リズム怪盗R

 クリア。以下ネタバレ有り。

 うーん、非常に面白かった! リズムゲーも完全に煮詰まったジャンルではありますが、ストーリーとの融合という部分で、新しい試みを経て、久々に一段階「進化」した…低く見積もっても「進化の可能性を示した」作品だったと思いますね。

 まずはリズムゲーとしてかなり秀逸。今までのゲームのどれかに似ているというわけではなく、舞台のパリや怪盗というキャラクター性に合った音楽やゲーム性はかなりハイレベルですね。ボタン複雑操作系のリズムゲーは、肥大化した格ゲーと一緒で目押し大会になって、リズムの爽快感が全然無い。簡単すぎるリズムゲーはつまらない。ここのバランスは難しい。こういうジャンルは時期を経る事に複雑化するしかない。そうするとマニアしかプレーできない退屈なゲームになる。リズム怪盗Rのリズムパートは、(3)DSのタッチデバイスを取り込んで、程よいバランスに着地している。クリアだけならそんなにハードルは高くなく、パーフェクトに近づこうとするとかなり難しい。ゲームのバリエーションも豊か。音楽もとても良い。特典でセレクションサントラ付いてきたので、暫く聞いて楽しみます。純粋にリズムゲーの名作と言えますね。途中、サンバでアミーゴとかスペースチャンネル5のステージがあるのにはときめきました。あとヴァイオリンのゲームは気持ちいいですね。スライド=演奏になってる感じで。こういうの、いいね。

 それにプラス、ストーリー。基本はADVで、アニメとマップ移動。節々でリズムゲーが入り、クリアすると先に進む。アニメは可愛げで好印象、マップ移動はやや単調だが、画面をクリックしてお金やアイテムを探す要素があるので、クリアまで飽きずに済む。ストーリーそのものはやや大振りですし、もうすこし怪盗としての部分を描いて欲しかった気はしますが、まあ、この尺(エピローグを除いて9章。1章約1時間。リズムパートを除くと40分くらいか)ではこれ以上詰め込むのは無理かな。まあ、違和感なく楽しめる範囲です。いかにも続編へ続く感じのエンディングでしたので、そこに期待します。

 で。続編へ向けてマイナス材料(止めて欲しいこと)を2つ。まずはなんと言っても、プレーした人がほぼ全員マイナス印象を持っている様子の、ヒロインの声。別に、素人を使うのは良いんですよ。ただ、声質がキャラクターに合っているとは思えないし、作者が番宣で「演技力を買った」と言っていたのがなんとも。演技、上手いかこの子? ああいう指導があったにしてもないわあ、という感じ。典型的な、好きな人が喜ばず、そうじゃない人は皆嫌いになるパターンの露出。こういう必要悪はどうしたモンでしょうねえ。声の演技ってのは特殊ですよ。邪魔くさい。同じ番宣で「声を高く」と指示が出ていましたが、じゃあ、なんでこいつ使ったんだか。ギャルギャルしてない声が売りの人なんじゃないの? 露骨に「何か大人の事情があるんだな」という配役は、興醒めしますね〜。

 もう一つ、エンディングの歌。名曲だと思いますよ。でも、なんでゲームのエンディングに既存の歌を持ってきますかね? OPが良いだけに、残念です。OPの人にED歌わせればいいじゃない。意味分からない。非常に後味が悪かったです。ドラマ全体を台無しにするという意味では、マリアの声以上に罪深いですね。なんでこんなことしちゃったのかな。ディレクターのエゴかな?

 そのチャレンジ精神も含め、ベースとしては10点満点挙げたいくらいの作品。それに、画面クリックの判定が曖昧でややストレスが溜まるところがあるので−0.5。AIで−0.5。ゴーリキーで−1。ストーリー面の更なる頑張りを期待してもう−0.5。7.5点にしておきます。3DS持ってたらやるべきだ、というくらいのゲームではあります。こういう、大作まで行かない良作・名作を大量に出して欲しいですね。肥大化してゲームの本質を失った据え置き機や、廃人と廃材利用の場になってるモバイルには目指せない境地。それがこういうゲームだと思います。頑張ってください。

 次は〜……ウイポの新作(これも完全新作ではないけど)待ちつつ、リズム怪盗Rの各ゲームランクA目指そうかな。

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