Kindle Paperwhiteのススメ。

 最近、本を紙とkindleで買い分けています。新刊&手元に形として残しておきたい本は紙で(あとkindleの扱いがない本も)、古い本や通勤中などに読む本、漫画の単行本なんかで既に2冊以上出ている場合はkindleで。

 正直、電子書籍という物は余り興味がなかったし、日本では根付かないかなとも思ったんですけどね。日本人はコレクション文化が根付いた民族ですし、手元に形として残す本や、本というデバイスの質量、見開きの効果など、電子では絶対カバーできない良さがあり、それを理解し、愛することが出来る民族だからです。私も人一倍のコレクター気質の持ち主として、電子書籍は何なら敵だくらいに思っていました。

 それが色々あって仕事でも関わることが増え、端末を比較検討している内にこれの良さに気づいてしまったんですね。

Kindle Paperwhite Wi-Fi (第5世代)

Kindle Paperwhite Wi-Fi (第5世代)

 色々細かいことはさておき、この端末の優秀な点を挙げていきましょう。

1)デジタルではなく「電子インク」である。

 デジタルはカラーの表現においては紙に勝る部分もありますが、ことモノクロにおいてはインク・紙の足元にも及びません。デジタルのモノクロには圧倒的に表現力という要素が欠け、乱暴な言い方をしてしまえば、オリジナルの劣化コピーのように感じてしまうことも多々。TVなどの動的デジタルではそんなに気になることもありませんが、「墨単色の与える深み」が存在しない静止デジタルの媒体では、文章や漫画も深みを大幅に失ってしまうようです。漫画や小説をモノクロ環境で読む際、デジタルの薄っぺらさがやっぱり興を削ぐんですよ。

 そこでkindle paperwhiteは電子インク「e-ink」を採用しました。限りなく紙に近いデジタルの誕生です。無論これからまだまだ改善されていくでしょうが、現時点で「よく頑張ってるなあー」と感心します。なんといっても「墨のインパクト」がデジタルなのにしっかり存在するんですよね。勿論100点ではありませんけど。今までのデジタルが2〜30点だったとしたら低く見積もっても60点、個人的には80点くらいあげたい感じ。

 もうひとつ、デジタル画面の最大の欠点である「白のきつさ」がありません。デジタルの白画面は長時間見るに堪えませんよね。目がおかしくなる。paperwhiteの白は、厳密には白ではない感じではありますが、柔らかいライティング(かなり細かく段階調節できます)かつ目にきつくない色合いで、中長時間の閲覧でストレスを感じづらいのです(ライトムラは少しあるのですが、そもそもアナログの本を読む時もライトムラはありますので気になりません)。これも非常に大きなポイントですねー。これに関してはカラー端末だとどうしても付きまとう「致命的欠陥」なので、モノクロ端末バンザイという感じです。

 インクであるが故にページ切り替える際に「じわっ」とした切り替えになり、イラチな方々にはマイナス材料になりかねませんが、紙の「ページをめくる」感覚に近いと言えば近い。私はむしろ、好きですね。ページがサクサク切り替わりすぎると、何か読み飛ばしやすくなってしまうんですよ。

 なんにせよe-inkは小説よりむしろ日本の極めて発達したモノクロコミックに相性がいい気がします。漫画読みで、デジタルを食わず嫌いしてる方は一度体験してみて貰いたいですね。

2)軽い

 これはとても大事。片手で持てない物は家でも通勤中でもストレスになります。iPad始めとしたタブレット端末は日本人向きじゃないですね。私は全然身体に合いませんし魅力を感じません。勿論小さいサイズで軽いのもあるはあるんですが、ならスマホで良いか、とも。

 kindle paperwhiteは丁度いい重さです。私の所有しているwi-fi版で213g。iPadが600g、miniでも300g。約2/3。この100gが、手で持ち続けられるか、られないかの、境目だと思います。ちなみにニンデンドー3DSが230g、PSPが190g(本体のみ)。ゲーム機とほぼ同等(やや軽い)、というのは大事ですね。ニンテンドーソニーは携帯ゲーム機を日本で出すに当たって丁度いい重さを研究しています。重たいのは勿論ストレスですが、そこそこの重量がないとグリップ感も悪くなるんですよね。213g、丁度いい。

3)バッテリーが圧倒的に持つ

 電子端末の宿命、それは「充電が必要」なこと。出先で気軽に使って、枕元に放置して、観たいときにいつでも観られるのが理想ですが、現実は毎日毎日充電器に繋いでやらないと満足に役に立たない「モドキ有線端末」に過ぎません。paperwhiteはモノクロに特化しているとは言え、公式表記ではバッテリー耐久時間なんと8週間! 実際、私先月買ってから最初以外一度もしてません。充電もUSBで出来ますしそんなに時間掛からないようです(これも公式だと4時間)。ここはでかいですねー。電子がアナログを超えられない最大の壁を打ち破った感。とにかく充電を気にせず使える電子端末、というものの素晴らしさを日々痛感してますね。寝る前に活字を読みたい私としては、本当にpaperwhiteは画期的端末なのです。


 まあ、大きいのはこの3点です。これだけで十分魅力的だとは思いますが、amazon母体なので本の購入がしやすい(検索性が高い)のもいいですね。amazonのブックストアではkindle専用のページもありますが、各書籍のページから、紙とkindleを選べます。kindleで買えば、あとはwi-fiで勝手に端末に落ちてくる。この手軽さも良いです。

 容量が2GB(実使用領域は1GBちょっと)と貧弱に感じる部分はありますが、モノクロデータは軽いですし、大元のデータをamazonクラウドサービスに保管されているので、今読む本以外は端末から削除してもいつでも再入手(勿論無料)できます。20冊ほどデータ入れていますが、諸々不安は全然感じません。クラウドを活かして、無料のアプリでスマホともデータを共有することが出来たりもします。

 あとは辞書を内蔵していて、小説などのセンテンスを選択するとその訳や意味がすぐ参照できるのも良いですね。英語の本とかはかなり読みやすいんじゃないでしょうか。

 タブレットのように色々出来る端末も良いですけど、所詮は携帯・スマホとノートPCの中間というか、どっちつかずな感じは否めません。本に特化したkindle、中でもこのpaperwhiteは8000円という安さもあり(裏面はラバー、表面はしっかり液晶にコートされていますので余計な周辺機器やカバー無くても大丈夫だと思います。私は使ってません。結局カバーの分重くなったり、使う際に一手間増えますしね。そうした「汚損のストレス」を感じない値段設定なのも魅力かと)、導入しやすい良い端末ですね。

 勿論、全ての書籍が電子化されているわけではありませんし、今持っている本をどうするかという問題もある(自炊なる行為は歓迎できないし、紙で買っている漫画を途中で電子に切り替えるのもねぇ…)。そもそも、私的には画期的な「壁を越えた」端末ですが、まだまだ発展途上期の産業ではあります。私は本棚がそろそろ限界と言うこともあり、先に言ったとおり仕事も絡みもありで手を出しましたが。

 紙との差額も、色々な利権を考えると適当であるという数字は現状設定しづらいのでしょうね。端的に言うと電子書籍は高いです。既に発行されている本を後から電子で読むのには、紙の半額でも高いんじゃないでしょうか。今のように紙と電子出版に時差がある(新刊で電子対応している漫画などは数ヶ月〜単行本1冊分程度遅れるのが通例です)。本気の本読みにとってはまだまだ使えるジャンルとは言い難いです。

 それでも、再三言っているとおり、今まで電子書籍に余り縁がなく、興味も持ちきれなかった方にはこの端末をチェックして、「これはいいかもなー」と思っていただけたら、嬉しいですね。是非一緒に電子書籍でビューしましょうー。

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