歴史漫画三選。

 昨日、ほぼ同級生の男どもで酒を飲んでいて、音楽の話になり、「SEKAI NO OWARIゲスの極み乙女。の違いが分からない」とか「AKBの歌が全部一緒に聞こえる」とか言ってるのを聞いて「老化したくねえなあ」と思ってましたが「西野カナの曲は全部一緒」は同意せざるを得ませんでした。あれが分かるのは女子中高生だけだよね、たぶん。

 さておき、昨日今日とGW休みだったので、色々遊んだり溜めていた本を読んだりして諸々発散していました。そんな中でDLしていて読んでなかった歴史漫画が面白かったので、ついでに最近好きな歴史漫画を幾つか紹介。自分の場合、戦国時代が好きで、逆に言うとそれ以外の時代は余り興味がない、というか手を広げないでいたのですが、その中で琴線に触れた、戦国時代以外の漫画達です。

 これは前も多分一度紹介した「達人伝」。歴史漫画史上最高傑作(自分調べ)である「蒼天航路」の作者・王欣太による春秋戦国時代を舞台にした大作。三国時代を遡る春秋戦国は、断片的な知識しかない人も多いと思います。私もそうでした。史記や関連書物は読んだことありますけど、知識としては戦国四君楽毅くらいは知ってるレベル。漠然とした面白さは感じてても、入り口が難しかったんですよね。そこへキングダムとこの漫画が出てきたことで、大分ハードル下がった気がします。

 特に達人伝は蒼天航路同様、人物描写の豪快さが気持ちよく、どんどん人物像が頭に入ってくるのが良いですね。この人の筆は、主人公やその周辺の縁者を魅力的に描くのみに留まらず、一般的な漫画家では到底及ばない敵役の魅力を描写しきるのが素晴らしい。中庸な漫画家の手に掛かると大抵、ただ悪どかったり、逆に人間味を描こうとしてスケールダウンしたりするのですが、それがない。呂布董卓、白起や鯨骨のような描き方は空前絶後と言っていいんじゃないでしょうかね。ホント、この人の手で稀代の英傑・曹操が描写されたのは幸運です。

 ともかく、歴史漫画である以前にエンタテインメントとしてしっかりハイレベルで、ある意味絞り尽くした三国時代以上に魅力的な時代とも言える春秋戦国への入門書としては最高なのではないかと思いますよ。

 「元寇」で知られる蒙古襲来を迎え撃つ日本国を描いた漫画。舞台は対馬。ここから大きすぎる嵐が訪れることを知りつつ、その予感がひしひしと漂う描写と、掌に届くスケールの戦いに巡らされた知謀や人物的魅力が感じられる良作。主人公の人物像も魅力的ですが、戦国武士とは違う鎌倉武士の存在感や価値観も垣間見えても面白い。雲霞のごとき大群を相手に、無謀な戦いを挑む、って構図はやっぱり燃えるモノがありますね。戦国時代を経て、明治維新まで続く宋氏と対馬の関係性なども窺えます。これから大モンゴルの人物達がどんな風に描写されていくのか、楽しみです。

 コミックウォーカーで最初の2話と最新話が読めますよ。

応天の門 3 (BUNCH COMICS)

応天の門 3 (BUNCH COMICS)

 舞台は平安時代、主人公は在原業平菅原道真。この2人もみんな名前は知っていても、どういった人物で、実際何をしたのかは余り詳しく知らない。ジャンルとしてはクライム・アクションと定義づけられていて、平安京を舞台に起こる怪事件の裏を調査していくと人間の陰謀だったり色恋沙汰だったりが絡んでて、2人(主に道真)が解決していく話で、テンポ良く読みやすい漫画の中で、イマイチ現代人の感覚では理解しづらい平安時代の風習や常識が徐々に浸透してきます。なるほど藤原氏

 正直、この辺の時代は苦手で、難解な上に頑張って学んでもカタルシスがないと感じていたのですが、この漫画を見ているとだんだん魅力的に思えてきますねー。同様に余りこの時代に興味を持っていない漫画読みさんにお勧めしたい本です。絵も美しいですねー。


 大好きな戦国時代ベースの漫画はへうげものセンゴクあたりを筆頭に、信長のシェフとか信長協奏曲とかまで相変わらず充実してはいるのですが、本筋は食傷気味なのでテーマとしてはちょっとかわった人物を主役に据えたものが読んでみたいですね。今だったら水野勝成とかいいんじゃなかろうか。大メジャーな武将との接点も多いから興味を持って貰いやすいし、本人にもトンデモエピソード満載だし。小説は何冊かあるけど、漫画はあるのかな…?

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