傑作始まった。

 蒼天航路の作者が描く春秋戦国時代。それだけでもワクワクしますが、蒼天序盤のはっちゃけた型破り感と、中盤以降の群像の魅力が早速ぎゅうぎゅうに詰まっている感じで、大変面白いです。

 私自身、三国志、秦末期に関しては史実、創作も含めそこそこ親しんでいるつもりなのですが、この時代は余り詳しいとは言えません。それだけに不安もあったのですが、流石そんなのお構いなし。とにかくこの人は漫画力が破格ですよね。純粋に漫画として面白いし、義務教育+α程度の知識でも十分に「お」と思えるワードは散りばめられていて、悪い歴史物にありがちな押しつけがましい蘊蓄はない(いらない)ので、知識が娯楽の枷になることなく描かれているのはほんと、素晴らしいです。三国志なんて手垢が付いた、と言えば手垢が付いているし、某大御所の作に脳が囚われていると言えば囚われている。それを粉々に叩き割ってくれた蒼天航路の持つ卓抜した武器がしっかり達人伝にも根付いています。

 蒼天航路で言えば、私は劉備曹操の描写には一貫してたまらないものはあったのですが、やっぱり大メジャー題材だけあり、序盤から中盤にかけての「あそこどう描くんだろう」とか「うわーこんな表現!」という驚きと興奮は、徐々に史実に近づいていくことでフェードアウトしてしまって、終盤は結末に近づく苦痛が娯楽を上回ってしまいました。呂布袁紹は凄かったよなあー。それでも十二分に楽しかったのですが、私は破天荒な序盤と、爽快な中盤が好きなのです。今回は何処までこの爽快感が維持できるか、ドキドキしつつも前向きに期待してしまいます。それほど序盤は面白いです。蒼天航路好きな人には文句なくお勧めしたいし、歴史漫画嫌いじゃなければ絶対楽しめると思います。読もう!

 現在1・2巻発売中。3巻は月末。楽しみだなあー。

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