Jリーグ2007中間考察。

 週末から後半シーズンが始まりますので、開幕前の予想を振り返りつつ、今後の展望を。

鹿島アントラーズ
 開幕前予想3位/現在4位

 正直、非常につまらないサッカーをしていた昨年後半〜今年序盤から良く立ち直ってきたという感じ。マルキーニョスが期待以上の仕事をしているのと、岩政を中心に守備を破綻させず頑張っている。

 小笠原の復帰で到底キャプテンの器ではない本山、柳沢に無理な期待をしないで済むし、チームは加速しそう。後半は伸びしろ多く、2強が躓けば優勝争いに絡んで来るだろう。最終順位も開幕前予想から訂正無しで。この体勢で2年目を迎えるとより良いサッカーが期待できそう。ただ、やっているサッカーがつまらない、という根本的な欠陥は、今後もサポーター数を増やすネックになるのではないか。そこも小笠原に期待するのはやや酷か。

柏レイソル
 開幕前予想17位/現在9位

 スタートダッシュは心底驚いたが、落ち着いてみれば比較的妥当な順位。開幕の貯金を考えると予想通りのペースになりつつあると言える。

 古賀・近藤のCBが期待以上の働きをし、攻撃の好調さが重なってのロケットスタートだったが、前が点を取れない時の打開方法はない。前線の代表陣は良い選手だが、フル代表レベルからは数枚落ち、違いを生み出せるのはフランサ1人という状況。太田の加入が起爆剤になるかどうか。

 再開から2・3試合が勝負。ここで勝ち越せないと最終的には降格ゾーンちょっと上で終わるかも。それでも降格候補とした私の予想は外れそう。柏サポの皆さまゴメンナサイ。

ジェフユナイテッド市原千葉
 開幕前予想7位/現在14位

 アマルの求心力(指導力)の無さが全て。チームの核であったストヤノフを造反で欠いてしまった。

 皮肉なことに、上記事件を境にチームのパフォーマンスは向上しているが、戦闘力を大幅に削がれたことは否定できず、早々に降格圏を脱出するのが目標になるだろう。

 ここの選手のポテンシャル、パフォーマンス共に已然としてJ上位レベル。良い時に見せるサッカーの質は相変わらずJ屈指で、オシムの遺産まだ健在と言うところ。きっかけ一つで変われるはず。やはり監督を替えるのが一番なんだけど…。

大宮アルディージャ
 開幕前予想16位/現在16位

 予想通り。純粋に戦闘力に欠けるチームなことは事実で、後半も何らかの起爆剤が無いとこのまま終わるだろう。

 監督交代がどう出るか。小林大悟が後半は休まずフルに働けば、残留達成できるやも
。新外人も勿論期待したいが、逆にここが不発だったらアウトか。

浦和レッドダイヤモンズ
 開幕前予想1位/現在2位

 首位ガンバと2差の2位は全然悪くない。双方のポテンシャルを比較すれば、余裕で差しきれる差ではある。しかしレッズの敵は内部にあり、そこには何のメスも入る気配なし。

 第1の問題は監督。オジェックは現在のレッズを采配できる器ではないことははっきりした。スタメンを固定し、過度な負担で主力が欠けるとそのまま戦力低下になるのはまったくの幻滅。Jでずば抜けている選手層も文字通りの宝の持ち腐れ。酒井は遂にクラブを離れたが、今期終了後に何人が移籍志願するか、今から恐ろしい。エンゲルスの流出が避けられたのは良かったが、より問題を覆い隠しただけかも知れない。

 もう一つはワシントン。今期の決定力の低さは異常。らしいゴールを決めるので、ハイライト映えはするが90分通じてのパフォーマンスはお粗末の一言。とにかく重たい、動かない、動きの質が悪い。チームの澱みに繋がっている。本人の奮起より、田中達也などの復帰で依存度が下がることを期待する。出来れば外して欲しいけど…。

 守備は怪我人が重ならなければ控えも含めてJ最強だが、ネネのような2流選手に頼る状況になればすぐ破綻する。

 とにかく、まだナンボでも伸びしろがある状況ながら、開花宣言を待たずにシーズンを終えそうな気配。ガンバの自滅待ちは情けない。故障者でないことを前提に、2位が妥当な評価か。

■FC東京
 開幕前予想4位/現在12位

 やれワンチョペがどうだ、平山がどうだ、トカゲの尻尾切りをして問題を見ないのは結構だが、このチームの問題は明白。監督の無能さ(というか地に足のついていなさ)に尽きる。

 茂庭が復帰したことで今野を死ぬほど酷使している状況は幾らか緩和するだろうが、口先でナンボ「攻撃サッカー」と言ってもこのチームが守備をベースにしたカウンターサッカー以上のことが出来ないのはもう明らか。いっそカウンタースタイルを磨けばいいのだが、攻撃のコマはそれに適していないし、戦術も正反対を向いている。根本のチーム作りの矛盾は大きい。

 選手の才能はリーグベスト5クラスだとは思うが…。サポーターは原の夢と何処まで心中する気概があるか。和食の名店にフレンチの看板が掛かってる現状、我慢できるのだろうか?

川崎フロンターレ
 開幕前予想6位/現在5位

 ACLを立派に戦いながら、ナビスコも勝ち進み、そしてリーグはこの成績。素晴らしいとしか。

 マギヌンが非常に効いている。ハイレベルなタレントだが、チームとしてはマンネリになりそうなところを彼が救っている。勿論、周りのパフォーマンスもレベル高い。チーム力を限界近くまで引き出し、高いモチベーションを保ち続けている関塚監督は立派。

 フランシスマールの加入(復帰)でどれだけ伸び代を生み出せるか。後半もシーズンは過酷。層は浅いチーム。怪我人(得に守備面は不安が)で一気に崩れる可能性もあるが、このまま行けるのではないかという見込みの方が、個人的には大きい。清水と並んで、今後Jリーグの名を国際的に挙げてくれる可能性を感じさせるチーム。サポーターではないが応援したい。このチームに上位クラブ並の予算を渡してみたい。

横浜FC
 開幕前予想12位/現在18位

 J1の洗礼を味わってると言うしかない現状。ただ、チームのサッカーが出来ていないのも事実で、改善の余地は大いにある。

 ベテランが多いチームだけに、劣勢に立った試合を覆すエネルギーに欠けている部分があるか。その点、中間にパワフルな補強を繰り返し、戦闘力を増している分、後半には期待できそう。DFのセンターユニットは残念ながらJ1では通用しない気配。迫力を増した攻撃陣に奮起を期待したい。久保と奥も期待通りの仕事を後半見せる必要有り。加えて、残留には若手の台頭も必要。韓国勢は将来性抜群も何処までチームに溶け込めるか。

横浜マリノス
 開幕前予想11位/現在8位

 前半は予想以上の出来。左の小宮山がドゥトラの穴を埋めたと言っていい活躍を見せており、河合がボランチで頑張ることで、山瀬が解き放たれ、チームのエースとして申し分ない風格を放ちだしている。いつ代表に呼ばれてもおかしくない。

 DFは極めて安定しているだけに、攻撃のプラスアルファが鍵。FWの粒が小さいのは否めず、山瀬への依存度が高すぎる現状。ハーフナーや鈴木には多くを望めず、大島も現状で合格点。才能という面でも最も伸びしろ秘める坂田が二桁得点に届けば、来期以降も含め楽しみ膨らむ。

アルビレックス新潟
 開幕前予想10位/現在3位

 驚きの前半戦。守備が良くなったことは認めていたものの、むしろ坂本の加入により攻撃が活性化している。

 中盤から前は完璧。守備も堅牢。心配は層の薄さ。スタメンとベンチの力量差は大きく、健康さがそのまま順位に反映するだろう。面白いサッカーをしているだけに、元気に暴れ回って欲しい。昨年も前半は良かっただけに、夏の越し方、こと初戦の入り方は重要。勢いが増すか、消えるか。現状維持のない一発勝負だ。

ヴァンフォーレ甲府
 開幕前予想18位/現在15位

 予想以上に頑張っている、と言っていいだろうか。パンチ力が落ちた分、全員で頑張っている感じで、後半も堅実な戦いを見せそう。

 このくらいの戦力でもJ1で戦えるんだ、というのは、昇格チーム・降格ゾーンのチーム全ての範となる。予算もないし環境も恵まれていない。このチームより下にいるチームは、原因を探る前に意識を改めるべき点が多々あるのではないだろうか。

 最下位予想をしておきながらなんだが、是非残留を果たして、マネーゲームではないJの良さの体現者として、今後のJ1の希望となって欲しい。

清水エスパルス
 開幕前予想2位/現在6位

 若いチームだけに、パフォーマンスにムラがあるのは仕方ない。予想より順位は低いモノの、サッカーの質など含め、期待通りの出来を見せてくれていると言っていいだろう。

 特に若さが目立つポジションはCB。能力は抜群だが、安定度に欠ける部分は否めない。それだけに、今後の伸びしろは大きく、ポテンシャル的にはやはりレッズに次ぐものがあるし、チームの纏まり・風通しの良さはずっと上。伊藤テルの負担は大きいが、彼が攻守の鍵。後半も獅子奮迅の活躍を期待。

ジュビロ磐田
 開幕前予想9位/現在7位

 こちらもほぼ予想通り。健康な選手が少ない状況も含め、過渡期のチームらしさを出した感。

 若手・ベテランのバランスは今が一番いい状態。それだけに、ここ1・2年で優勝を狙うのでなければ、更に再建を加速させる手もある。サポーターももう暫くは我慢の時期かも知れない。それでも、そんな中、鹿島あたりとは違い、人目にも楽しいサッカーを見せるジュビロの「イズム」は健在で、間違いなく未来は明るい。

 控えの層も厚く、上位陣が怪我人で崩れればその分上へ行けるだろう。中位の予想をしたが、5位前後でシーズンを終えそうな気配。

名古屋グランパスエイト
 開幕前予想13位/現在10位

 ここもほぼ予想通り。ポテンシャルは高いが、攻守に決め手を欠く。

 DFにおいては古賀が抜けた穴は埋まっておらず、楢崎も及第点の働きだが、代表クラスとしては不満の残るパフォーマンス。中盤は藤田の頑張りによって攻守に良いバランスを保っているが、やや前掛かりで余計守備の負担を大きくしている。攻撃はヨンセンは相変わらず素晴らしいが、杉本以下日本人は伸び悩んでいる。

 本田・杉本ら若手がもう一皮も二皮も剥けてこないと、ベテランへの負担厳しく、いずれチームが崩壊する。目指すサッカーの質は高い。もう少しコマが増えれば。

ガンバ大阪
 開幕前予想8位/現在1位

 この予想と現状のギャップは足った1つの要素に尽きる。守備の安定である。特に中盤の守備の安定である。

 宮本が抜けたことで守備が少しは向上するだろうが、意識の低いサイドバックと、シジクレイの衰えで、トータルではマイナスになるだろうと思った。その読みに間違いはなかったが、それらのマイナス要素を全部明神がひっくり返してしまった。

 明神が中盤の軸になったことで、前線からのディフェンスが格段に向上した。昨年までのガンバはほとんどインターセプトなんてしないチームだったが、明神を中心に、橋本、山口のあたりでボールを奪う機会が格段に増えた。

 何と言っても大きいのは明神のお陰で、昨年まで文字通りの大黒柱で、折れればお仕舞いだった遠藤の負担がかなり軽くなった。加えて、一流への壁をうち破れずにいた橋本が毎試合クオリティの高い動きをするようになった。たった1人の選手がここまでチームを劇的に変えるとは思わなかった。勿論、他の細かな要素もあるはあるが、全てのポジティブファクターは明神から発信されている。

 後半もパフォーマンスを維持すれば、全盛期のジュビロ以来の「最多得点最小失点」による完璧な優勝もちらつく。それだけに主力の健康が鍵。替えが利かない中盤の4人が元気なら、レッズに付け入る隙はないだろう。

ヴィッセル神戸
 開幕前予想15位/順位11位

 三浦を巡る相変わらずのこのクラブらしい醜聞はあったものの、新加入の大久保が大車輪の活躍をしていることで期待以上の成果を残していると言える。

 このままでも降格はせずに済みそうだが、もう一枚上に行くには新加入の酒井・純マーカスの仕事が鍵。両者とも良い選手だが、特に酒井はレッズで不条理に冷遇されていた分も爆発を期待したい選手。彼らの仕事で両サイドが守備の負担へレバ、攻撃の威力は増すし、自然と守備への入りも良くなる。楽しみ。

サンフレッチェ広島
 開幕前予想14位/現在13位

 順位ほど悪いサッカーをしているわけではない。攻撃は非常にハイレベルだが、しかし何と言っても守備の破綻はなかなかに悲惨。

 本職のDFがまともにいない状況。守備の核と期待したダバツが負傷離脱したこともあり同情の余地はあるのだが、そのケアが全く出来ていないのも確か。ストヤノフ捕りの噂もあり、これが実現すれば双方に大きなメリットがありそう。加えてもう1枚くらい守備を強化したいが。ストヤノフが獲得できない場合、ここがネックになり降格の可能性もある。

大分トリニータ
 開幕前予想5位/現在17位

 最も期待はずれの前半を送ったチーム。中盤の外人が抜けた穴が埋まらなかった。

 その中盤にエジミウソンが帰ってきたが、安定には程遠く、復帰した梅崎、チーム最高のポテンシャルを持つアウグスト、新加入の鈴木らがきっちり仕事をし、守備においても三木と福元がハイレベルのパフォーマンスをすれば、今からでも上位に上っていく可能性はあると思う。シャムスカの手腕に注目。

 以上。現時点での優勝確率はガンバ65%、レッズ30%、その他5%というところか。ガンバは、とにかく健康であれば隙がない。レッズは采配の問題などでポテンシャルを活かせずシーズンを終えそうな気配で、ガンバの頓挫待ちという状況。ただ、そうなった時には鹿島、清水、川崎にも目があるか。とにかく、基本的には「ガンバのシーズン」になることはほぼ決まりだろう。結果が勝者か敗者かは関係ない。ガンバの前半のサッカーはそれだけの価値がある。前半のMVPは明神にあげたい。

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