監督。

 西野さんにも断られましたね。とりあえず岡田という最悪のシナリオは避けられた。そして、前も言いましたが、西野という監督も、私は最善とは思いませんので、良かったです。非常に実績のある監督ですが、浦和(と今の選手)に合う気はしませんので。柏にしてもガンバにしても、決してビッグマーケットではないところで、中堅級のクラブと選手をトップレベルに上げる手腕に長けた監督。限られた手駒に、必要な戦力を足すチーム作りに長けた監督。ある程度の忍耐をチーム・サポーターに許容する監督。戦力飽和状態で、ビッグマーケットで、クラブもサポーターも忍耐力という物をどこかに忘れてきた浦和では、まず成功しないタイプでしょう。そもそも思考するポゼッションサッカーが、今の浦和の低迷の要因ですからね…。

 ポゼッション型のチームは、浦和の目指すところではないでしょう。浦和というチームには、スタイルが存在しない。結果の出た時代も、ブッフバルト任せだったりエメルソン任せだったり、ワシンとポンテ任せだったり。強いて言えば「個人…しかも、J1レベルで傑出した外人によろしくお願いする」というのが、スタイルですかね。

 ただ、その後継者であるはずのマルシオ・リシャルデスが機能不全に陥った今年。その原因は、間違ったポゼッションサッカーと、半端なクオリティの日本人選手にあると思います。マルシオは王様にならないと輝けない選手。チームのワンピースにはなり得ない。今の浦和には「王様然」とした選手が一杯居て、王様の邪魔をします。船頭が多くて従者のいないチーム。それが今の浦和。

 そもそも、今年のレッズも、ボールは圧倒的に持てているんですよね。でも正しいボールの運用と、敵の守備網を超えるクオリティに欠けている。良い選手は一杯居ても凄い選手が居ないので、持てば持つほど手詰まりになる。みんな「俺が!」という気概はあるけど、一人で全部やってのけるような特別な才能ではないし、その才能を人に併せるという部分でセンスに欠けるタイプが多い。

 浦和の再生に必要なルートは今、2つあると思います。ひとつは、過去の浦和のように、特別な選手を連れてきて、後の選手が従者になること。王様然とした高給取りを片っ端から解雇すれば、マルシオも復活するかも知れません。彼中心のチームを作るも良し、空いたサラリー枠でトップレベルを取るも良し。ただ、今の浦和で仕事したいと思う選手は、日本を知らない必要があるので、外から連れてこなくてはいけないでしょうね。浦和のスカウティング力でそれが出来るものか。それはある意味、「監督を変えれば」「フロントを変えれば」浦和が復活する、と根拠無く信じるのと同じくらい夢見事です。夢の代償を来期のJ2落ちで払う可能性は非常に高いですね。

 現実路線では、浦和に相応しいサッカーの方向性へ舵を切れる監督を連れてくることでしょう。ポゼッションサッカーとの決別。堅守速攻型のチーム作り。私は、浦和が一番輝くスタイルはカウンターサッカーだと思いますね。個人的にカウンターが好きというのもありますが、浦和の選手はポゼッション向きじゃない選手が多いですからね。例えばプレースタイルが完全に浸透して、J1では通用する目処が立たなくなった原口だって、カウンタースタイルの左ウイングとしてなら爆発的な能力を発揮できる可能性はあります。というか、そうしないとこの選手、近いうちに潰れるんじゃないですかね。浦和を出ればまだまだ伸びしろあるとは思いますが…。

 さておき、もう一つ加えるなら、日本語でコミュニケーションを取れる監督ってことですね。外人監督にして、ギドはさておき以降失敗を重ねている。結局今は、オジェック負の遺産を払い続けているわけです。外人監督は誰が来ても無駄でしょう。それこそオシムクラスなら別ですけど…。日本人の、堅守速攻型のチームを作れる監督…それは、ずっと名前が挙がってきた人の中に1人、当てはまる人材がいます。

 そうです、長谷川健太です。

 私は、彼のサッカーが大好きです。彼が指揮していた清水は良かった。優勝する可能性は充分あったチームでした。浦和という土地には縁のない静岡人ですが、幸い、今のGM代行とは大学の先輩・後輩。それはつまり、浦和の大問題でもある「現場責任者と人事責任者の意思疎通」という部分でもプラスに働くことを意味します。十分に、挑戦すべき冒険ですね。というか、この状況じゃなくても、日本人監督でこの人以上の人材はいるのか、と個人的には思いますね。

 岡田に振られ、西野さんに振られ。その結果健太さんに決まるのであれば、まさに「禍福は糾える縄の如し」。浦和というチームは、常にいくつかある選択肢の中で、最良を選ばないので、余り期待してはいませんが、一応名前が挙がっているわけで、単純にワクワクしています。

 健太さんダメなら、もう堀さんでしっかりやっていくべきでしょう。今年のサッカーで、堀さんのやりたいことや、監督としての才能が判断出来るはずはない。福田はともかく、広瀬さんを始めとしたOBを結集して今を乗り切れば宜しい。時間が掛かるにしても、あるいはJ2を経由するにしても、下手な外人監督を連れてきて迷走するよりは、しっかり種を蒔いた方が納得できます。てか、J2に行けば色んな意味で毒を吐き出せるだろうし、今の状態のまま残留するよりは良い面もあるんですけどね…。

 皆さんやきもきしているでしょうが、個人的にはまだ最悪の方向を回避する可能性どころか、最善に近い結果を掴む可能性が残っていると見ています。何とかして欲しいです。とりあえず、誰が監督になるにせよ、決まるまではベテラン勢とは一切契約更新しないで欲しいですね。あるいは全員首にしなければいけないかも知れないし、少なくとも馬鹿みたいな給料を先に決めてしまうメリットはないでしょう。それで流出しちゃうような選手は、別に良いんですよ。その分、今いる25歳以下の選手はしっかり確保しておいて欲しい。あとは、誰が監督するにせよ、優秀なフィジカルコーチ確保。これはFWやGK確保より大事ですよ。その意味では、フィジコを連れてこれる監督って人選は有りですよね。西野さんは良いフィジコ持ってるんだよなあ…。

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