真女神転生4

真・女神転生IV (2013年5月23日発売) - 3DS

真・女神転生IV (2013年5月23日発売) - 3DS

 クリア。以下ネタバレあり。

 全ルート(ロウ・カオス・ニュートラル・バッド)見ました。「真」の名を冠するに値する良作ですね。安心しました。世間ではストレンジジャーニーっぽいとかも言われていますが、あれも真シリーズに連ねて良い作品(クオリティと意気)だったので、良いんじゃないでしょうか。褒め言葉です。

 3DSになり、操作面は圧倒的に向上。真3をやってない人にはやや違和感あるかもしれませんが、携帯機でこれだけ魅せてくれつつ、操作性を保ってくれれば満足です。何度も言ってますが、私、RPGに関しては過剰に美麗なグラフィックは操作性と視認性を下げる小悪で、過剰な演出はクリエイターの努力とユーザーの想像力を否定する大悪だと思ってますので。

 ストーリーはベース、重厚ですが、宗教的な話より思想の対立に重きを置いた感じ。主人公達の年代や立場もあり、ちょっとペルソナっぽい(3以降のパチモンじゃなく、その前ね)と言われるのも分かります。でもベースはちゃんと「真」ですね。クエストをこなしていくシステムのお陰で、大筋の盛り上がり感が少し乏しく感じるところがあるのは残念ですが。

 それで言うともう一つ。各属性ルートに分岐した後のボリューム不足は残念でしたね。そこまでって、メガテンで言うと前座だと思うんですよね。このゲームの場合、前座8本番2くらいな感じ。逆転しろとは言わないけど、せめてイーブンにして欲しかったなあー。お陰で終盤の盛り上がりが致命的に欠け、その結果、主人公の選択の重さを感じさせ切れていない気がします。更に言うと、各ルートをしっかり見ることで、それぞれのエンディングや会話、イベントが補完し合って世界の有りようが見えてくる構造なのに、2周目以降の共通パートが長くてしんどい。

 ついでにそれに付随してもう一つ。ニュートラルルートが実質のトゥルーエンドなのですが、これ、最初から入れちゃうんですよね。ロウ・カオスと比べて条件がシビアなのは事実ですが、ある程度中庸に選んでくとは入れちゃう。そして初プレーでニュートラルを踏んだ場合は、イベント内容や会話が分かりづらく、逆にニュートラルを見た後にロウ・カオスを見るとつまらなく感じる可能性も。ニュートラルルートは、2周目以降解禁で良かったんじゃないかなー。まあ、そうすると結局、ルート分岐後の物足りなさの話に戻って来ちゃうんですけどね(もったいぶって解禁してもあっさり終わるので)。

 メガテンの宿命と言えばそれまでかもしれませんが、善(規律・抑圧・アメリカ的・天使)と悪(混沌・自由・実力主義・悪魔)の対立に、人間の意思と希望、エゴみたいな物がもう少し絡んでくると、もっと面白いのになー、とは感じてしまいます。真らしいっちゃーらしんですけど、キャラクターに声を付けて、個性立てして、ってところに手を出すので有れば、セットでそこのケアもして欲しかったな、と。色々もったいぶって選んだロウヒーローとカオスヒーローが、すぐ天使・悪魔の苗床になっていなくなっちゃうのでね。だからこそ、神でも悪魔でもなく人の道を選ぶニュートラルがトゥルーエンドっぽくなるわけですが。

 とまあ、少々文句は付けつつも、現代風に少しばかりアレンジされた真シリーズ、としては十分に合格点と言える内容で満足です。なんだかんだ2周目の追加要素も結構有って、2周までは少なくとも新鮮な気分で楽しめますし。ゲームバランスは非常に良く、適度な緊張感を保ったまま終盤まで行けます。アプリシステムのお陰で、自分でプレースタイルを選ぶことも出来ますし、その中で比較的早い段階からダーク悪魔を仲魔に出来るのは有りがたい。楽しみました。

 戦闘のニヤリシステム(弱点を突くと追加行動が貰える/たまに「ニヤリ」として次の行動が確実にクリティカルになったり、相手の攻撃を回避したり)は二長一短くらい。これにより、メガテンシリーズ恒例の、万能属性無双にはならず、相手の弱点を探る醍醐味がぐんと増していること、単純に戦闘のテンポ感がプラス、結局弱点突きゲーになっちゃうのがマイナス。あとちょっといらつくのが、同行するNPCが相手の得意属性で攻撃してニヤリにしたりすること。邪魔すんなw 中盤、これをワルターに連発されたせいで嫌いになり、私にしては珍しくロウルートに1周目で入ってしまいました。イベント進行中でNPC居ないときの安心感たるや。

 追加コンテンツは微妙ですね。有料で出すことそのものを否定するつもりはないですが、それにしてはボリューム不足に感じるし、まあ、どっちかというとお金払って本編を楽に進めたい人向けのドーピングシステムかな、と。やりこみが有れば何でも良いって訳ではないですが、本編で育てた特定属性、特定種族でしか挑めないダンジョン、とか有ると楽しげだなーと思いました。

 すれ違いは非常に良かったです。基本は仲魔から1体選んですれ違いカードに添付するだけなのですが、面白いのが、すれ違い方法として、すれ違った相手と合体して別の悪魔になって帰ってくる「黒」と、添付した仲魔がそのまま戻ってきて、すれ違った人数に応じて能力値が上がったりする「白」の2種類が選べること。お陰で、いらない仲魔の整理や未知の悪魔が手に入るわくわく感と、愛着ある仲魔を育成できるやりこみ感が並行して楽しめます。お陰で私はパールヴァティとイシスをシヴァより強くしましたw

 良い意味で3DSサイズ(システム)を活かしつつ、真シリーズの血脈はしっかり継いでくれた真女神転生4。レトロユーザーにも若いユーザーにも等しく楽しめる良作だと言えるんじゃないでしょうか。点数は8.5点。ストーリー面の不満を挙げたところで本来なら−3級だけど、真シリーズファンとして出してくれた喜びが勝り、減点は半分にしてみました。

 次は新・世界樹。こちらも大きくリニューアルして賛否両論。もう一本楽しみにしていたセブンスドラゴン2020Ⅱが焼き直し感半端なく周囲でこてんぱんに叩かれてるので、発売は後ですがこっちから手を出します。

 

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