サウジ戦所見。

結果に関し色々言う向きもあるだろうが、激変したチーム、構成3戦目でのアウェイ、相手は中東最強クラスのサウジ(主力欠いているとは言え)。失意のドイツを経てアジアのライバル相手に実力を試したいという意味では日本以上のモチベーション。負けたこと自体は問題ない。アウェイできっちりアウェイらしい戦いをし、その中で只守るだけではなく攻撃もした。
アウェイの中、数少ない「たぐり寄せたリズム」の中で得点できなかったのは、一つは決定力の部分、もう一つはこの試合で起用した中盤の特性。ヤットは捌きの選手で、タツヤや巻がいくらスペースを作ってもそこを埋めることは稀少。これは遠藤が悪いという話ではなく、彼を起用する時点で(そして右で使い、後ろに爆弾抱えさせた時点で。しかしヤットとお味噌は同じチームなのに何であんな心通わないんだろう。不思議)100%起こりえる事態なわけで、そこを誰がどうバランス取り、埋めるのか。その辺の意識がまるでなかった。阿部が飛び出すとか、巻がもっと中で勝負するとか…。

リスクマネジメントを意識してか阿部が下がった結果、鈴木啓太の存在価値はぐっと下がり(中盤からゴール前までケアできる卓越した彼のカバー能力が、阿部が後ろにいることで半分不要になった)、中盤の空間がぽかりと空いているのにボールはそこを素通りするだけで、誰も動きで埋めに行くことはなかった。

失点シーンは考え得る不運が重なった(切っている左側に、足に当たってこぼれてはどんなディフェンスも対応できない。あそこでセンターバックが2枚とも右をケアしていたというのは素人意見に過ぎる。左はマーカーとボランチが切る事前提でのディフェンス。そこを信用しないのであればそもそもサッカーになり得ない)。仕方ない。とにかく点を取れない試合ではなかっただけにアウェイを意識してリスクチャレンジが足りなかった点が惜しまれる(闘莉王のあれは八方破れと言うべきモノでチャレンジではない。中盤の選手に必要)。1−1で終わるべき試合だった。

終盤のパワープレーは本当にまるで見るべきモノが無く。闘莉王が上がった=ハイボールを当てて周りでかっさらえ、というのは「考えるサッカー」なんてお題目を掲げずとも誰でも思いつきませんか? 熱さで馬鹿になってたか、それとも闘莉王が嫌われてて無視されているか。どのみちナンセンスだったなあ。

まあーとにかくこのチームは中盤の構成だな。ヤット・啓太・阿部のトリオはダメだよ。機能しえない組み合わせ。ヤット=捌き、啓太=スペースケアなら阿部は? もう一人がドリブルやワンツー、飛び出しの意識が強い選手じゃないと、ヤットと啓太両方が死ぬ。もしくは阿部を捌き役にしてヤットの所に羽生のような選手を。もしくは啓太→長谷部。右のお味噌はこの試合に関しては及第点。10試合に1度くらい人並みに働くその日だった。ただ奴が仕事すると大概チームの出来結果は伴わない。疫病神キャラ健在。あそこが田中隼なら倍は得点機あったろうね。

啓太はキャラクターを変えられる選手ではない。ヤットも無理。じゃあ一番オールマイティーな阿部ちゃんがもう少しバランスを取らないといけない。もう少し走らないといけない。酷な仕事だが。だが、それをしないのであればジェフ勢は呼ぶ意味が無いのも事実で。ガンバレ。

浦和の選手に関して個別に。

坪井▲:代表で頻繁に見せるポジショニングのずれから相手にチャンスを与えたが、そこは彼のスキルでカバーしていたので、まあ問題なし。失点シーンに関しても責任はない。もう少しフィードのボールの質(主に速度)を上げること。時間帯ごとに、周囲の選手との関係を確かめる積極性を求めたい。

闘莉王×:まるで味方から信用されていない様子。パワープレーで上がっても無視されている。ならば上がるだけ無駄というモノ。点を入れるという自分のキャラクターに対する義務感はあるだろうが、今の状態なら不要。岩政と差し替え希望。もしくは阿部CBで中盤に機動力ある選手入れれば良いんじゃない?

鈴木○:阿部と遠藤という正直相性の良くない選手の間でやれることはやった。あれ以上を啓太に求めるのはお門違いで、それならば最初から他の選手を使うべき。阿部と被る部分に関しては啓太の方が遙かに能力が上。逆に啓太が逆立ちしても持ち得ない能力(前への運動と連動・ミドルの質)で阿部が見せ場を作ってくれないと。迷走せず自分の仕事貫いて欲しい。

三都主▲:おおむね問題ない仕事ぶりだったが、失点されて以降、特にパワープレーシフトの時間にこねこねドリブルするのは見ていて不愉快極まりない。87分は自分に求められているモノを追求して良いが、残り3分、チームのタクティクスに献身すべき所でまるで仕事が出来ない。結果足手まとい感だけが残る。これはジーコ代表の頃からずっとそう。ジーコの頃は周りの選手に足を引っ張られていたが、今は言い訳材料無し。改善しないのであれば交代を。

田中達▲:この試合も動きの質は素晴らしく高かった。彼の良さは「崩すための繋ぎ」「シュートのための繋ぎ」が一貫して高いモチベーションで出来る点。そこが「繋ぐための繋ぎ」に自己陶酔する鹿島の失格ちゃんとの決定的な違い。ただ、「並のFWなら3回に1回は決める」チャンスを3回全部外した点は当然責められるべき。クラブでも点が取れていない。代表にワシントンはいない。もう少しフィニッシュを大事に。ただ、「達也の決定力がない」と嘆く前に、あのチャンスは達也だから発生したという点も評価してあげねば。点のにおいは常にする。少し足が冷えているだけ。心が冷えなければ大丈夫。次は控えでも、というかガナといい佐藤寿といい交代で出てきてすぐに埋没する。達也なら違う。それならスーパーサブで使ってはどうか。少なくとも巻とのコンビネーションは「?」。達也と組むにはボックス内のワンタッチに拘る選手がいい。今の代表なら佐藤寿。

まあとにかく3戦目ですので全然気にしてないです。これがトルシェやジーコみたいに本番1年前だったら「今すぐ監督変えよう」って言うけどね。4カ年計画の1ヶ月だよ、まだ。騒ぐ阿呆はストレス狂いして傷害事件起こす前にサッカー断ちしてください。このチームに松井が入った絵が早く見たいなあ。

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