可能性

柏に1−0。ゴールはラッキーな部分もありましたが、勝利に値する素晴らしい内容。名古屋と柏は今のJ1では格上のサッカーをしているが、地に足がまだついていない状態で、部分部分では柏を凌駕するサッカーを見せた今日のプレーには可能性を感じた。昨年までのレッズには、健太さんが興奮するようなシーンは90通じて1回2回あればよい方だった(しかも個人レベルでのモノ)が、この試合は頻繁にあった。最後まで緊張の糸を切らさなかった。強い柏を凌ぎきった。

カウンターからピンチを招くケースはあったが、多くの時間帯で浦和が押し込んだ前半。序盤から裏取りの意識や前からのプレッシングに非常にいい仕事をしていたデスポトビッチが35分に相手の守備ミスにつけ込んで先制点。後半開始から柏はファウル覚悟の接触プレーでレッズの理性をそぎ落としに行く。それがまんまと成功してデスポ・梅崎と報復気味のファウルでイエロー。そこから暫く柏の流れが続くが、凌ぎきるとそこからは一進一退のハイレベルなシーソーゲーム。Jではなかなかお目にかかれない試合。徐々に真綿で絞められるようにギリギリ感増してくるレッズの守備。その中でも身体を張って柏の攻撃を凌ぎ、機を見て相手のゴールも脅かす内容。ロスタイムも凌ぎきっての勝ち点3。

本当に素晴らしい試合だった。随所に今年のチーム・今日のメンバーの良さを感じた。良さを感じた点を挙げてみよう。デスポトビッチのマーカーの横へ流れてから裏を取る技術。鈴木啓太のワンタッチでのはたきが前へ意識が向いている良さ。それを助けている阿部の存在感。槙野の前進意欲。原口・柏木の柔軟なポジショニング。槙野を活かすために個を殺している感もあるけど守備でも奮闘した梅崎。3バックとボランチ、両サイドのバランス意識の強さ、それと同時にリスクを冒す勇気。3バックの選手が流れを見て上がれるのも阿部と啓太という危機管理能力が破格に高い2人が中盤にいるから。特に阿部が攻撃時にバランサーとして果たしている枠割りは絶大。腐っていた柏木が自分の武器を優雅にふるいだしている。シャドーとしての柏木は日本でも屈指の選手。漸く正しい使われ方をし出したというところか…ポンテ、マルシオの呪縛が解けた感じ。

後半はネルシーニョの戦略に嵌って自滅気味に柏に流れを与えてしまったが、本当に今日の前半は良かった。ここ数年でも出色の出来だっただろう。守備面では柏の完成度に対し後手に回る場面も少なくなかったが、それは仕方がない。攻撃面の意図・形がフィンケ時代以来漸くかいま見えたというのは大きい。フィンケのやろうとしていたサッカーは、当時の幼稚なレッズに浸透しなかった。ミシャのサッカーも難しいが、今のレッズには浸透してきている。勿論まだまだ時間は必要。それでもポジティブな可能性を感じながらの「我慢」は楽しい。結果が付いてくることを前向きに待てる内容をチームが提示してくれるのは楽しい。

成熟度を上げていけば未来は明るいが、強い相手に対してこうしたサッカーが出来ても、弱い相手には何となくトーンダウンしてしまうのがミシャのサッカーという印象も。純粋に力だけで言えば半分以上のチームはレッズにとって「弱い相手」。そこでしっかり勝ち点を積めるかどうかが今期を左右するだろう。積めれば、それが自信になって成熟度を一気に上げていく。結果、トップ2以外のクラブに対して上位の立場から戦えるようになる。次の札幌戦は凄く大事。

あと、今日のサッカーを見て感じたのは、この戦術においてボランチとシャドー、1トップの存在は本当に大事と言うこと。阿部の存在は卓抜しており、啓太も非常に良い。直輝や柏木をボランチで使うプラン、ないし期待の小島を起用するプランはかなりリスクを伴う。どちらかが出場できないか、バックラインの穴埋めに回るケースでしか想定できないだろう。2人の勤続疲労は心配。シャドーは柏木が卓抜していて、原口はまだまだ。ここは原口の成長期待しつつ、色々試して欲しい。トップに関してはポポやマルシオには今後の期待が持てるが、デスポトビッチの仕事を見ると達也ではまずモノにならない。どちらかというと彼はシャドー向きだろう。シャドーとして挑戦するのでなければ、本当にもうただの余剰戦力に成り下がった感じがある。それなら通年怪我をせず過ごして「タラレバ」のない状態でオフシーズンの処遇を検討されて欲しい。あとは右でもう一度平川を脅かすところまで高橋に伸びてきて欲しい。彼は将来フル代表で酒井を脅かす存在になって貰わなくては困る。

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