2回で中央抹消。明らかな芝馬で、旭川へ行くと苦戦。初戦・2戦目を2着。5戦目、タイム差無しで漸く勝ち上がり中央へ。中央復帰戦をいきなり3着すると、2戦目から3連勝。1000万でも大崩しない競馬を見せている。いずれも芝で3勝。獲得賞金4300万。
募集価格が高かったため、成功と呼べる成績には至っていませんが、中央に戻って3連勝など、素質の高さは示していますし、まだ期待できそうです。ジャッキーテーストは少し別格として、やはり芝馬は再ファンドで苦労します。苦手なダートを能力の差で勝ち上がるくらいの馬じゃないと、復帰しても500万・1000万で通用しないので、仕方ないというか、適切なフィルターとも言えますけど。
6)マリアヴァレリア(サンデーR・牝6・美浦/堀厩舎・父サンデーサイレンス)
募集価格4,000万でサンデーR。サンデー、再ファンド成功馬の宝庫です。同じくらい分母の多い社台・マイネルではなくここ、というのは何となく納得できるような。
3歳5月に中京でデビューするも10着。続けて芝を使われ5→5着と来て中央抹消。門別で初戦を快勝して中央復帰。2戦目から3連勝するなど、良血の力を示し、今年3月に1000万も勝利、引退しています。いずれも芝で4勝。獲得賞金4085万。
中央復帰後も2年で8戦とレースを使い込めない面がありましたが、血統馬らしいポテンシャルを随所に示しました。ギリギリ募集価格クリアの成績も、出資者には満足できる馬だったのではないかと。ここまで2頭の再ファンド牝馬、そしてアグネスラズベリも含め、牝馬の再ファンド成功馬は皆芝馬です。
7)ウインファンタジア(ウイン・牝5・栗東/池江郎厩舎・父ヘネシー)
募集価格2,400万でウイン。2歳9月の札幌でデビュー(6着)。続くレースを3着、休養明けを2着とするも8戦して勝ち上がれず中央抹消。園田へ行き、2戦2勝で中央復帰。川田騎手を背に初戦・2戦目を連勝。その後暫く勝てなかったが今年5月の中京で久々の勝利。全て芝で3勝。獲得賞金3780万。
牝馬の再ファンド成功馬は芝馬の法則、継続中。4歳時に1000万で2着していますし、息の長い母の子なので、まだまだ活躍できそうですね。
8)カゼノコウテイ(ヒダカBY・牡4・美浦/伊藤伸厩舎・父テイエムオペラオー)
募集価格2,415万でヒダカBY。3歳6月の福島でデビューも14着。次走を4着するが4戦して勝ち上がれず登録抹消。園田での初2戦を2着としたあと、2連勝で中央復帰。復帰初戦をいきなり3着。今夏、6戦目で勝ち上がり、NST賞でも勝利、今後の活躍が期待されている。いずれも芝で2勝。獲得賞金3365万。
素晴らしい末脚の持ち主で、元気ならOPまでの出世が望める器ではないかと思います。
9)ジュークジョイント(社台RH・牡6・美浦/鈴木康厩舎・父エルコンドルパサー)
募集価格5,000万で社台RH。3歳9月と崖っぷちのデビューながらいきなり2着。だが、3着→2着とするも勝ち上がれず、中央抹消。札幌の初戦を勝利して中央へ復帰。善戦しつつ6戦目で勝ち上がり。今夏の1000万でも3着するなど、活躍中。ダートで1勝。獲得賞金3050万。
これも募集価格が高かったので満足行く成績ではないものの、安定して走るため、1勝ながら3000万を稼いでいます。4歳夏以降に初勝利を挙げたので、いきなり1000万に行って、そこで稼いでいるという意味では、早く帰ってくるのが良いことではないという例にもなります。勿論、順調なら早くから走った方が、トータルでは大きく稼ぐでしょうけど、入着を繰り返すタイプの馬って500万でも1000万でも一緒だったりしますからね。
10)メテオグローリー(サウスニア・牡5・美浦/藤沢和厩舎・父Giant's Causeway)
ここで漸く出資馬。募集価格5,880万でサウスニア。早くから期待されたものの、一人バックドロップという離れ業であり得ない故障。そのまま名古屋へ行き、地方デビュー。初戦、2戦目は勝ちきれないものの、3戦目で豪快に勝つと、4戦目も突破して中央へ。脚質が定まらず、2戦は善戦止まりも、新潟で内田博騎手を背に追い込んで初勝利。その後、夏の北海道で500万→1000万を連勝。その後は藤沢厩舎らしいナマクラな使い方で飼い殺し状態→放置状態に入っているが、今秋復帰予定。今後の活躍が期待される。いずれもダートで3勝。獲得賞金3034万。
自分の馬なので評価難しいですが、無事なら(まともに使われれば)ダートのOPでやれる馬。サウスの悪い体質(怪我の隠匿と放置)にも嵌っていますが、何とか無事復帰して欲しいです。
以上、再ファンド馬の賞金ベスト10でした。11位以下も名前だけを挙げておきますと、11)レフィナーダ(サウスニア・2937万)/12)クロニカ(ヒダカBY・2925万)/13)アマビリータ(社台RH・2795万)/14)セプターレイン(社台RH・2730万)/15)スナップショット(サンデーR・2695万)/16)クイーンアイリス(社台RH・2468万)/17)サーチエネミー(キャロット・2465万)/18)クードゥシャンス(キャロット・2410万)/19)フレッチアドーロ(ヒダカBY・2199万)。ここまでが獲得賞金2000万以上です。
上記19頭をクラブ別で見ると、サンデーR/社台RH/ヒダカBY4頭・キャロット/サウスニア2頭・ウイン/セゾン/シルク1頭。全再ファンド馬の分母は分かりませんが、分母を考えるとヒダカとサウスニアは目立ちますかね。
まあともあれ、多少の例外はありますが、「本道」の再ファンド活躍馬は「中央で余りレースをしていない、出来れば3着以内の成績がある」「地方はあっさり突破」「中央復帰早期から素質を示す(出来れば連対)」「適性はダートか短距離」に該当する馬ですね。私の未勝利馬で言うと、シャイニングヒル・ミネラロジストはセーフ、シャノンはアウト。シャイニングは再ファンドになるのであれば、ダートの競馬振りが問題ですが、私は大丈夫じゃないかな、と思っています。せっかく去勢までしたんだから、やれるだけやって欲しいですよね。