大人になって、読書量は子供の頃と比べて減っていないんですけど、その代わり、同じ本を何度も読むことってのは減りました。
それこそ子供の頃は、買って貰った本や、お小遣いを貯めて買った本を、擦り切れるほど何度も何度も読んで、一字一句記憶するくらいまで読み込んでいたものです。今はなかなかそんな時間がありませんし、そんな本の感動にも出会えないのが実際のところ。
そんな私が近10年で恐らく唯一、ボロボロになるまで読んでいる本があるのです。それが以前紹介したこれ。
- 作者: 芝崎みゆき
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2004/05/01
- メディア: 単行本
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そしてこの人の書いたギリシア本!
- 作者: 芝崎みゆき
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2006/11/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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そんな「読み込ませる人」芝崎みゆきの新作が去年出たのですよ〜。
- 作者: 芝崎みゆき
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2010/05/22
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今度はマヤ・アステカ!
今までの2カ所は、私は予備知識もかなりあり、大半が知っていることで、勝つそれをこうも面白く読ませるのは凄いなあ、という感慨でしたが、マヤ・アステカはほんの触りしか知りません。それで行くと、こんなにも興味を持たせる本が他にあるだろうか、という驚きの面白さです。
この人の本の特徴は「手書きである」こと。中はイラスト+文章なのですが、文字も全部手書き。絵は決してうまくないけど、絶妙な味わいがあって、愛着が湧くもの。強烈なアナログ感。隅々まで詰まったそのアナログテイストに、強烈に惹き付けられるんですね。語弊があるかも知れませんが、小学生の自由研究の延長線上にあるような本です。この感じは言葉で説明するより、是非実際に読んで欲しい。
旅行に行くとき、これらの本に書かれているような知識をかじってるかかじっていないかで、感慨/感動は大きく変わってきますし、なにも専門的に勉強しなくても、入り口だけでも充分楽しいのが歴史学/考古学。むしろ、職業にしようというのじゃなければ、ただただ難解で退屈で分厚くて高い専門書なんてポイです。この人の本のように、気易く楽しくその世界を「近づけてくれる」本の存在が、いかに素晴らしいことか。学校の教科書がこんなだったら、日本人はみんな世界史が好きになるに違いないです。
とにかくね。難しいことを難しく書くのは馬鹿にでも出来るのです。世の中の学者専門家なんて、知識があるだけで全然面白くありません。書く物がつまらない、話がつまらない、それでその世界をつまらないと思わせてしまうのは、罪でしょう。難しいことを簡単に書くのは、本当にその世界の知識と、愛情と、なにより驕らない気持ちが必要。芝崎さんの中にある「私、プロじゃありませんから、門外漢ですから」という気持ちと、モチーフへの愛情は、どんな専門家の知識にも勝ります。私の中では、どこかの退屈な退屈な学者より、芝崎みゆきの方がずっと「立派なエジプトガイド」なのです。
今までは歴史と旅行記がごちゃ混ぜの本でしたが、今回は別々になっています。そして、実は私、この人の旅行記部分はあんまり好きじゃなかったんですよね。実体験として現地(人)の嫌な側面は、私も体験しましたので理解できるんですけど、それを敢えて本にしないでも良いじゃない、と。そりゃ、観光立国(都市)が、観光客をある意味食い物にする(騙す)のは当然の側面で、そこの駆け引きとかが面白かったりもするんだけど、そんな被害者ーって書き方しないでも…本が好きなだけに、凄くガッカリします。エジプト本、ギリシア本は素敵なのですが、エジプト人、ギリシア人を好きになる要素には欠けます。そこがとても残念でした。
マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行 ――メキシコ・グアテマラ・ホンジュラス・ベリーズの旅
- 作者: 芝崎みゆき
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2010/05/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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でも今回は読んだ人が「南米人を好きになった」と言っているのをよく見かけるんですよね。あれ、今までの芝崎本にはない反応だぞ、と。そんなわけで、こっちも買ってみたのです(買ってみた記念にエントリをしたのです)。楽しみ。